War(ワー)の魅力を徹底解剖:結成から代表曲・サウンドの多文化性・影響まで

War — プロフィールと魅力の深掘りコラム

War(ワー)は、1970年代に米国で結成された多国籍なロック/ファンク/ソウル・バンドで、ラテン、ジャズ、ブルース、R&B の要素を融合させた独特のサウンドで広く知られています。社会的メッセージを含む歌詞と、グルーヴ重視の演奏が特徴で、時代を越えて多くのリスナーやミュージシャンに影響を与え続けています。本稿では、彼らの成り立ちから楽曲の魅力、ライブ・パフォーマンス、レガシーまでを深掘りします。

結成と略歴

War は1960年代末から1970年代初頭にかけてロサンゼルス地域で活動を始めたミュージシャンたちが発展させたバンドです。初期には英国出身のシンガー、Eric Burdon(元The Animals)とコラボレーションして「Eric Burdon & War」として一時的に活動し、シングル「Spill the Wine」で大ヒットを記録しました。その後、バンドは独立して1970年代を通じて多数のヒット曲を放ち、1972年の「The World Is a Ghetto」などのアルバムで商業的・批評的成功を収めます。

主要メンバーとその役割

  • Lonnie Jordan — キーボード/ボーカル。楽曲のハーモニーやメロディ形成に中心的な役割。
  • Howard E. Scott — ギター/ボーカル。リフやソロで楽曲のロック的側面を担う。
  • Harold Brown — ドラム。タイトかつグルーヴィーなビートで楽曲を牽引。
  • B.B. Dickerson — ベース(初期〜中期)。歌心のあるベースラインでグルーヴの基礎を提供。
  • Lee Oskar — ハーモニカ。ポップで印象的なフレーズがバンドのサウンドの“顔”となった。
  • Papa Dee Allen — パーカッション。ラテンやアフロ系のリズムを導入し、多彩なリズム感をもたらす。

(Eric Burdon は初期にコラボした重要人物で、バンドの知名度向上に大きく寄与しました。)

音楽的特徴とサウンドの魅力

  • ジャンル融合:ファンク、R&B、ラテン、ジャズ、ロックが自然に混ざり合う。単一ジャンルに落とし込めない多層的な音像が特徴。
  • リズムとグルーヴ重視:コンガやパーカッション、タイトなドラム+歌心あるベースが織りなす“うねり”が聴き手の体を動かす。
  • メロディとフックの強さ:Lee Oskar のハーモニカやキャッチーなコーラス(例:「Why Can't We Be Friends?」)が強力なフックを生む。
  • 即興性とスペーシーな展開:演奏中の間(ま)やブレイク、長尺のジャムで聴かせることが多く、ライブでの即興性が高い。
  • 多文化的テクスチャー:ラテン・パーカッションやアフリカ系リズムが楽曲に独自性を与え、米国内外の多様な聴衆に響く。

歌詞テーマと社会的メッセージ

War の楽曲には、人種・階級的テーマ、都市生活の実情、友情や平和への希求などが織り込まれることが多いです。たとえば「The World Is a Ghetto」は都市の孤独や社会の矛盾を描写し、「Why Can't We Be Friends?」は単純で力強い友情と共生のメッセージを歌います。直接的な政治スローガンではないものの、生活者目線の物語性や共感性が社会的な響きを持っています。

代表曲・名盤(聴きどころを含めて)

  • Spill the Wine(Eric Burdon & War) — コラボ初期の大ヒット。サイケデリックな語りとリラックスしたグルーヴが融合した異色作。
  • The World Is a Ghetto(アルバム、1972) — バンドの代表作のひとつ。表題曲をはじめ、都市の景観を反映した凝縮した世界観が特徴。
  • All Day Music(アルバム、1971) — ラテンやジャズの要素が色濃く出た作品。バンドの音楽的幅を示す。
  • Why Can't We Be Friends?(アルバム、1975) — 「Low Rider」「Why Can't We Be Friends?」などを含み、よりポップで普遍的な魅力を放つ。
  • Low Rider — スローモーで重厚なリフとハーモニカのフックが特徴。映画やCMにも頻出し、文化的アイコンになった一曲。
  • Cisco Kid — ファンキーでキャッチーなリズムが印象的なシングル(※楽曲ごとにヴァージョンや収録アルバムがあるため、聴く際は盤情報を確認すると良い)。

ライブとパフォーマンスの魅力

War のライブは「演奏で語る」ことを重視するスタイルです。長尺のインスト・ブレイクや即興セクション、観客との掛け合いを通じて曲がライブごとに表情を変えるため、同じ曲でも別の魅力を発見できます。楽器隊間の会話(ギター⇄ハーモニカ⇄パーカッション)が明確で、体感的なグルーヴが会場を一体化させます。

なぜ今も愛されるのか — 影響とレガシー

  • サンプリング文化での再評価:ヒップホップやR&B のプロデューサーたちにサンプリングされ、現代音楽に断続的に息づく素材を提供。
  • 映画・CMなどでの楽曲使用:特に「Low Rider」は映画音楽や広告で頻繁に使われ、世代を超えた認知度を獲得。
  • ジャンルの横断性:一つのジャンルに限定されないため、多様な音楽ファンに刺さる。ラテン系やブラック・ミュージックのバックグラウンドを持つリスナーにも馴染みやすい。
  • メッセージの普遍性:シンプルで正直な歌詞が、時代を越えて共感を呼ぶ。

聴きどころ・入門プレイリスト(初心者向け)

  • Spill the Wine — War の創成期とEric Burdon とのコラボを知る上で必聴。
  • The World Is a Ghetto — バンドの代表的世界観を体感できる一曲/アルバム名曲。
  • Low Rider — キャッチーなリフとハーモニカが耳に残る代表作。
  • Why Can't We Be Friends? — シンプルなメッセージとポップな魅力。
  • Cisco Kid — ファンキーで踊れるナンバー。

まとめ

War の魅力は「境界を超える柔軟さ」と「リアルな生活感覚」にあります。多彩なルーツを許容しながらも、強固なリズム隊と印象的なメロディ・フックで一貫した音楽性を保ってきました。時代を反映する歌詞と、人種や文化を横断するサウンドは、今日の多様化した音楽シーンにおいても色あせない価値を提供します。まずは代表曲を数曲聴いて、そのグルーヴと空気感を体感してみてください。

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参考文献