War(ウォー)— ファンク・ソウル・ロックを横断する1970年代の名盤と代表曲を初心者向けに解説
War — プロフィールと概略
War(ウォー)は、1960年代後半から活躍するアメリカのバンドで、ファンク、ソウル、ロック、ジャズ、ラテンなど多様な音楽要素を融和させたサウンドで知られます。多民族編成(ヒスパニック系、アフリカ系、白人メンバーが混在)と社会的なメッセージ性を持つ歌詞により、1970年代に商業的成功と文化的影響力を同時に得ました。
結成と歩み(概略)
バンドは1960年代末、エリック・バードン(Eric Burdon)とのコラボレーションを経て結成され、「Eric Burdon & War」としての活動を出発点に持ちます。その後独立して「War」として活動を続け、1970年代を通じてヒット曲とアルバムを多数生み出しました。メンバーの入れ替わりや名前使用をめぐる法的な問題などもありましたが、彼らの録音や代表曲は今も幅広い場面で聴かれています。
主要メンバー(代表)
- Howard E. Scott(ギター)
- Lonnie Jordan(キーボード/ボーカル)
- Lee Oskar(ハーモニカ) — 特徴的な音色でグループの顔の一つ
- Harold Brown(ドラム)
- Papa Dee Allen(パーカッション)
- Charles Miller(サックス/フルート)
- B.B. Dickerson(ベース)
(時期によってメンバー構成は変化しています)
サウンドの特徴と魅力
- ジャンル混淆の自然さ: ファンクのグルーヴ、ロック的なエッジ、ラテン・パーカッション、ジャズ的な即興が自然に溶け合い、ジャンルの壁を感じさせないサウンドが魅力です。
- リズムとグルーヴの強さ: 密度のあるパーカッションとタイトなリズム隊が曲の基盤を作り、身体に直接訴えかけるグルーヴを生み出します。ダンスにも適した「繰り返し」と「揺らぎ」のバランスが絶妙です。
- ハーモニカの存在感: Lee Oskarのハーモニカは、Warの音像に独特の色を与えるシグネチャー要素。ブルースやフォークを超えてポップ/ファンクとも溶け合う使い方が印象的です。
- 社会的・人間味のある歌詞: 「なぜ友達になれないのか(Why Can't We Be Friends?)」や都市の現実を見つめる歌など、共感を呼ぶテーマを取り上げることで単なるダンス音楽以上の深みを持ちます。
- 演奏の即興性とライブ感: レコーディングでも生々しい即興や長尺の演奏が残されており、ライブではさらにダイナミックに発展します。
代表曲・名盤(おすすめの聴きどころ)
- 「Spill the Wine」(Eric Burdon & War名義でのヒット)— サイケデリックで語りの入った一風変わった曲。彼らの出自と早期の実験性が分かる入口。
- 「The World Is a Ghetto」(アルバム/タイトル曲)— 日常のリアリティや都会の風景を広い視点で表現した作品。アルバム全体の統一感とメッセージ性が評価されています。
- 「Cisco Kid」 — キャッチーでファンキーなナンバー。メロディとリズムのバランスが良く、ラジオでも広く流れました。
- 「Low Rider」 — バンドの代名詞的な一曲。スローテンポの強烈なグルーヴとシンプルなフックが特徴で、映画・CM・サンプリングなどで長く文化的認知を得ています。
- 「Why Can't We Be Friends?」(アルバムおよびタイトル曲)— ストレートなメッセージを持ちつつポップな魅力も兼ね備えた楽曲。
- 「Me and Baby Brother」— ジャム的な展開と躍動感があるトラック。ライブでの盛り上がりどころにもなります。
聴きどころ(初心者向けガイド)
- まずは「Low Rider」「Why Can't We Be Friends?」「Spill the Wine」を聴いて、メロディと雰囲気を掴む。
- 次にアルバム単位で「The World Is a Ghetto」などを通して聴くと、曲間の流れやテーマ性、アレンジの工夫が見えてくる。
- ライブ録音や長尺トラックでの即興パートを聴くことで、バンドの演奏力とインタープレイ(各楽器の掛け合い)が楽しめる。
文化的影響とレガシー
Warの楽曲は1970年代に大衆的なヒットを生み、以来映画・テレビ・広告などで繰り返し使用されることで世代を越えた認知度を得ました。特に「Low Rider」はチカーノ文化やローライダー文化と結びついて象徴的に扱われることもあり、音楽的影響に加えて文化的アイコンとなっています。またヒップホップ等でのサンプリングやカバーも多数で、後続のアーティストたちにとって重要な参照点になっています。
ライブの魅力
レコーディングでの完成度の高さに加え、ライブでの拡張性が大きな魅力です。長めのインストパートやパーカッションの多様な色付け、ハーモニカと管楽器の掛け合いなど、現場でしか味わえないダイナミズムがあります。客席との一体感を重視する曲も多く、観客参加型の盛り上がりが期待できます。
なぜ今も聴かれるのか — War の普遍性
- 複数の音楽的伝統を横断することで、多様なリスナーに刺さる普遍性がある。
- 強いグルーヴとシンプルで覚えやすいフックにより、何度でも聴ける反復性がある。
- 社会的テーマや人間味ある歌詞が時代を超えて共感を呼ぶ。
- 多彩な楽器編成が曲ごとに異なる表情を生み、飽きさせない。
入門プレイリスト(短め)
- Spill the Wine
- Low Rider
- Why Can't We Be Friends?
- The World Is a Ghetto(タイトル曲)
- Cisco Kid
- Me and Baby Brother
補足:バンドの変遷についての注意
長年にわたる活動の中でメンバー交代や名称に関する法的・商業的な問題が発生しており、現在はオリジナル構成に近い編成のグループと、別の法的所有者のもとで活動する別チームが並立するなど、複数の「War」系ツアー形態が存在します。ライブに行く際や新しいリリースを探す際は、表記(“War featuring …” など)を確認すると良いでしょう。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


