マーサ&ザ・ヴァンデラス徹底ガイド:モータウン・サウンドの名曲と聴き方・編集盤選びのコツ

イントロダクション — マーサ・アンド・ザ・ヴァンデラスとは

マーサ・アンド・ザ・ヴァンデラス(Martha and the Vandellas)は、1960年代のモータウンを代表する女性ボーカル・グループの一つです。マーサ・リーヴスの力強くエモーショナルなリード・ボイス、コール&レスポンスを効かせたコーラス、そしてファンクブラザーズらモータウンのレギュラーメンバーによるグルーヴで、ダンス・ナンバーからスロウまで幅広く名曲を残しました。

歴史的背景と音楽的特徴

デトロイト=モータウンという工房で生まれた彼女たちの音楽は、ソウルとポップスが結びついた“モータウン・サウンド”の典型です。ホーランド=ドジャー=ホーランド(Holland–Dozier–Holland)ら名プロデューサー/ソングライター陣が多くのヒットを手掛け、短くパンチのあるアレンジ、リズムの突き出し、鋭いブラスやパーカッション、そして“歌の物語性”が特徴になります。

おすすめレコード(入門から深掘りまで)

  • ベスト盤(入門) — 「Greatest Hits / The Very Best」相当の編集盤

    まず最初に手に取るべきはベスト盤です。代表曲「Heat Wave」「Dancing in the Street」「Nowhere to Run」「Jimmy Mack」「Come and Get These Memories」など、シングル主導だった彼女たちの魅力がコンパクトにまとまっています。モータウンのシングルヒットを一気に体感できるので、新規リスナーに最適です。

  • 初期アルバム:『Come and Get These Memories』(初期シングル群を収録したLPを探す)

    グループの初期ヒットを集めた音源群は、マーサのボーカルが徐々に存在感を増していくプロセスがわかります。ホーランド=ドジャー=ホーランドの作風が色濃く反映されており、典型的なモータウン・ポップの機能美を学ぶのに向いています。

  • シングル集/アンソロジー(深掘り) — 「Anthology / Complete Singles」系の2枚組以上の編集盤

    マーサ&ヴァンデラスはシングル中心の活動だったため、深掘りするならアンソロジーや“コンプリート・シングル”タイプの編集盤が最も実用的です。A面ヒットはもちろん、B面や未発表トラック、別ミックスなどを含むものはグループの変遷と音作りの細かな違いを知る手がかりになります。

  • 後期シングル集(60年代後半) — 「Jimmy Mack」や「Honey Chile」を含む作品群

    60年代後半になるとモータウン内の音楽トレンドも移り変わり、より広がりのあるサウンドや社会的な色合いが見えてきます。後期ヒットは当時のスタジオ技術やアレンジの変化が反映されており、同一グループ内での表現の幅を感じられます。

  • 輸入盤/日本企画の良質リイシュー(音質重視の選択肢)

    モータウン音源は時期やリマスターの差が大きいので、音質面で評価の高いリイシュー盤(公式リマスターや信頼できる編集盤)を選ぶと、ブレスやリズムの躍動感、コーラスの細部がよりはっきり聴こえます。特にモノ・ミックスが“抜け”が良いことも多く、オリジナルの力強さを好む向きにはモノ音源がおすすめです(聴き比べの面白さもあります)。

各レコード/音源を聴くときの注目ポイント(機材の話ではなく音楽的着眼)

  • マーサのリードボーカル:力強さとエモーションの振幅、決定的なフレージングや語尾の処理に注目すると歌の“説得力”がわかります。

  • コーラスの働き:バックボーカルは単なるハーモニーではなくリズム楽器的にも機能します。掛け合いや合いの手の入れ方が楽曲の推進力を作っている点を聴き取ってください。

  • リズムとアレンジの“短い間”の活かし方:モータウン曲は無駄のないアレンジで短い時間内にドラマを詰め込みます。イントロやブリッジ、ヴァース間の小さな展開に注目するとソングライティングの妙が見えてきます。

  • プロダクションの変化:初期のシンプルでパンチのあるトラックから、後期のレイヤーを重ねた作りまで、時代とともに変わる編曲の工夫を追うことでグループの成長が理解できます。

聴きどころ別おすすめ曲(入門→中級→上級の流れ)

  • 入門:Heat Wave / Dancing in the Street — グループの代名詞的なパワフル・ナンバー

  • 中級:Nowhere to Run / Come and Get These Memories — 歌の演出やソングライティングの粋がわかる曲

  • 上級:Jimmy Mack / Love (Makes Me Do Foolish Things) — 後期の表現や感情のレンジが広がる楽曲群

購入・コレクションの考え方(何を優先すべきか)

マーサ&ヴァンデラスはシングル=ヒット曲中心のキャリアであるため、コレクション目的ならまず「良編集のベスト盤」→「アンソロジー/シングル集」→「オリジナルLPや限定リイシュー」という順が合理的です。音質を重視するならリマスターや公式の再発をチェックし、歴史的な雰囲気を味わいたければオリジナル盤や当時のシングルを探すのが楽しいでしょう。

まとめ

マーサ・アンド・ザ・ヴァンデラスの魅力は、短い楽曲の中に詰め込まれた強烈なグルーヴとドラマ、そしてマーサの表現力にあります。まずは名曲を集めたベスト盤で“針路”をつかみ、そこからアンソロジーや個別シングル、アルバムへと深掘りしていくのがおすすめです。モータウンという工房で磨かれた職人技のようなソウル・ポップを、ぜひじっくり味わってください。

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