Quarteto em Cy(クアルテート・エン・シー)の魅力を徹底解剖:洗練ハーモニーとブラジル音楽の幅を楽しむ聴きどころガイド
Quarteto em Cy — プロフィールと魅力の深掘りコラム
Quarteto em Cy(クアルテート・エン・シー)は、ブラジルの女性ヴォーカル・カルテットとして長年にわたり国際的な評価を得てきたグループです。洗練されたハーモニーとブラジル音楽の豊かなリズム感を兼ね備え、ボサノヴァやMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)をはじめとする幅広いレパートリーで聴衆を魅了してきました。本稿では彼女たちの成立背景から音楽的特徴、代表的なレパートリーやライブ表現、後続への影響までを詳しく掘り下げます。
結成と歩み(概要)
Quarteto em Cy は1960年代初頭にブラジル北東部から登場し、やがてリオデジャネイロを拠点に活動を展開しました。女性4人のヴォーカル・グループというフォーマットを活かし、当時隆盛を極めていたボサノヴァやMPBといった新しい潮流と親和性の高い表現を開拓しました。長年の活動でメンバーチェンジや音楽的な変化はあったものの、常に“アンサンブルとしての声の美しさ”を中心に据えてきた点が一貫しています。
音楽的特徴と魅力の本質
- 緻密なハーモニーとアンサンブル感
Quarteto em Cy の最も顕著な魅力は、4声による緻密で柔軟なハーモニーです。パート間の相互作用(カウンターメロディや分散和音)、微妙なタイミングのずらし、ダイナミクスのコントロールなどにより、楽器編成がシンプルでも非常に奥行きのある音世界を作り上げます。
- ブラジル音楽の多様性を融合
ボサノヴァやサンバ、MPB、北東部のリズム(バイアォン、フレヴォなど)まで、幅広い様式をレパートリーに取り込み、各ジャンルのリズム感やフレージングを声で表現します。特にボサノヴァのスウィング感やサンバの推進力をコーラスで表現する手法は秀逸です。
- アレンジの巧みさ
楽器伴奏との掛け合いや、ヴォーカルのみでの間奏・ソロパートなど、アレンジ面でも聴きどころが多い。ジャズ的な和音やモーダルなアプローチを取り入れることもあり、洗練された都会的なサウンドを作り出します。
- 語りかけるような表現力
単に美しいコーラスを聴かせるだけでなく、歌詞の意味や情感を丁寧に表現する点も特徴です。叙情的で内省的な曲から陽性で躍動する曲まで、表現の幅が広いのが魅力です。
代表曲・名盤(聴いておきたい作品)
彼女たちの代表的な録音には、初期のボサノヴァ期からの名演、70年代以降のMPB的な作品、ライブ盤まで多岐にわたります。以下は入門・愛聴盤としておすすめできる類型的な作品群(代表例)です。
- 初期のセルフタイトル盤(Quarteto em Cy)類
ボサノヴァや当時のスタンダードを洗練されたハーモニーで聴かせる入門盤的な位置づけの録音群。グループの音作りがよくわかります。
- 70年代〜80年代のMPB寄りの作品
より編曲の幅が広がり、時代のMPB的な感性を取り入れた作品群。現代的なアレンジや他アーティストとの共演を通して表現の幅を拡張しています。
- ライブ盤
ステージでの間合いや客席とのやり取り、即興的なアンサンブル感が楽しめるライブ録音は、彼女たちの真骨頂が最もよく出る記録です。
- コンピレーション/ベスト
多数の録音から代表曲をまとめた編集盤は、初めて聴く人にとって取り付きやすい入口になります。
歌唱技術とアレンジの分析(もう少し踏み込んで)
- 声の色彩操作
Quarteto em Cy は各メンバーが持つ声質(明るいソプラノからやや暗めのアルト)を巧みに組み合わせ、楽曲のムードに応じて「声の色」を変化させます。フォルテとピアノの差や、音色の温度感の切り替えが効果的です。
- リズムの“溶け込み”
ブラジル音楽特有のリズムを、あくまで“歌として”自然に表現します。たとえばボサノヴァのスウィングを過剰に縦に寄せず、水平に流すような歌いまわしが心地よい推進力を生み出します。
- 和声進行の巧妙な活用
ジャズ的なテンションコードの雰囲気や、装飾的な非和声音をコーラスで取り入れ、単なる“丸いハーモニー”に留まらない緊張と解放を作り出します。
ライブとパフォーマンスの魅力
ステージ上のQuarteto em Cy は、声の均質さと動きの洗練が融合したパフォーマンスで知られます。衣装や立ち位置の工夫による視覚的な統一感、曲間での軽妙なトークや観客とのインタラクションも魅力の一部です。ライブではアレンジを拡張したり、メドレー形式で曲をつなぐなどの工夫があり、録音よりもさらに即興性やグループの結束力が感じられます。
国際受容と影響
Quarteto em Cy はブラジル国内のみならず欧米や日本など海外でも高い評価を受け、ブラジル音楽を女性ヴォーカル・アンサンブルとして世界に紹介する役割を果たしました。後続の女性コーラス・グループやアレンジャー、さらにはジャズ的なコーラス表現を求めるミュージシャンたちに影響を与えています。
聴きどころと楽しみ方の提案
- まずは代表的なスタジオ録音を1枚
グループの音色とアンサンブル感を把握するために、代表的なスタジオアルバムを1枚じっくり聴くことをおすすめします。
- ライブ録音と比較する
同一曲のスタジオ版とライブ版を聴き比べると、アレンジの変化や即興的な表現の違いが明確になり、表現の幅が実感できます。
- 作曲家別に聴く
ボサノヴァ期の曲(例:トム・ジョビン等)と北東部のリズム色が強い曲を比較すると、グループの適応力と表現の多様性がよくわかります。
- 楽曲の歌詞に注目する
彼女たちの歌唱はメロディだけでなく歌詞の意味を丁寧に伝えます。言葉の抑揚や語尾の処理に耳を傾けると新たな発見があります。
保存版ワンポイント(音楽的学びとして)
- コーラスワークの教科書として、フレージングやハーモニーの分担、タイミングのずらし方などを分析すると学びが深い。
- 編曲者の工夫(楽器と声の役割分担)を読み解くことで、スタジオ録音とライブの違いをより理解できる。
- ブラジル音楽のリズム感は“体感”が重要。手拍子や軽い身体の揺れでリズムを確認しながら聴くと腑に落ちることが多い。
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参考文献
- Quarteto em Cy — Wikipedia (English)
- Quarteto em Cy — Wikipedia (日本語)
- Quarteto em Cy — AllMusic
- Quarteto em Cy — Discogs


