ベルナール・パルメジャニをレコードで聴く–電子音響の巨匠の代表作と聴き方・入手ガイド
はじめに — Bernard Parmegiani とレコードで聴く意味
ベルナール・パルメジャニ(Bernard Parmegiani、1927–2013)は、フランスの電子音響/ミュージック・コンクレート系作曲家の巨匠です。GRM(Groupe de Recherche Musicale)での活動を通じて、テープ操作やアナログ電子処理、フィールド・レコーディングの素材を駆使し、音の質感(ティンバー)や空間の感覚を精緻に構築した作品群を残しました。
LP/レコードで聴くことは、作品が作られた当時の物理メディアとしての「音色感」やプログラム順の流れ、ジャケット・解説の体験を伴うため、Parmegianiのようなサウンドワールドを堪能するのに有利です。以下では“レコードでぜひ手に入れたい”代表的な音源を深掘りして紹介します。入手の目安や聴きどころ、同時代作家との相関なども含めています。
おすすめレコード(厳選)
De Natura Sonorum(代表作)
概要:パルメジャニの代表作の一つ。工業的な機械音や日常のオブジェクト音を素材に、音色の生成過程とその運動を細やかに探究した組曲的作品です。部ごとに異なるアプローチが取られ、音そのものの「存在感」を提示する実験的かつ詩的な内容。
聴きどころ:微細なテクスチャーの変化、低域と高域の対比、音の“際”にあるノイズ成分の配置やリズム感。音が重なり合って別の「イメージ」を生む瞬間を意識して聴くと深い。
おすすめ盤/入手ポイント:INA‑GRM系の再発や信頼できるコンピレーションに収録されていることが多く、まずは公式系リリース(INA‑GRM)を探すと良いです。オリジナル盤はコレクターズ・アイテムになることがあるため、Discogs等で出自を確認してから購入するのがおすすめ。
L'Enfer(「地獄」を主題とした代表的テープ作品)
概要:パルメジャニの劇的で空間性を重視したテープ作品。音響的な〈場〉の構築、ダイナミクスの極端な振幅、そして心理的な緊張感の操作が大きな特徴です。
聴きどころ:音の「配置」が物語を作る手法。単独の音素材が増幅され、距離感と方向性を感じさせる構成を見せます。初めて聴く場合は、短いパートごとに集中して聴き、どの瞬間に緊張が生まれるかを追うと理解が深まります。
おすすめ盤/入手ポイント:こちらもINA‑GRM関連の公式盤や収録盤が確実。LPで楽しみたい場合は、音像の立ち上がり/分離感が良好な盤を選びたいので信頼できる再発を検討してください。
回顧盤・選集(Retrospectives / Anthologies)
概要:Parmegianiの単曲LPよりも広い年代をカバーした編集盤や回顧録的なボックスは、作風の変遷(初期のテープ実験→成熟期の空間操作→後期のデジタル処理へ)を俯瞰するのに便利です。
聴きどころ:複数時期の作品を時系列で聴くと、音素材の扱い方やフォルムの変化、外部音源(フィールド録音)の取り込み方が見えてきます。短い代表作を繰り返して聴くより、長時間をかけて変化を追うのが効果的です。
おすすめ盤/入手ポイント:INA‑GRMの編集盤や専門レーベルのリマスター盤がおすすめ。初めて触れる人は入門的なコンピレーションから入り、気に入った作品のオリジナル収録盤へと掘り下げると良いでしょう。
ライブ音源・サウンドインスタレーションの記録盤
概要:Parmegianiは固定メディア(テープ)以外にもラジオ作品やサウンドインスタレーション、舞台音楽など多岐にわたる活動を行いました。スタジオ作品とは異なる「現場」に依存する解像度と臨場感が魅力です。
聴きどころ:現場録音ならではの残響や配置感、たまたま生じたノイズが作品に独特の色合いを与えています。録音の仕様や収録環境が音の印象を大きく変えるので、解説を読みながら聞くと理解が深まります。
おすすめ盤/入手ポイント:公式記録盤やラジオ番組の復刻盤に良質なものがあるため、出典を明示しているリリースを優先してください。
各レコードの“聴き方”と深掘りポイント
音像(ティンバー)への注意 — Parmegianiは「素材の質感」を徹底的に掘る作曲家です。単純に“メロディ”を追うのではなく、金属的、液体的、空気的など音色の違いがどう変化するかを注視してください。
構成の時間感 — 多くの作品は時間軸をゆっくりと移行させるため、短時間で判断せず数回通して聴くことで細部の構造が見えてきます。
対話するように聴く — 音が互いに反応し合う“会話”を見つける楽しみがあります。ある音が出た後に続く反応や“残響”の扱いに注目してください。
同時代作家との比較 — ピエール・シェフェール(Musique concrète創始者)、ピエール・アンリ、イルデブランド・ルビンスキーなど同時代の電子音楽家と並べて聴くと、Parmegianiの独自点(音色への詩的視点や劇的構成)が浮かび上がります。
購入・収集の実務的アドバイス(ポイントのみ)
出所の確認:INA‑GRM公式リリースや信頼できる再発をまず探す。ディスコグラフィー(Discogs など)で盤の履歴とプレス情報を確認すると安心です。
解説文を読む:Parmegianiの作品は解説(作曲者ノート、番組解説)が理解を大いに助けます。ジャケットやライナーノーツ付きの盤を優先すると深く楽しめます。
デジタル音源との補完:レコードは確かに独特の体験を与えますが、作品理解を深めるために高音質のデジタル配信(Qobuz、Tidal等)やCD盤と併用するのも有効です。
おすすめの“聴きの旅”プラン(初心者向け)
Step 1:代表作(De Natura Sonorum)の短いセクションを一度通しで聴く(集中して1回)。
Step 2:回顧盤/選集で別時期の作品を1つずつ拾って聴く。作風の変遷を意識する。
Step 3:気に入った曲の解説を読み、同時代作家の1曲を聴いて比較する。
Step 4:ライブ音源やラジオ番組の記録を聴いて、スタジオ録音との違いを楽しむ。
まとめ
Bernard Parmegiani は“音そのもの”の存在感を追求した作曲家で、レコードというメディアはその表情を深く味わうのに向いています。まずは代表作を押さえ、公式系の再発盤や良質な回顧編集盤から聴き進めるのが安全かつ充実した方法です。解説や同時代の作家との比較を併用すれば、彼の音響的世界の奥行きをより豊かに体験できます。
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参考文献
- Wikipedia(日本語):ベルナール・パルメジャニ
- Wikipedia(English):Bernard Parmegiani
- INA‑GRM(公式サイト) — Groupe de Recherche Musicale / Parmegiani 関連情報
- Discogs:Bernard Parmegiani(ディスコグラフィー参照)


