Tony Levin 名盤ガイド:King CrimsonとPeter Gabrielを支えた9枚のおすすめアルバムを徹底解説
はじめに:Tony Levinとは何者か
Tony Levin(トニー・レヴィン)は、1970年代末から現在に至るまで数多くの名盤に参加してきたベーシスト/チャップマン・スティック奏者です。キング・クリムゾンやピーター・ガブリエルの主要メンバーとしての活動で知られる一方、ソロ作やBruford Levin Upper Extremities、Stick Men、Levin Brothers といったプロジェクトでも独自の音楽性を示してきました。本コラムでは「レコードで聴くべきおすすめ作品」を中心に、各盤での聴きどころ(レヴィンのプレイにフォーカス)を深掘りして紹介します。
推薦アルバム一覧(解説付き)
King Crimson — Discipline (1981)
なぜ聴くべきか:1980年代のKing Crimson再出発を示す名盤で、トニー・レヴィンがチャップマン・スティック/ベースで新しいリズムとハーモニーの基盤を築いている。ロバート・フリップの鋭いギターラインとアドリアン・ビーロウの歌、そしてレヴィンの低音・スティックの対位が特徴。
代表曲・聴きどころ:「Elephant Talk」「Frame by Frame」— スティックやベースの細かいフレーズ、ポリリズムに注目。レヴィンの音が楽曲のリニアな推進力を生んでいる。
King Crimson — Beat (1982)
なぜ聴くべきか:Disciplineの延長線上にあるが、よりポップ/ビート志向の曲も含むアルバム。レヴィンのリズム感と音色の柔軟性が際立つ。
代表曲・聴きどころ:「Heartbeat」「Neal and Jack and Me」— ベースラインのグルーヴや、スティックで描くメロディックなパートが楽しめる。
Peter Gabriel — So (1986)
なぜ聴くべきか:ピーター・ガブリエルの商業的成功を決定づけた傑作で、レヴィンは長年の相棒として複数曲で存在感を発揮。チャップマン・スティックやベースで、楽曲の空間を作り出す役割を担っている。
代表曲・聴きどころ:「Sledgehammer」「In Your Eyes」「Big Time」— 特に「Sledgehammer」のグルーヴ感や「Big Time」でのパーカッシブな“ファンク・フィンガー(Funk Fingers)”の使用はレヴィンのトレードマーク的要素。
Peter Gabriel — Peter Gabriel (1980, 通称 "Melt")
なぜ聴くべきか:実験的なサウンドプロダクションが光る作品で、レヴィンのスティック/ベースワークが楽曲のテクスチャを豊かにしている。ガブリエル初期の電子的・暗めの雰囲気を支える重要な一枚。
代表曲・聴きどころ:「Intruder」「Mercy Street」などでの低音の使い方、音の隙間を埋めるプレイに注目。
Bruford Levin Upper Extremities — Bruford Levin Upper Extremities (1998)
なぜ聴くべきか:ビル・ブルーフォード、デヴィッド・トーンらと組んだインストゥルメンタル・プロジェクト。即興的でアンビエント寄りの感触もあり、レヴィンの音色・フレージングをじっくり聴ける。
代表曲・聴きどころ:アルバム全体が聴きどころだが、レヴィンのスペーシーなスティックワークやループ的な低音パターンが際立つトラックを注意して聴くと良い。
Tony Levin — Waters of Eden (2000)
なぜ聴くべきか:レヴィンのソロ作は彼の作曲センスと音楽的幅を示す。スティック、ベース、そしてボーカル(ゲスト含む)が混ざる中で、彼のメロディメーカーとしての面が見える。
代表曲・聴きどころ:「Waters of Eden」など、穏やかで空間を活かしたアレンジの中に潜むベース/スティックの美しさ。
Tony Levin — Pieces of the Sun (2002)
なぜ聴くべきか:ソロ第2弾。よりダイナミックで幅広い音楽性を試した作品で、ロック寄りから叙情的なインストまで多彩。プレイヤーとしての多面的な魅力を感じられる。
代表曲・聴きどころ:アルバム全体が見せ場だが、スティックを用いた層的なアレンジや、エレクトリック/アコースティック両面での技巧に注目。
Stick Men — Soup (2010)
なぜ聴くべきか:レヴィンが参加する現代的なプログレ/実験バンド。チャップマン・スティックがフロントを張る編成で、ベース的な役割だけでなくメロディやテクスチャを担う。
代表曲・聴きどころ:スティックの多層プレイや即興要素が楽しめる。キング・クリムゾン直系の要素と現代的サウンドが融合している。
Levin Brothers — Levin Brothers (2014)
なぜ聴くべきか:兄弟(TonyとPete Levin)によるジャズ寄りのプロジェクトで、レヴィンのアコースティック感覚やリズム感、作曲能力が色濃く出る作品。ベース/ピアノ(あるいはキーボード)での会話を楽しめる。
代表曲・聴きどころ:ジャズ・トリオ/コンボ感覚の中でのベースの役割がよくわかる。レヴィンの柔らかなタッチと音楽的引き出しを堪能できる。
聴き方のポイント(レヴィンのプレイに注目するためのガイド)
チャップマン・スティックとベースの使い分け:スティックはベースラインとメロディを同時にこなすことが多く、分離して聴くことで「左右で違う楽器が鳴っている」ような感覚が掴めます。
フレーズの「間」を聴く:レヴィンは音を詰め込まずに空間を生かすプレイをすることが多い。音と言葉(メロディ)の間の余白が楽曲の推進力になる場面を探してみてください。
アンサンブルでの役割を追う:特にキング・クリムゾンではフリップのギターとレヴィンの低域が互いに補完しあっています。ギターが高音で線を引くとき、低域がどう支えているかを意識すると学びが深まります。
音色と技法を比較する:ピック弾き、指弾き、スティックのタップ、さらに“ファンク・フィンガーズ”的なパーカッション的奏法など、同一ミュージシャンが複数の技法を使い分ける場面を見つけると面白いです。
最後に:なぜレヴィンを“レコードで”聴くべきか
トニー・レヴィンの魅力は、単にフレーズの巧さだけでなく「音の配置」や「空間の扱い」にあります。アナログや良い音源で聴くと、低域の存在感やスティックの微細なアタック感、アンビエンスとの融合がより明瞭になります。ここで挙げたアルバムは、彼のキャリアの鍵となる側面(ロック/プログレ/ポップ/ジャズ/実験)をバランスよくカバーしているため、入門から深掘りまでおすすめです。
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参考文献
- Tony Levin - Wikipedia
- Discipline (King Crimson album) - Wikipedia
- Beat (King Crimson album) - Wikipedia
- So (Peter Gabriel album) - Wikipedia
- Peter Gabriel (1980) - Wikipedia
- Bruford Levin Upper Extremities - Wikipedia
- Waters of Eden - Wikipedia
- Pieces of the Sun - Wikipedia
- Stick Men (band) - Wikipedia
- Levin Brothers (album) - Wikipedia


