ルーチョ・ベルムデスの世界:カンビアとポロをビッグバンド風に昇華させたジャズ影響の編曲術と聴きどころ
ルーチョ(Lucho)・ベルムデスとは
Lucho Bermúdez(ルーチョ・ベルムデス、1912–1994)は、コロンビア出身の作曲家・編曲家・バンドリーダーで、1940〜50年代にかけて国内外でカンビア(cumbia)やポロ(porro)などカルタヘナ〜カリブ系リズムを“ビッグバンド風”の編成で大衆化した立役者です。ジャズ的なブラス編成や洗練されたアレンジで伝統的なダンス音楽を都会的に磨き上げ、ラテン・アメリカ各地に影響を与えました。
聴きどころの共通ポイント
ブラスと木管の掛け合い:トランペット/トロンボーンのフレーズがメロディを支え、クラリネットやサックスが装飾やカウンターメロディを入れる構成が多い。
ジャズと民族リズムの融合:シンプルなカンビア/ポロのリズムにジャズ由来のハーモニーやリズム感が乗るため、古典的ダンス曲としてだけでなく聴き物としても完成度が高い。
歌唱と器楽のバランス:歌ものも多いが、器楽曲・楽団演奏の“見せ場”が明確で、ソロ回しやブラスのソロが聴きどころ。
おすすめレコード(深掘り解説)
1)1940年代の78回転盤群(初期録音集) — ルーツを聴く
なぜ聴くか:ベルムデスのサウンドが確立された時期。オリジナルの78回転盤(あるいはそれをまとめたアンソロジー)では、編成や演奏スタイルの原点がそのまま残っています。
聴きどころ:録音は素朴だが、ブラスのアタックやリズム隊の密度、歌手の表現が生々しく伝わるため、後年のアレンジに対する理解が深まります。ダンス音楽としての直線的な躍動感を感じてください。
おすすめ入手形態:コレクター向けにオリジナル盤は魅力的。手軽には「1940s recordings」や「Anthology」的なCD/デジタル再発で音質補正されたものがおすすめ。
2)1950年代〜1960年代のDiscos Fuentes期LP(典型的な“ベルムデス・サウンド”)
なぜ聴くか:ベルムデスはこの時期に商業的・音楽的に脂が乗り、多くのヒットを出しました。Discos Fuentesなど国内レーベルから出たLPは、編曲の完成度と録音のバランスがとれており入門に最適です。
聴きどころ:典型的なカンビア/ポロの編曲、ブラスの分厚さ、コーラス部分の扱い、ソロの間合いなど“典型”を学べます。代表的な楽曲(楽団演奏で広く知られる曲)が多数収録されています。
おすすめ入手形態:オリジナルLPは音が温かくコレクション性が高いですが、近年のCD再発やリマスター盤は音像が明瞭で細部が聴き取りやすいです。
3)代表曲コンピレーション(ベスト盤) — 初めて聴く人に最適
なぜ聴くか:短時間で“何が名物か”を把握できるため。編集の巧みなベスト盤は、時代や編成の違いを比較しやすいトラック選びになっています。
聴きどころ:曲ごとのアレンジの違い、歌手の起用法、楽団の成熟を年代別に追える点を重視して選ぶと良いでしょう。旅行やプレイリスト作りにも便利です。
おすすめ入手形態:信頼できるレーベル(Discos Fuentesなど)の編集盤、または海外レーベルによる解説付きリマスターボックスがおすすめ。
4)ライブ録音・市場向けダンス盤 — 実演に近い躍動感を味わう
なぜ聴くか:スタジオ録音とは異なる即興的熱気やアンサンブルの瞬発力が楽しめます。舞台でのダンス向け編成は演奏のエネルギーが違います。
聴きどころ:テンポの揺れ、ソロの解放、観客反応。楽団がダンスフロアを意識してどのようにアレンジするかが直に伝わります。
おすすめ入手形態:現地盤のLPやライブをまとめたCDがあればぜひ。ライブ録音は音質がまちまちなのでリマスター盤を選ぶと聴きやすいです。
5)国際リリース/オーケストラ編成作品 — 海外市場向けの洗練
なぜ聴くか:ベルムデスのサウンドがどのように“輸出”され、国際的なダンス音楽マーケットに適応されたかが分かります。編曲がよりジャズ寄り/ポップ寄りになっている場合があります。
聴きどころ:録音のマスタリング、アレンジ上の折衷(ラテン+スウィング的要素)、海外アーティストとの共演など、音楽的幅の広がりを見ることができます。
6)近年のリマスター/ボックスセット — 音質と解説を重視するリスナー向け
なぜ聴くか:古い録音でも現代的なマスタリングやノイズ除去により音像が改善され、細部がよりはっきり聴けます。解説ブックレットで当時の背景や編成、編曲意図を学べる場合が多い点も魅力。
聴きどころ:細かな楽器の配置、ミュートやヴォイシングの違い、演奏テクニックの細部。
おすすめ入手形態:権威あるレーベルが出しているリマスター盤や解説付きボックス(可能ならオリジナル録音と比較するのがおすすめ)。
代表曲・名演の聴きどころ(例)
「Colombia, tierra querida」等(楽団演奏で知られる曲) — 国民的な親しみやすさとブラスの見せ場。メロディの歌わせ方、サビでのホーンのユニゾンに注目。
ダンス曲(カンビア/ポロ)群 — リズムの“間”とブラスのリフが交互に出てくる構造を意識して聴くと、アレンジの巧妙さが分かります。
器楽曲・イントロ主体のトラック — 編曲技法(転調、ホーン・ソロの導入、間奏の構成)を学ぶのに最適です。
購入・選盤の実務的アドバイス(音楽性観点)
初めてなら解説付きベスト盤で名曲群を把握し、その後で時代ごとのLPや78盤、リマスターBOXに手を伸ばす流れが効率的です。
音質重視なら近年のリマスター、歴史的雰囲気やオリジナルの音色を楽しみたいなら当時のLP/78を選ぶと良いでしょう。
同じ曲でも録音年や演奏者が違えば編曲・テンポが変わることが多いので、複数バージョンを比較して聴くと発見が多いです。
聴き比べの楽しみ方
年代別に同一曲の異なる録音を並べ、編曲の違い(イントロ、間奏、ソロの長さ、ホーンの使い方)をチェックする。
ボーカル入りとインスト(器楽)を比較して、楽団のアレンジが歌をどう支えているかを確認する。
ベルムデスの録音を他地域のカンビア/サルサ/ビッグバンド音楽と比較して、ラテン-ジャズ的要素の位置づけを考える。
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参考文献
- Lucho Bermúdez — Wikipedia (es)
- Lucho Bermúdez — Wikipedia (en)
- Lucho Bermúdez — Discogs
- Lucho Bermúdez — AllMusic


