LPで聴くボストン・ポップスの名盤ガイド:時代別おすすめレコードと聴きどころ
イントロダクション — Boston Pops Orchestraとは何か
Boston Pops Orchestra(ボストン・ポップス・オーケストラ、以下「ボストン・ポップス」)は、ボストン交響楽団(BSO)の派生的なアンサンブルとして、クラシックの正統なレパートリーだけでなく、ポピュラー音楽や映画音楽、ライトクラシック、アレンジものを高い水準で演奏・録音してきたことで知られます。アーサー・フィードラーの時代に大衆化が進み、ジョン・ウィリアムズやキース・ロックハートらの時代には映画音楽やコンサート・ポップの両面で国際的な注目を集めました。
このコラムの狙い
ここでは「レコード(LP)で聴く価値が高いボストン・ポップスのおすすめ盤」を、時代背景と音楽的特徴を交えて深掘りします。個々の盤の演奏の魅力、聴きどころ、入手時に注目したいポイント(盤そのものの保存・再生方法ではなく、音楽的・リリース的観点)を中心に解説します。
選び方の基本方針
- 時代(フィードラー時代 / ウィリアムズ期 / ロックハート以降)ごとの特色を重視する。
- スタジオ録音/ライヴ録音の違いで選ぶ(スタジオは整った音像、ライヴは熱気とゲストの掛け合いが魅力)。
- リマスターの有無やオリジナル・アナログ・マスターに由来するサウンド傾向を参考にする(どのエディションかで聞こえ方が変わります)。
必聴のおすすめレコード(時代別の代表盤と聴きどころ)
1) アーサー・フィードラー時代(大衆化の原点)
おすすめの探し方:「Arthur Fiedler Boston Pops compilation」「Fiedler Boston Pops RCA Living Stereo」などのキーワードで、RCA期のLPやコンピを探す。
聴きどころ:フィードラーの指揮はリズム感と親しみやすさを重視します。ロマンティックな管弦楽表現より「曲を聴かせる」エンタテインメント性が高く、レロイ・アンダーソン(Leroy Anderson)の作品群やガーシュウィンのポピュラー編曲、行進曲やクリスマス・メドレーなどでその魅力が際立ちます。
代表的な曲目例(盤探しの指標):「Sleigh Ride」(Leroy Anderson)、「Summertime」「Rhapsody in Blue(抜粋編)」など、シングル曲やコンピに収録されていることが多いです。
2) ジョン・ウィリアムズ期(映画音楽とシンフォニック・ポップの融合)
おすすめの探し方:「John Williams Boston Pops album」「Boston Pops John Williams recordings」「Olympic Fanfare Boston Pops」などでスタジオ録音や「JOHN WILLIAMS / Boston Pops」名義のLP/CDを探してください。
聴きどころ:ウィリアムズは作曲者としてだけでなく、指揮者としてポップス・オーケストラを映画音楽の再現・編曲で活用しました。彼の時代の録音は映画主題(Star Wars, E.T., Raiders, Superman など)の力強いオーケストレーションと、ボストン管の正確さが融合している点が魅力です。映画ファンにとっては「オリジナルの大作映画音楽をオーケストラ・サウンドでじっくり味わえる」盤が多く残っています。
3) キース・ロックハート期(コンセプト作品とコラボレーション)
おすすめの探し方:「Keith Lockhart Boston Pops Holiday Pops」「Boston Pops live with guest」など。ホリデー・プログラムやポップスとポップ・ミュージシャンの共演盤が多くあります。
聴きどころ:ロックハート時代はライヴ感とゲスト・アーティストとの対話を重視したレパートリーが豊富です。クリスマス・アルバム(Holiday Pops)シリーズは毎年話題を集め、家族・パーティー向けの親しみやすい演奏が多いのが特徴です。
4) 近年の名演・企画盤(編曲・ポップス寄りの名盤)
おすすめの探し方:「Boston Pops featuring [guest artist]」「Boston Pops crossover recordings」などで現代のコラボ作品を探す。
聴きどころ:有名ソリストやポップス系歌手との共演、映画音楽の新録音、アレンジ中心のコンセプトアルバムなど、ポップスとクラシックの跨りで新しい魅力を提示する盤が多いです。
盤別の「深掘り」解説(聴きどころを楽曲単位で)
Leroy Anderson作品集(フィードラー/ボストン・ポップス)
解説:小品集ながらオーケストレーションの妙が詰まったレパートリー。短い曲ごとにアイディアが凝縮されており、フィードラーの軽快なテンポ感が活きます。特に「Sleigh Ride」「The Syncopated Clock」などは名演が多く、ポップス的な楽しさを味わうには最適です。ジョン・ウィリアムズ指揮の映画音楽集
解説:ウィリアムズ自身が指揮をしたレコーディングは、作曲者の意図に近いフレージングとダイナミクスを期待できます。オーケストラのブラスやストリングスが映画的なスケール感を出す録音が多く、映画音楽ファンの定番です。Holiday Pops(ホリデー企画のライヴ盤)
解説:毎年リリースされるホリデー・レコーディングは、合唱やゲスト・シンガー、子供向けコーナーなどバラエティに富んでいます。家族で楽しめる選曲と、ライヴの温度感が魅力です。コラボレーション盤(ポップ/ロック/ジャズ系ゲストとの共演)
解説:ポップス寄りのアレンジやソロの聴かせどころが増え、オーケストラの役割が「伴奏」から「共演」へと変化します。ポップス好きがオーケストラに入門するための橋渡し的な作品が多いのがポイントです。
聴き比べの楽しみ方(どの盤を買うか迷ったら)
- 同一曲でも「フィードラー期の親しみやすい表現」⇔「ウィリアムズ期の映画的ダイナミズム」⇔「近年のクリアな録音での細部再現」の違いを意識して聴く。
- ライヴ録音は演奏の勢いや観客の反応が味わえるため、コンサートの臨場感を重視する人向け。
- スタジオ録音(特にRCA Living Stereo以前のアナログ期)は、その時代の録音美学(マイク配置、アナログの温度感)が楽しめます。リマスター再発も多いので、オリジナルLPとリマスターCD/配信を比較するのも面白い。
入手のコツ
- ヴィンテージLPを狙うならDiscogsや国内外の中古レコード店で「Arthur Fiedler」「John Williams」「Boston Pops Orchestra」名義のオリジナル・プレスを検索。
- 近年の録音はCDや配信で入手しやすい。特にホリデー盤やコラボ盤はリリース数が多く、セール時にまとめ買いするのがおすすめ。
- コンピレーションは「編集のクセ」や曲順で聴感が変わるため、収録曲をチェックしてから購入すると失敗が少ないです。
まとめ — どの盤から入るべきか
- クラシック寄り・オーケストラの確かな技術を味わいたい:フィードラー期の名演を収めたコンピレーションやオリジナルLP。
- 映画音楽が好き:ジョン・ウィリアムズ指揮の録音や映画音楽集。
- 季節感やライヴの熱気を楽しみたい:Holiday Popsやライヴ盤。
- ポップスや現代音楽との融合を楽しみたい:ゲスト共演盤や近年のコンセプト盤。
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