Jackie DeShannonのアナログ盤おすすめガイド:聴きどころと盤選びのコツ
はじめに — Jackie DeShannonとは
Jackie DeShannon(ジャッキー・デシャノン)は、1960年代から活動するアメリカの女性シンガー・ソングライター/ヴォーカリストです。ポップ、フォーク、カントリー、ソフトロックを横断する柔軟な表現力と、ソングライターとしての確かな手腕で知られます。特に「What the World Needs Now Is Love」「Put a Little Love in Your Heart」などのヒットで広く認識されている一方、他アーティストに提供した楽曲群や自作曲の奥行きにも注目に値します。
このコラムの目的
ここでは「レコード(アナログ盤)で聴く価値のあるJackie DeShannonのおすすめ盤」を中心に、各作品の聴きどころ、音楽的特徴、コレクターが注目すべきポイント(オリジナル盤/日本盤/再発の違いなど)を深掘りして解説します。音質や演奏・編曲の分析を中心に、どの盤を探すべきかのガイドを提供します。
おすすめレコード一覧(深掘り解説)
1) 「What the World Needs Now Is Love」 シングル/関連アルバム
おすすめ理由:この曲はBurt Bacharach(作曲)とHal David(作詞)による名曲で、Jackieの歌唱で世界的に知られるようになりました。彼女の柔らかくもしっかりと芯のあるヴォーカルが、曲の普遍的なメッセージをより感情的に伝えます。
- 聴きどころ:ヴォーカルのフレージング、Bacharach系のシンプルで効果的なブラス/ストリングスの使い方。Jackieの声は透き通った中にハスキーさが混じり、歌詞の切実さを自然に表現します。
- 盤選びのポイント:オリジナルの7インチシングル(モノ/初期ステレオ)を探すと、当時のミックス感やマスターテープの雰囲気が味わえます。アルバム収録形態は編集や別ミックスが存在することがあるため、シングル音源が好まれる場合もあります。
2) Breakin' It Up on the Beatles Tour!(初期のポップ/R&B寄りの一枚)
おすすめ理由:1960年代初頭の活動を象徴する作品。ビートルズのツアーで共演した体験が話題になった時期のアルバムで、当時のポップ/R&Bの匂いが色濃く残ります。若き日のエネルギーやステージ感をレコードで味わうことができます。
- 聴きどころ:テンポ感のあるポップチューン、コーラス処理、初期ロック〜ポップスのアプローチ。声質の生々しさが魅力。
- 盤選びのポイント:初期プレスはモノラルでパンチが強く、エモーショナルなヴォーカルが前に出ます。再発はEQやリマスターで雰囲気が変わっている場合があるので、音楽的好みで選ぶと良いでしょう。
3) Put a Little Love in Your Heart(タイトル曲を含むアルバム/シングル)
おすすめ理由:1969年のヒット曲「Put a Little Love in Your Heart」は、明るく親しみやすいメロディに社会的な温かさを込めた楽曲で、Jackieの作曲/共作能力が光ります。ソウルフルなアレンジとポップセンスの融合が魅力です。
- 聴きどころ:コーラスワーク、リズムセクションのグルーヴ、Jackieの語りかけるような歌い回し。リリース時のプロダクションがポップとソウルのバランスをとっています。
- 盤選びのポイント:シングル盤(A面)としてのインパクトを重視するなら当時の7インチが最適。アルバムで他の収録曲も楽しむならLPを。プロダクションの違い(ステレオ/モノ)を聴き比べると面白い発見があります。
4) ソングライターとしての一面 — 「Bette Davis Eyes」(初期バージョン)
おすすめ理由:Jackie DeShannonはDonna Weissと共作で「Bette Davis Eyes」を書いており(1970年代中頃)、彼女自身もオリジナルを録音しています。この曲は後にKim Carnesの1981年版で世界的大ヒットとなりましたが、作り手自身のヴァージョンを聴くことで、曲の素地や初期のアイデア、歌詞のニュアンスを再発見できます。
- 聴きどころ:原曲に宿るムーディーさとレコーディング時のアレンジの違い。Jackieの歌い方はよりナチュラルで、後の80年代大ヒット版とは別物として楽しめます。
- 盤選びのポイント:Jackieの録音はアルバム収録曲として残っていることが多く、オリジナルLPやCD再発で入手可能。作詞・作曲者の意図を味わいたいリスナーにおすすめです。
5) コンピレーション盤(入門用・編集盤)
おすすめ理由:キャリアが長くシングルやアルバムに分散しているため、まとまった音源を安く効率よく聴きたいときは良いコンピレーション盤が便利です。オリジナル曲とヒット曲、レアなB面や別テイクを纏めた編集盤は、作風の変遷を俯瞰するのに役立ちます。
- 聴きどころ:代表曲群を年代順に追うことで、アレンジや歌唱の変化、作曲スタイルの深化が見えてきます。
- 盤選びのポイント:編集盤によって収録テイクやマスターの出典が異なります。ライナーノートの有無やリマスターの良し悪しを確認し、音源出典が明記されているものを選ぶと安心です。
音楽的な特徴と聴きどころ(総論)
Jackie DeShannonの音楽的な魅力は、まず「歌の語り口」にあります。力任せに押す声ではなく、フレーズの中でニュアンスを作るタイプの歌手なので、アナログ盤での空気感やリバーブ、マイク距離感がよく合います。アレンジは時代によってポップ寄り、フォーク寄り、ソウル寄りと変化しますが、どの時期でも「メロディを生かす」ことが優先されています。
また、ソングライターとしての評価も高く、後年に他アーティストが大ヒットさせた曲の原曲やデモを辿ると、曲自体の強さとJackieのオリジナル解釈の妙が見えてきます。レコードで聴くことで、当時の演奏者・アレンジャーの仕事ぶりやスタジオの空気がよりダイレクトに伝わるでしょう。
コレクター向けの選び方・探し方(音楽的観点でのアドバイス)
- オリジナル・ファーストプレスの魅力:当時のミックス感、マスターのダイナミクス、封入資料(インナースリーヴや歌詞カード)が価値を上げます。モノラル・ステレオの違いも音楽表現に影響するため、好みで選ぶと良いです。
- 再発/リマスター盤の長所:ノイズ処理やEQ補正で聴きやすくなっていることがあります。楽曲のニュアンスが際立つ一方で、オリジナルの「空気感」が薄れることもある点に注意。
- 編集盤選びの注意点:収録元マスターの表記、別テイクやシングル版の表記(single mix / album mix)をチェックする。ライナーノートが充実している編集盤は、曲の背景理解に役立ちます。
- レア曲やデモ:Jackieの自作/共作曲のデモや未発表曲がコンピに収められることがあるので、収録曲リストを細かく確認すると掘り出し物に出会えます。
聴き方の提案(プレイリスト的アプローチ)
- ヴォーカルの表現を楽しむ:代表曲をA面(強いメロディ)→B面(隠れた佳曲)という順で聴くと、Jackieの表現の幅が見えてきます。
- ソングライター視点で聴く:自身が書いた曲、共作曲、他作家の曲を比較して、メロディ作りや歌詞への解釈の違いを追いかけると新たな発見があります。
- 年代順に追う:60年代のポップ~70年代のソフトロック期~70s後半のシンガーソングライター寄り、と時代ごとのプロダクションや歌の表情を感じ取ってください。
最後に — 何を手に入れるべきか
まずは代表曲のシングル(「What the World Needs Now Is Love」「Put a Little Love in Your Heart」)を押さえ、その音作りやヴォーカルの生々しさを味わってください。その上で、作曲者としての面を知るためにJackie自身が歌う初期バージョン(特に「Bette Davis Eyes」のオリジナル)や良質な編集盤を手に入れるのが王道です。オリジナルLPがお手元にあると、時代の息遣いまで含めた音楽体験が楽しめます。
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参考文献
- Jackie DeShannon — Wikipedia
- Jackie DeShannon | AllMusic
- Jackie DeShannon | Discogs
- Bette Davis Eyes — Wikipedia(作詞・作曲の経緯)
- Jackie DeShannon 公式サイト


