Edith Mathisの魅力とおすすめ録音ガイド:モーツァルトのオペラからドイツ・リートまで

はじめに — Edith Mathisという歌手

Edith Mathis(エディス・マティス、1938年生)はスイス出身の抒情ソプラノで、モーツァルト作品やドイツ・リートを中心に幅広いレパートリーで知られます。鮮やかな音色、自然で美しいレガート、そしてドイツ語やイタリア語の明晰な発音により、オペラ・アリアから室内楽的なリート(歌曲)まで高い評価を得てきました。本稿では、これから彼女のレコードを聴いてみたい人向けに「おすすめ盤」を中心に、聴きどころや選び方のポイントを深掘りして紹介します。

Edith Mathis を聴くときのポイント

  • 声質と表現の特徴を聴き分ける:軽やかで柔らかな抒情ソプラノ。力技に頼らない「内面の表現」が魅力です。細かな音楽語法や語尾の処理に注目すると、彼女らしさがよく分かります。
  • 言葉(テクスト)へのこだわり:ドイツ語リートでは語尾や語感のニュアンスが重要。テキスト表現の丁寧さを味わってください。
  • レパートリーの幅:代表的にはモーツァルトのオペラとドイツ・リート(シューベルト、シューマン、ブラームスなど)。宗教曲やオラトリオでのソロも良質な録音があります。
  • スタジオ録音とライブ録音の違い:スタジオ録音は均質で美しく、ライブ録音は即興性や舞台の雰囲気が楽しめます。目的に応じて選ぶと良いでしょう。

おすすめレコード(ジャンル別・入門〜深堀り)

1)モーツァルトのオペラ録音(入門)

Mathis のモーツァルトは“役”への没入と音楽的均整が魅力です。代表的な役としてはパミーナ(魔笛)やスザンナ(フィガロの結婚)などの軽やかなヒロイン像が挙げられます。まずはアリアや抜粋を集めたアンソロジー盤、あるいは彼女が主要役で歌っているフルオペラ録音を一枚手に入れると、モーツァルト歌唱の特徴がよく分かります。

  • 聴きどころ:アリアの細かなフレージング、ピアニッシモのコントロール、台詞的な語り(recitativo)での語感。
  • 選び方:オーケストラと指揮の色味(古典的なアプローチかモダンか)で印象が変わります。まずは音質の良い再発盤を探しましょう。

2)ドイツ・リート(シューベルト/シューマン/ブラームス) — 深堀り向け

Edith Mathis は歌曲表現で特に高く評価されています。小編成ピアノ伴奏に寄り添う歌い口は、テクストに忠実で語りのような美しさがあります。シューベルトの連作歌曲(短調の小品や抒情的な歌曲群)、シューマンの詩への内的応答、ブラームスの落ち着いた深み——いずれも彼女の持ち味が発揮されます。

  • 聴きどころ:語尾のニュアンス、和声の変化に対する抑揚、ピアニストとの対話。
  • 入門盤の例:歌集や代表的な歌曲を集めたリサイタル盤。名伴奏者と組んだリサイタル(ピアノ伴奏者の名前は盤による)を探すと良いです。

3)宗教曲・オラトリオ(中級)

彼女は宗教曲やオラトリオでも堅実な歌唱を残しています。バッハやハイドン、モーツァルトの宗教作品などでのソロは、清潔な声質と明瞭な表現が効果を発揮します。ソロの性格付けが控えめで音楽に溶け込むため、合唱や器楽と整った録音が好相性です。

4)コンピレーション/ベスト盤(入門・手軽)

まずは「ベスト盤」や「アリア集」で彼女の色を掴むのがおすすめです。多くの場合、オペラ・アリアとリートをバランス良く収めた編集盤が出回っています。初めて聴く人はまずこれらで「好きかどうか」を判断するとリスクが少ないです。

5)ライブ録音や稀少盤(コレクター向け)

舞台での実演を切り取ったライブ録音は、彼女の表現の瞬発力やドラマ性を味わえます。音質が一定でないこともありますが、舞台の空気感や共演者との化学反応を楽しめる点が魅力です。古いライブは再発で発掘されることも多いので、コレクターは注意してチェックしましょう。

具体的な「最初の一枚」選び方ガイド

  • モーツァルトの軽やかなオペラ歌唱を楽しみたい → モーツァルトのアリア集や、彼女が主演するオペラ録音。
  • 歌唱の内的表現(テクスト解釈)を味わいたい → シューベルト/シューマンのリート集。
  • 声そのものの透明感を純粋に聴きたい → 宗教曲のソロ集やアリア集。

聴きどころの細かいチェックポイント(曲ごと)

  • 序唱/導入部では音の立ち上がりと母音の整合性を確認する(歌詞の明瞭さが出る)。
  • バラード系や劇的な歌曲ではダイナミクスのレンジ(弱音から強音への幅)を注視する。Mathis の強みは「大きな声で押す」より「内側からの盛り上げ」です。
  • レチタティーヴォや語り的なパッセージは、演技的な強調よりも語感と間の取り方を見ると良いでしょう。

盤選びの実用アドバイス

  • 信頼できるレーベル(大手クラシックレーベルや評判の良い再発シリーズ)からの再発盤を優先すると音質・解説がまとまっていて安心です。
  • 全集ボックスはコストパフォーマンスが良いことが多いですが、まずは単発の代表盤で「自分に合うか」を確かめるのが堅実です。
  • 英語や日本語の解説(ブックレット)に目を通すと、録音時の背景や共演者情報が理解でき、聴き方が深まります。

Edith Mathis をより楽しむための周辺知識

  • 共演者や指揮者の解釈によって同じ曲でも印象が大きく変わります。お気に入りの録音があれば、その指揮者や伴奏者の他録音も辿ってみましょう。
  • リートを聴くときは歌詞の日本語訳や原語の意味を確認すると理解が深まります。Mathis の特徴である「語りかけるような歌唱」が一層鮮明になります。
  • ライブ盤とスタジオ盤を聴き比べることで、彼女の演奏スタイルの幅と舞台上の表現力が見えてきます。

まとめ

Edith Mathis は、軽やかながら表情豊かな抒情ソプラノとして、モーツァルトのオペラやドイツ・リートにおいて特に高い評価を受けています。初めて聴くなら「モーツァルトのアリア集」か「シューベルト/シューマンのリート集」から入るのがおすすめ。そこからオラトリオやライブ録音へと広げると、彼女の全体像が見えてきます。レーベルや録音年の違いで聴き比べるのも楽しみの一つです。

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参考文献