Bill Bruford おすすめレコードを深掘り解説|入門3枚から時代別名盤まで完全ガイド
Bill Bruford — おすすめレコード 深掘りコラム
Bill Bruford(ビル・ブルーフォード)は、プログレッシブ・ロックとモダン・ジャズ/フュージョンの狭間で独自の道を切り開いたドラマー/バンドリーダーです。本稿では「代表作」「時代ごとの聴きどころ」「各盤で注目すべきドラム/音楽的特徴」を中心に、レコード選びの指針になるよう深掘りして紹介します。初心者がまず聴くべき一枚からマニア向けの聴き方までカバーします。
まずの入門3枚(ジャンル別での“起点”)
- Yes — Fragile(1971)
プログレ寄りのリスナーにはまずここ。Brufordの緻密でリリカルなドラミングがより際立つ作品。バンドのアンサンブルとソロのバランス感を知るのに最適。
- King Crimson — Larks' Tongues in Aspic(1973)
実験性/アヴァン寄りの演奏が好きなら必聴。パーカッシブで前衛的なアプローチ、ゴム製マレットやオーガニックな打撃音の使い分けなど、Brufordの多彩さが見える。
- Bill Bruford — Feels Good to Me(1978)
自身名義のジャズ・フュージョン寄りプロジェクト。作曲面でのセンス、ジャズ的なインタープレイ、ソロ以外でのドラミング表現を学べる。
時代別おすすめ盤と聴きどころ(深掘り)
1) Yes 時代(クラシック・プログレ)
代表作:Fragile(1971)、Close to the Edge(1972)
聴きどころ:ブラス感のあるシンバル/タムワーク、空間を生かした“間”の取り方、ポリリズム的なアクセント。特に「Roundabout」(Fragile)や「Close to the Edge」組曲群では、フレーズの合間に入れる短いフィルが曲の構造を支える役割を果たしています。
なぜおすすめか:若き日のBrufordがバンド音楽の中でどのようにコンパクトに、かつ音楽的にドラムを機能させたかがわかる。プログレの“曲を動かすドラミング”を学ぶのに最適です。
2) King Crimson 時代(前期/再編期)
代表作:Larks' Tongues in Aspic(1973)、Starless and Bible Black(1974)、Red(1974)、Discipline(1981)
聴きどころ:マレットやブラシ、スネアのチューニングを変えたサウンドメイク、複雑な拍感と転調に同期する推進力、そして80年代の再編期には電子ドラムやサンプルの活用による新しい音像。特に前期では「打楽器=テクスチャー」の役割が顕著です。
なぜおすすめか:Brufordの最も“実験的”な側面。バンド全体でのシリアスなインタープレイが展開され、ドラマーがリズム以上の役割(色彩・空気感)を担う例を示しています。
3) Bruford(リーダー主体のフュージョン/ロック)
代表作:Feels Good to Me(1978)、One of a Kind(1979)、Gradually Going Tornado(1980)
聴きどころ:ジャズ的即興とロック的エネルギーが融合したサウンド。ギタリスト(初期にはAllan Holdsworthが参加)やキーボードとのインタープレイで、Brufordは“リズムとハーモニーの架け橋”として機能します。
なぜおすすめか:ドラマーがバンドの方向性を決めつつ、自身の作曲を強調する場面が見られる。妙に計算されたフレーズと生のグルーヴが同居する、聴き応えあるアルバム群です。
4) Earthworks(ジャズ/現代ジャズ)
代表作:Earthworks(1987)、All Heaven Broke Loose(1991)など
聴きどころ:アコースティックと電子(サンプリングや電子パッド)を織り交ぜた音色設計、サックスやピアノとの綿密な対話、ソロに留まらない“アンサンブルのためのドラミング”。Iain BallamyやDjango Batesといったメンバーの繊細さと合致したサウンドです。
なぜおすすめか:Brufordの成熟したジャズ観が最もはっきり出る時期。テクニックだけでなく、音楽構造に対するアプローチ(リズムの組み立て方、ダイナミクスの作り方)を学ぶ価値があります。
5) その他のコラボレーション/ライブ録音
80年代〜90年代のKing Crimson再編期ライブ(Discipline-eraのライブ盤など)は、エレクトロニクスを取り入れたBrufordのプレイがよく聴けます。ライブでは即興的な応酬や、編成に応じたサウンドメイクの変化を見ることができます。
聴き方の具体的ポイント(ドラマー/音楽好き向け)
“間”と“省略”を聴く:Brufordの特徴は単に速く叩くことではなく、必要なところで音を入れ、必要なところで沈黙すること。フレーズの終わりや転換部の“空白”に注目して聴くと、そのセンスが分かります。
テクスチャーの違い:同じスネアでも曲によってチューニングやスティックの種類、マレット/ブラシが変わることがあります。楽器の音色選択がどのように楽曲の雰囲気に寄与しているかを追ってみてください。
ポリリズムとアクセント:8拍子や7拍子などの変拍子だけでなく、アクセントの置き方で「循環感」を作ることが上手です。リズムの“落としどころ”に注目しましょう。
バンドリーダーとしての立ち回り:自身のリーダー作では、ドラミングが作曲やアレンジの中心になっている場面が多いです。フレーズがドラミングから発想されている部分を探すと面白いです。
おすすめの聴き順(初級→中級→上級)
- 初級:Yes「Fragile」→King Crimson「Larks' Tongues in Aspic」
- 中級:Bill Bruford「Feels Good to Me」→Bruford「One of a Kind」
- 上級:King Crimson(80s)「Discipline」→Earthworks(各作品)→各ライブ盤
購入時の判断基準(盤選びの観点)
- スタジオ盤で作編曲をじっくり味わいたければオリジナル/リマスター帯のある国内盤や信頼できるリマスター盤がおすすめ。
- ライブの即興性を重視するならライブ盤(収録時期で音色やプレイが大きく異なる)を優先。
- 同じアルバムでもメンバー編成やミックスによって聴こえ方が変わるので、興味ある盤の複数バージョンを比較するとBrufordの音作りがよく分かります。
おわりに — Bill Bruford を深く楽しむために
Bruford の魅力は「テクニックの見せ場」だけでなく、音楽への相対的な向き合い方、つまり「どこで叩き、どこで沈黙するか」「音色をどう選ぶか」にあります。ロック/プログレのダイナミズム、前衛的な実験性、そしてジャズ的微細表現──これらを結ぶ橋渡しとしてのドラミングを意識して聴くと、新たな発見が多いはずです。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


