Artie Shawの聴き方ガイド:代表曲・Gramercy Five・名盤おすすめと音楽的特徴を深掘り
はじめに — Artie Shawとは
Artie Shaw(アルティ・ショウ、1910–2004)は、スウィング時代を代表するクラリネット奏者・バンドリーダーの一人です。ベニー・グッドマンと並び称されるテクニックと表現力を持ち、ビッグバンドのダンス音楽から小編成によるジャズ表現、さらにはクラシック寄りのアプローチまで幅広く手掛けました。ここでは、どのレコード(シングルやアルバム)を聴けば彼の魅力がよく伝わるかを中心に、楽曲の背景や聞きどころを深掘りして紹介します。
聴き始めに最適な代表作(シングル/曲)
Begin the Beguine(1938)
コール・ポーター作のナンバーをショウが大胆にアレンジして大ヒットさせた一曲。ゆったりとしたテンポで展開する大編成のアレンジと、クラリネットの流麗なソロが印象的です。これがショウを一躍トップ・バンドリーダーに押し上げた“代表曲”で、彼の芸術性と商業的成功が結びついた瞬間といえます。
Frenesi(1940–41)
メキシコの作曲家アルベルト・ドミンゲスの曲をラテン風味に編曲したナンバー。商業的にも大きな成功を収め、ショウのレパートリーに新たな色合いを与えました。リズム感とクラリネットの艶が際立つ演奏で、スウィングとラテンの接点を感じられます。
Stardust(複数録音あり)
ホーギー・カーマイケルの定番をショウが取り上げた演奏群。特にオーケストラを用いたロマンチックなアレンジは“シンフォニック・スウィング”として高く評価されます。深い抒情性とクラリネットの歌心を味わいたいときに最適です。
小編成グループ:Gramercy Five 期の魅力
ショウは大編成と並行して「Gramercy Five」と呼ばれる小編成グループでも活動しました。トランペットやピアノとクラリネットが間近で絡むアンサンブルは、スモールコンボの熱気と即興性が前面に出ており、ビッグバンド時代のダンス寄りの音楽とは別の鋭さと機智が楽しめます。小編成録音はショウのフレージングの速さやジャズ感覚をダイレクトに味わえるため、ジャズ愛好家にはぜひ聴いて欲しい領域です。
名盤(コンピレーション/BOX等) — 初級〜上級まで
ベスト/入門向けコンピレーション
「Best of」や「The Very Best of Artie Shaw」など、代表曲を集めた編集盤はまず押さえておくべき一枚。Begin the Beguine、Frenesi、Stardust といったヒット曲がまとまっており、ショウの音楽的幅を短時間で掴めます。CDや配信での入手が容易で、入門用として最適です。
完全盤・セッション集(上級者向け)
コレクターやディープリスナー向けには「Complete RCA Victor Recordings」「Complete Columbia/Okeh Sessions」など、レーベル別の全集やボックスセットをおすすめします。こうしたセットにはセッション順、編成、別テイクなどが網羅されており、ショウの編曲の変遷やバンドのメンバー変化を追うのに適しています。音質や解説の充実度はリイシューによって差がありますので、解説(ライナー)をチェックすると良いでしょう。
Gramercy Five 集(小編成に特化)
小編成の録音だけを集めた編集盤は、ショウのジャズ的アプローチ、即興と会話的アンサンブルをじっくり楽しめます。ビッグバンド期の華やかさとは違う“生音の躍動感”を味わえ、演奏のスリリングさが際立ちます。
聞きどころ・音楽的特徴の深掘り
クラリネットの表現力:ショウのクラリネットは技巧だけでなく「歌う」感覚が際立ちます。テンポの揺らぎや音色の変化によってメロディを紡ぐため、同じ曲でも別テイクを聴き比べると異なる物語性が現れます。
編曲の巧妙さ:ショウ自身がアレンジに積極的に関わり、ダンス向けのリズムを保ちつつも色彩的でドラマティックな展開を作ります。弦楽器やハーモニーの使い方に“シンフォニック”な影響を感じる場面が多く、単なるスウィングを超えた構築性があります。
時代性と実験性の両立:商業的ヒットを生み出す一方で、ショウは音楽的探求を続け、バンドを解散・再結成を繰り返しました。そのため録音ごとに編成や音楽性が変化し、同一人物の中に複数の顔がある点が魅力です。
どのバージョンを選ぶか(音源選びの指針)
まずは代表曲を網羅した入門盤でショウ像を掴む。曲の背景やアレンジを知って興味が湧いたら、完全盤やセッション集(レーベル別BOX)で細部を掘り下げるのが効率的です。
小編成(Gramercy Five)と大編成(Artie Shaw Orchestra)で味わいが大きく異なるため、両方を聴き比べるとショウの幅広さがよく分かります。
リイシュー選びでは、ライナーノーツにセッション情報や編成、録音日が詳しく載っているものを選ぶと、歴史的背景や演奏者の取り合わせも理解しやすくなります。
聴き手への提案 — 楽曲ごとの集中ポイント
Begin the Beguine:冒頭のイントロからアンサンブルのドラマを追い、クラリネットが語る“主題”の変奏に注目。大ヒットになった理由が理解できます。
Frenesi:リズムのノリとクラリネットのフレーズの掛け合いに耳を向け、ラテン・エッセンスがどのようにスウィングに取り込まれているかを探してみてください。
Gramercy Five の小編成曲:ソロの即興性、プレイヤー間の呼吸をじっくり追う。小さなフォーマットの中で展開される緊張感が味わえます。
まとめ
Artie Shaw は「ヒットを生む職人性」と「音楽的探究心」を併せ持った稀有な存在です。まずは代表曲の入門盤で彼の音色と編曲感を掴み、その後にGramercy Five やレーベル別の全集で時代ごとの変化や隠れた名演を掘り下げるのがおすすめです。ショウの録音を通して、スウィングの華やかさとジャズの即興的精神が交差する豊かな世界を楽しんでください。
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