Malcolm Mooney と Can 初期の名盤を徹底解説:Monster Movie から Soundtracks まで聴きどころ総まとめ

イントロダクション — Malcolm Mooney を聴く理由

Malcolm Mooney はアメリカ出身のボーカリスト/アーティストで、特にドイツの伝説的バンド Can の初期メンバーとして知られます。彼の声はラフでエモーショナル、時にブルースからパンク的な原始性までを行き来し、のちの実験音楽やポストロック、オルタナティヴ・シーンに多大な影響を与えました。本稿では「Malcolm Mooney という人物を知るのに特に有効なレコード」を中心に、その聴きどころや選盤の観点から深堀して解説します。

Malcolm Mooney 概要

Mooney は1960年代末にベルリンで結成された Can のボーカリストとしてキャリアをスタートしました。彼の在籍は短期間(主に1968–1970 年頃)ですが、その存在感は強烈で、バンドの初期サウンドの輪郭を決定付けました。Mooney の歌唱は言葉のリズムや叫び/呟きのような表現を多用し、当時の伝統的な「歌もの」から大きく逸脱することで、Can の実験性を際立たせました。

おすすめレコード(Can 期を中心に)

  • Monster Movie (1969) — Can

    Mooney がヴォーカルを務めた Can のデビュー作。ロックの骨格にアヴァンギャルドや即興性を混ぜた初期の衝動がそのまま詰まっています。Mooney の声質とフレージングがバンドの不安定さ・実験性をぐっと前に出す一枚で、彼を知る第一歩として最適です。

  • Soundtracks (1970) — Can

    映画音楽的な側面を含むコンピレーション的作品で、初期のシングル曲や映画用に書かれた短い楽曲が混在します。Mooney が関わったトラックが散見され、彼の短い在籍期間における多彩な表現を追うのに向いています。バンドが後のアンビエント/ドローン方向へ進む前の、多様なアイデアの断片が楽しめます。

  • Unlimited Edition (1976) — Can

    未発表テイクやアウトテイク、初期のセッション音源を集めた編集盤。Mooney 在籍期の貴重なデモ/別テイクが含まれており、彼とバンドの創作過程を垣間見ることができます。研究的に聴きたいリスナーにおすすめです。

  • Early/Compilations & Reissues(おすすめの聴き方)

    Mooney 時代は短いため、彼の声やフレーズを体系的に楽しむなら各種リマスター/ボックスセットや初期シングルを集めた編集盤が便利です。リマスター盤は音像がクリアになり、ボーカルのニュアンスが掴みやすくなります。

  • 文脈的に聴くおすすめ:Tago Mago / Ege Bamyasi など(Mooney 退団後の作品)

    Mooney 退団後の Can は Damo Suzuki を迎え、サウンドが大きく変化します。Mooney 期と比較することで、彼の存在がバンド初期に与えた痕跡や、その後の進化の軌跡がより明確になります。音楽的文脈を掴むために一緒に聴くことを推奨します。

各レコードの聴きどころ(トラック単位の注目点)

  • Monster Movie:歌唱の“即興性”と“繰り返し”の使い方。言葉がリズムと化す瞬間に注目すると、Mooney の影響力が分かります。

  • Soundtracks:短い楽曲や断片的な曲が多いため、アイデアの粒が際立ちます。ヴォーカルの表情が多彩で、映画的な情景を想起させるトラックに注目。

  • Unlimited Edition:未発表音源ならではの荒々しさ、実験の“痕跡”を楽しんでください。スタジオでの試行錯誤がそのまま音になっています。

Malcolm Mooney のソロ/後年の活動について(聴きどころと探し方)

Mooney は Can 退出後もアート/音楽活動を続け、後年にソロ作やコラボレーションを発表しています。ソロ作ではよりヴォーカルそのものを前面に出した作品や、詩的・実験的なアプローチが見られます。具体的なタイトルはリイシューや海外盤が多く流通ルートが分散しているため、Discogs や音楽データベースで「Malcolm Mooney」名義のリリースを追うのが確実です。

聴き方の提案(深堀のためのリスニング・ガイド)

  • まずは Monster Movie を通して1回聴き、次に気になるトラックを繰り返す。Mooney のフレーズがどのようにリズムに食い込み、抜けるかを追ってください。

  • Soundtracks や Unlimited Edition で「未完成のアイデア」を聴き、どの断片が後の Can のサウンドにつながったかを想像してみると面白いです。

  • Mooney とその後のボーカリスト(例:Damo Suzuki)を比較すると、Can の多面性と各時期の特色がより鮮明になります。

購入・入手のコツ

  • 初期プレスは人気が高く高額化しやすいので、まずは公式リマスター/再発盤をチェック。音質面でもリマスター盤が安心です。

  • 未発表集や編集盤は廉価なCD/デジタル配信で手に入りやすい場合があります。研究・鑑賞用はこれらで十分に楽しめます。

  • ソロやコラボレーションはリリース元が小規模なケースも多いので、Discogs や Bandcamp、公式サイトをこまめに確認するのが有効です。

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参考文献