Peter BaumannとTangerine Dreamのシーケンス時代を徹底解説:PhaedraからStratosfearまでの名盤ガイド
イントロダクション — Peter Baumannとは何者か
Peter Baumann(ピーター・バウマン、1953年生)は、ドイツ出身のキーボーディスト/プロデューサーで、1970年代のエレクトロニック/プログレッシブ音楽史において重要な役割を果たしました。特にTangerine Dreamのメンバー(1971〜1977頃)としての活動で知られ、シーケンサー中心のサウンド構築や空間演出に大きな貢献をしました。その後はソロ活動やレーベル運営(Private Musicの設立)を通じて、現代的なインストゥルメンタル/アンビエントの流れにも影響を与えています。
選び方の基準 — なぜこれらのレコードを推すのか
歴史的意義:Baumann在籍期のTangerine Dreamは“シーケンサー/モジュラー機材を前面に出したサウンド”の確立期であり、クラシックと評価される作品が集中しています。
サウンドの多様性:初期のドローン的実験〜シーケンサー主導のリズム感〜メロディアスな楽曲まで、Baumannの関わった作品は幅広いエレクトロニック表現を示します。
音盤としての魅力:オリジナルのアルバム構成、サイドA/Bでの展開、ライブ盤での即興性など、レコードで聴く価値が高いタイトルを中心に選びました。
おすすめレコード(Tangerine Dream在籍期)
Phaedra(1974)
なぜ聴くか:Tangerine Dreamの転換点。モーグやシンセの持続音とシーケンスが組み合わさり、長大で瞑想的な構築感を示した名盤です。Baumannはこの時期のサウンド形成に深く関与しており、シンセのテクスチャーや空間処理でアルバム全体の色を作っています。
聴きどころ:タイトル曲「Phaedra」は長時間をかけてテーマを展開する構成。シーケンスが徐々に絡み合い、浮遊感と緊張感が同居する瞬間が多くの聴き手に衝撃を与えました。
Rubycon(1975)
なぜ聴くか:Phaedraの延長線上にありつつ、よりリズミカルなシーケンス感が前面に出た作品。アンビエントとミニマル・リズムの融合を深めた一枚で、ライブ感とスタジオでの精緻な音作りが両立しています。
聴きどころ:大曲が2トラックで構成されるため、音の推移やレイヤーの重なりをじっくり味わえます。Baumannらの手触りは、中低域での揺らぎやフィルター処理に現れます。
Ricochet(1975)
なぜ聴くか:ライヴ・アルバムながら構成力が高く、即興性と計算された展開が共存しています。ステージでの機材操作や空間処理がそのまま音盤に残っており、Baumannのパフォーマンス志向を知るうえで貴重です。
聴きどころ:ライブならではのエネルギーと生々しさ。シーケンスの変化に対する即興的リアクションやサウンド処理のダイナミズムが魅力です。
Stratosfear(1976)
なぜ聴くか:Phaedra/Rubycon期の“濃密なシンセサイザー群”から、よりメロディアスで聴きやすい方向へと舵を切った作品。エレクトロニックの実験性とポップ/ニューエイジ寄りの親しみやすさが混在しています。
聴きどころ:タイトル曲を含むメロディの立ち方や、アコースティック楽器的なタッチ(ピアノやギター)とのブレンドが、当時のサウンドの変化をよく表しています。Baumannはテクスチャー作りやシーケンサーの遊びで重要な役割を果たしました。
Zeit(1972)とAtem(1973)
なぜ聴くか:これらはTangerine Dreamの初期作で、ドローン志向の長大な楽曲が中心。Baumann加入後のサウンド基盤が形成されていく過程を聴くには最適です。特にZeitは抽象的・瞑想的な作品として評価が高く、エレクトロニックの“ドローン美学”を体感できます。
聴きどころ:ゆっくりとした音の重なりと空間感。長時間を使った展開は、現代のアンビエント音楽の原型のひとつといえます。
Baumannのソロ作品とレーベル活動(概観)
なぜ注目するか:BaumannはTangerine Dream脱退後、ソロ作品で自身の音楽的ビジョンを追求するとともに、1984年にレーベル「Private Music」を設立してプロデューサー/レーベル運営者として成功しました。Private Musicはインストゥルメンタルやニューエイジ系作家(例:Yanniなど)を世に出し、商業的にも影響力が大きいです。
聴きどころ:ソロ作はより個人的で歌心あるメロディやポップ寄りの構成を取り入れることが多く、Tangerine Dreamでの実験性と並行して“聴かせる”技術も磨かれています。ソロ盤を探す際は、ディスコグラフィ(Discogsや公式サイト)を参照して時期ごとの作風変化を追うと面白いです。
レコードとしてのおすすめポイント(サウンド体験の面から)
長尺トラックの時間経過をLPでじっくり味わう:A面・B面の物理的な区切りが作品の聴き方に一種のドラマを与えます。
ライヴ盤は即興の“呼吸”がそのまま残る:Ricochetのようなライブ作品は、機材操作や演奏の温度感を感じられます。
アルバム単位での構成美:PhaedraやRubyconはアルバム全体を通して聴くことで真価がわかるタイプです。
入門とディープリスニングのすすめ
初心者はまずPhaedra→Rubyconの流れで“シーケンス期”を体感し、その後Stratosfearで聴きやすさに移行すると理解しやすいです。さらに深掘りしたければRicochetのライブ即興、ZeitやAtemのドローン的な長尺作品へと踏み込んでいくと、Baumann/Tangerine Dreamの音楽的幅が実感できます。
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参考文献
- Peter Baumann (Wikipedia)
- Tangerine Dream (Wikipedia)
- Phaedra — Tangerine Dream (Wikipedia)
- Rubycon — Tangerine Dream (Wikipedia)
- Ricochet — Tangerine Dream (Wikipedia)
- Stratosfear — Tangerine Dream (Wikipedia)
- Peter Baumann — AllMusic


