Satyricon名盤ガイド:初心者からコレクターまで押さえる代表作とブラックメタルの歴史
はじめに — Satyriconという存在
ノルウェー出身のブラックメタル・バンド、Satyricon(サティリコン)は、Satyr(ボーカル/ギター/鍵盤)とFrost(ドラム)を中心に1990年代初頭から活動し、ブラックメタルの伝統を継承しつつも時代と共に音楽性を拡張してきました。プリミティブで暗い初期作から、よりモダンでロック的な表現へと変化するその軌跡は、レコードで聴き比べることでバンドの歩みと音像の変化を深く味わえます。本稿では、Satyriconを聴き始めたい人やコレクションを進めたい人に向けて、押さえておきたい代表作・名盤をピックアップして解説します。
選定の基準
- バンドの歴史的・音楽的節目となった作品
- 音像の特徴が明確に表れている作品(初期の原始性/中期の傑作性/近年の洗練)
- レコードで聴いたときに魅力が引き立つ作品
おすすめレコード一覧
Dark Medieval Times(1993)
デビュー作。ブラックメタルの荒々しさの中に中世的な雰囲気やメランコリックなメロディを取り入れた、Satyriconの原点とも言える一枚です。アコースティックやフォーク的な要素を適度に混ぜた構成は、当時の冷たいノルウェー・シーンの中でも独自色が強く、初期Satyriconの“儀式的”な空気を体感できます。
- 聴きどころ:初期の荒々しいギター・トーンと寒色系のメロディ
- こんな人に:ブラックメタルの伝統的な色合いを求めるリスナー
Nemesis Divina(1996)
Satyriconの代表作であり、ブラックメタルの金字塔の一つと評される作品。より完成度の高い楽曲構成とドラマティックな展開、そしてメロディの鮮烈さが際立ちます。特に「Mother North」はバンドの代名詞的な楽曲として広く知られており、序盤から終盤までの緊張感のある流れはレコードで針を落として通して聴く価値が高いです。
- 聴きどころ:壮大で寒々しいメロディ、重厚なリズムと暗鬱な美学
- こんな人に:ブラックメタルの“名盤”を一枚だけ持ちたい人
Rebel Extravaganza(1999)
前作の流れを受けつつも、より攻撃的で実験的な色合いを強めた作品。産業的・機械的なリズム感や冷徹な音像を取り入れ、Satyriconのダークで過激な側面を押し出したアルバムです。従来のファンにとっては賛否が分かれた時期でもありますが、バンドの“挑戦的”な姿勢を知るには重要な一枚です。
- 聴きどころ:音作りの鋭さと冷徹なビート感
- こんな人に:バンドの幅広さや実験精神を体感したい人
Volcano(2002)
よりロック的・グルーヴィーなサウンドを取り入れ、Satyriconの音楽性がブラックメタルの枠を越えてさらに幅を広げた作品。メロディラインが強く打ち出され、シングル寄りの力強さやキャッチーさを併せ持っています。ステージ映えする楽曲も多く、ライヴでの人気曲も生まれました。
- 聴きどころ:黒いグルーヴと明快なリフ、モダンなプロダクション
- こんな人に:ブラックメタルの“硬質さ”とロックの“ノリ”の両方を求める人
Now, Diabolical(2006)
さらに洗練された音作りと、重厚かつメロディアスな楽曲群が特徴。リフ主導でありながら深みのあるアレンジが光り、アルバム全体の完成度は非常に高いです。「K.I.N.G.」のようなキャッチーなアンセムもあり、モダンなブラックメタルの到達点として評価されることの多い作品です。
- 聴きどころ:タイトな演奏、クリアなミックス、印象的なフック
- こんな人に:メロディと重量感のバランスが取れた音を好む人
Deep Calleth Upon Deep(2017)
近年作の中でも充実した内容で、陰鬱さと叙情性を併せ持つ作風が特徴。成熟したソングライティングと表現力で、バンドが長年かけて築いた“様式”の集大成的な側面を見せます。最新の録音技術を活かしたクリアな音像は、レコードでの再生でも各楽器の存在感がしっかりと伝わります。
- 聴きどころ:深みのあるアレンジと表情豊かなボーカル・パート
- こんな人に:長年のファンにも初めて聴く人にも薦めやすい一枚
どの盤を買うべきか(入門〜コレクター向けの指針)
入門者にはまず「Nemesis Divina」を強く薦めます。Satyriconの美学と力強さが凝縮されており、バンド理解の基礎になります。次いで「Now, Diabolical」や「Volcano」を聴くと、モダンな側面がよく分かります。コレクターや音質重視のリスナーは、オリジナルプレスと近年の再発プレスで音質やマスタリングが異なる場合があるため、Discogsなどで盤情報を確認して好みのマスターを選ぶと良いでしょう。
リリース年代ごとの聴き比べの楽しみ方
- 初期(1993–1996):生々しく原始的なブラックメタルらしさを堪能
- 中期(1999–2006):実験性・産業的要素と、ロック的なグルーヴの導入
- 近年(2008–):完成度と表現の幅が拡がった成熟期
最後に — Satyriconのレコードを聴くということ
Satyriconは単なるブラックメタル・バンドの枠に留まらず、楽曲構造や音作りに進化を続けてきました。レコードで聴くことで、アルバムごとの音像の差や空間表現、楽曲のダイナミクスをより直に感じられます。まずは一枚を選び、そこから時代を遡ったり新作に進んだりしながらバンドの変遷を辿ることをおすすめします。
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参考文献
- Satyricon — Wikipedia
- Satyricon — AllMusic(アーティスト概要)
- Nemesis Divina — AllMusic(アルバム)
- Satyricon — Encyclopaedia Metallum
- Satyricon — Discogs(ディスコグラフィ)


