Venom(ヴェノム)— ブラックメタルの起源と影響を紐解く徹底ガイド

イントロダクション — Venomとは何者か

イギリス出身のバンド、Venomは1979年に結成され、1980年代初頭に発表した一連の作品でエクストリームメタル(特にブラックメタルやスラッシュメタル)に計り知れない影響を与えた存在です。粗削りで暴力的、そして悪魔崇拝やオカルトをモチーフにしたイメージを前面に押し出した彼らの表現は、単に音楽だけでなくシーン全体の美学を大きく変えました。

メンバーとその役割

  • Cronos(Conrad Lant) — ベース/ヴォーカル。バンドの顔であり、ステージ上のカリスマ性と特徴的な咆哮系ヴォーカルがVenomのサウンドを象徴する。
  • Mantas(Jeffrey Dunn) — ギター。粗いながらも即効性のあるリフとフレーズを生み、初期Venomの攻撃性を牽引。
  • Abaddon(Anthony Bray) — ドラム。パワーと勢いを優先させたプレイでバンドのリズム隊を支える。
  • 結成以来ラインナップは流動的で、ソロ・サイドプロジェクトや脱退/復帰を繰り返してきたが、Cronosを中心とした系譜がバンドの核を保っている。

音楽性と特徴 — なぜ“過激”と呼ばれるのか

Venomの音楽は高音質で洗練されたテクニックよりも、ワイルドで直感的なエネルギーを重視します。特徴的なのは次の点です。

  • 粗いプロダクション:意図的に泥臭く、迫力を優先した録音。これが“邪悪さ”の演出に寄与。
  • シンプルで耳に残るリフ:速さや技巧で魅せるのではなく、フックの効いたリフで一撃必殺の印象を残す。
  • 過激な歌詞とイメージ:サタニズム、悪魔崇拝、オカルトなど、当時の主流から逸脱したテーマを掲げた。
  • パンク的な態度:DIY精神と反体制的な姿勢を持ち、メタルの既存ルールに挑戦した。

ビジュアルと世界観 — ステージ/ジャケットの演出

Venomは単なる音楽表現に留まらず、アートワーク、ステージ衣装、バンド名やメンバー名の取り扱い方など、総合的な「恐ろしさ」の演出に長けていました。Pentagramや悪魔的モチーフ、暗い色調のジャケットは、リスナーに即座に印象を与え、シーンのアイコンとなりました。

シーンへの影響と遺産

Venomの最大の功績は“ブラックメタル”という言葉を広め、ブラックメタルの美学的出発点に大きく寄与したことです(ジャンル名は彼らのアルバム『Black Metal』に由来します)。また、スラッシュメタルやデスメタルの初期バンドにも大きな影響を与え、以下の点で評価されます。

  • ジャンルの枠組みを拡張:より過激で暗いテーマをメタルの中心に据えた。
  • DIY的精神の浸透:自主制作や低予算での演出が後進バンドに与えた影響。
  • サブカルチャーとしての“メタル美学”を確立:衣装・ロゴ・ステージングがシーン全体に波及。

代表曲・名盤の紹介

  • Welcome to Hell(1981) — デビュー作。荒削りだがエネルギーに満ちた楽曲群で、In League with Satanなど鋭いインパクトのある曲を含む。Venomという存在を一気に知らしめた一枚。
  • Black Metal(1982) — タイトル曲が示す通り、のちのブラックメタルに与えた影響は計り知れない。より劇的でコンセプチュアルな構成を取り入れた重要作。
  • At War with Satan(1984) — 長尺の組曲的展開を試みるなど野心作。賛否両論あるが、当時の表現の幅を示した作品。
  • その他おすすめ曲:Countess Bathory、Witching Hour、In League with Satanなど、ライブでの核となる楽曲が多い。

年表的な変遷と主要な出来事

  • 1979年 — バンド結成。
  • 1981年〜1984年 — 初期の重要作を立て続けに発表し、シーンに名を馳せる。
  • その後 — 人事の入れ替わり、解散と再編、Cronosのソロ活動などを経ながら断続的に活動を継続。
  • 2000年代以降 — 初期作品の再評価と影響力の顕在化、レガシーとしての確立。

ライブ体験とファン文化

ライブは視覚的演出と熱量が重視され、観客との一体感を生むショーマンシップがあります。初期の粗さやアグレッシブさがそのまま現れることが多く、「完璧さ」より「衝動」を楽しむタイプの観客に強く支持されています。コアなファン層は彼らを“伝説”として尊敬し、新旧のメタル・コミュニティで語り継がれています。

聴きどころ・初心者への導き

  • まずは『Welcome to Hell』と『Black Metal』の2枚を聞いて、Venomの核となる世界観とサウンドを体感する。
  • 音質は現代の基準で洗練されていないので、そこを「味」として楽しむ心持ちで聴くと良い。
  • 歌詞やアートワークも含めてトータルで味わうことで、当時の衝撃と文脈がより深く理解できる。

まとめ — なぜVenomは今も語り継がれるのか

技術的な完成度やプロダクションの良さだけでは測れない、純粋なエネルギーと反逆性を体現している点がVenomの本質です。音楽ジャンルとしてのブラックメタルの命名に直接関わったこと、そして以後のエクストリームメタルに与えた影響力の大きさから、彼らの評価は単なるノスタルジーを超えています。メタルの歴史を語る上で欠かせない存在であり、その“汚れた美学”は現代のシーンにも色濃く残っています。

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参考文献