Venomレコード完全ガイド:初期名盤の聴き比べとコレクターが知るべき選び方

はじめに — Venomとレコードで味わう“原始の衝動”

イギリス出身のバンド、Venomは1979年結成以来、ブラックメタルというジャンル名の起源にも影響を与えた存在です。荒々しく、低音の効いたベース/ボーカル(Cronos)、鋭いギター(Mantas)、直線的なドラム(Abaddon)というトリオ編成が生み出した原始的なサウンドは、デジタルリマスターやCDでは伝わりにくい“空気感”や“粗さ”が魅力。ここではレコード収集者/リスナー向けに、代表盤の紹介と各盤を選ぶ際のポイントを深掘りしていきます。

必携レコード(名盤・代表作)

Welcome to Hell(1981)

Venomのデビュー・アルバムにして伝説的作品。パンク直系の勢いと初期メタルの暗さが混ざり合ったサウンドで、曲ごとのテンポ変化や生々しいヴォーカルが印象的です。

  • 代表曲:Welcome to Hell、In League with Satan、Witching Hour
  • おすすめポイント:オリジナルのNeat Recordsプレスは“当時の迫力”が残っておりコレクターズアイテム。音の粗さ=魅力を重視するならオリジナル盤が第一候補。
  • 注意点:オリジナルは流通が限られ価格高騰。音質重視なら信頼できる公式リイシュー(180gなど)も検討。

Black Metal(1982)

アルバムタイトルがジャンル名にまで影響を及ぼした象徴的作品。原始的で攻撃的、そしてある種の儀式性を帯びたサウンドは、後続のブラックメタルに多大な影響を与えました。

  • 代表曲:Black Metal、Buried Alive、Countess Bathory
  • おすすめポイント:曲の攻撃性やリフの切れ味を重視するなら初期プレス、歴史的文脈を味わいたいコレクターに最適。
  • 選び方のヒント:初期プレスはラフなミックス感が魅力。一方で近年のリマスターは音の見通しが良く、再生環境によっては聴きやすく感じられます。

At War with Satan(1984)

サイド長の組曲的な大曲を含む、初期Venomのスケール感が見える作品。よりドラマティックで構成志向の強い曲が並び、ライブでの見せ場も多く含まれます。

  • 代表曲:At War with Satan(組曲)、Witching Hour(ライブで重要な位置を占める曲)
  • おすすめポイント:アルバム通してのドラマ性を楽しみたい人に。オリジナル盤は音像の迫力があり、当時のバンドの“勢い”を強く感じられます。

Possessed(1985)〜その後の転換期

初期三部作以外も魅力的な作品は多数あります。Cronosがバンドを離脱/復帰する時期をはさみつつ、音楽性の実験やメンバーチェンジが反映された作品群は、バンドの幅を知る上で重要です。

  • 代表曲(この期の例):Possessed、Die Hard
  • おすすめポイント:初期の直線的攻撃性とは違う“変化”を知るための一枚として価値があります。

Prime Evil(1989)/Cast in Stone(1997)など(後期・復活期)

ヴォーカル/ラインナップの変化に伴い音作りも変化。よりモダンな音作りやプロダクションが導入されており、初期ファンには好みが分かれるところですが、完成度の高い楽曲も多く含まれます。

  • おすすめポイント:「原始性」以外のVenom像(テクニックやプロダクション重視の側面)を知りたい人向け。

編集盤・シングル・レアトラック集(コンプリート志向の人へ)

シングル、EP、ライヴ盤、未発表曲集などはコレクターに人気。初期のシングルやプロモ盤は音源の違いやミックス差があることがあり、聴き比べが楽しいジャンルです。

レコードの“どの盤を選ぶか” — 実務的な指針(再生や保管ではなく“音/価値”の観点)

  • オリジナル盤(初期Neat Recordsプレス)=歴史的価値と“当時の音”。入手は難しく価格は高め。
  • 公式リイシュー=入手性が良く、音質がクリア。リマスターでの音像の違いを好むならこちら。
  • 限定カラー盤/再発ボックスセット=コレクション性重視。付属のブックレットや未発表音源が魅力。
  • サウンドの好みを優先する:粗く荒々しい音を求めるなら初期盤、音の分離や低域/高域のバランスを求めるなら良質なリイシューを検討。
  • 価格と希少性のバランス:すべてオリジナルで揃えるのは最もコストがかかるため、代表的な一枚だけオリジナル盤、残りはリイシューで揃えると熟成が早い。

聴きどころ(各盤で注目したいポイント)

  • リフとグルーヴ:Venomの魅力はシンプルだが強烈なリフ。リフの質感はプレスやマスターによって印象が変わる。
  • ヴォーカル表現:Cronosの口語的で低音寄りの声は“解像感”によって印象が大きく変化する。荒い音はより“生々しさ”を感じさせる。
  • 曲のダイナミクス:特に「At War with Satan」のような組曲的トラックはアルバム全体での流れをレコードで味わうとよりドラマが増す。

購入ルートとプライオリティ(初心者〜中級コレクター向け)

  • まずは代表作一枚(例:Welcome to Hell または Black Metal)の良質なリイシュー盤を購入して音と楽曲に慣れる。
  • 次に初期の雰囲気を体験したければオリジナル盤を検討。ただし相場は高めで、真贋・コンディションの確認が重要。
  • 限定盤やボックスはコレクション性が高い反面、音質面ではリマスターの方が好まれる場合もあるので、目的(音楽体験か収集か)を明確にする。

聴き比べ・コレクションの楽しみ方

Venomの魅力は“粗さ”にあります。オリジナル盤はその粗さをそのまま伝え、リイシューは現代的な明瞭さを加えます。複数盤で同じ曲を聴き比べることで、曲の持つ顔が変わる体験が得られるのが、Venomレコード収集の大きな醍醐味です。

まとめ

Venomは「歴史的価値」と「音楽的衝動」の両方が強く結びついたバンドです。初めてレコードで体験するならWelcome to HellかBlack Metalを第一候補に、そこからAt War with Satanや後期作へ広げていくのが自然な流れ。オリジナル盤の雰囲気を求めるか、現代的な音質で聴くかで選ぶ盤が変わるため、自分が重視するポイントを明確にして収集計画を立ててください。

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参考文献