Candlemass徹底解説:エピック・ドゥームの源流と聴き方・名盤ガイド
Candlemassとは:北欧が生んだ“エピック・ドゥーム”の代表格
Candlemass(キャンドルマス)は、スウェーデン・ストックホルムで結成されたドゥーム・メタルの代表的バンドです。創設者であり楽曲の中心人物であるベーシストのレイフ・エドリング(Leif Edling)を軸に、重厚で遅めのリフ、メロディアスかつ劇的なボーカル、荘厳で哀愁を帯びた空気を特徴とする“エピック・ドゥーム”というサブジャンルを確立しました。ブラック・サバスに連なる重さを持ちながら、クラシカルで叙情的な側面を重視した点が大きな魅力です。
音楽性と魅力の深掘り
リフとテンポ構成
Candlemassの楽曲は「遅い/重い」ことが基盤になりつつ、単なる遅さに留まらない。レイフのベースラインが曲の骨格を作り、リードギターは長めのフレーズやメロディックなソロで曲を牽引します。テンポの揺らぎやブレイクで起伏を生み、ダイナミクスを持たせることでドラマ性を高めています。
ボーカル表現の多様性
最も象徴的なのはメシア・マルコリン(Messiah Marcolin)らのオペラティックで伸びやかな歌唱。宗教的なイメージや合唱的なコーラスワークと相まって、曲に“荘厳さ”と“悲劇性”を付与します。時期により歌手が変わることで表現の幅が広がり、よりモダンなドゥーム寄りの声や、より伝統的なメタル的な歌唱など多彩な顔を見せます。
作曲・アレンジの美学
ただ“重いだけ”ではなく、メロディとハーモニーを大事にする点がCandlemassの個性。長尺の楽曲でも飽きさせない構成力、ギターのハーモニーやキーボード的な補完(必ずしも常設キーボードは使わないが、アレンジでその役割を果たす)で、物語性や映画的な広がりを感じさせます。
歌詞と世界観
歌詞は死、孤独、宿命、悪夢、宗教的モチーフなどダークで叙情的なテーマが多い。北欧の冷たさや悲哀に通じる感性があり、聴き手に“劇場的な悲哀”を体験させます。
代表作・名盤の紹介(聴きどころ)
Epicus Doomicus Metallicus(デビュー盤)
バンドの原点であり、ドゥーム・メタルの名盤の一つ。重厚なリフとメロディの融合、そして初期ならではの生々しいサウンドが魅力です。ここからの響きが後の“エピック”路線の基礎になりました。
Nightfall
メシア・マルコリン参加期の代表作で、劇的なボーカル、より完成度の高いアレンジとプロダクションが際立つ一枚。バンドの人気を決定づけた作品です。
Ancient Dreams / Tales of Creation(続く黄金期の作品群)
より多彩な曲展開と深まる叙情性を聴ける時期の作品群。オーケストレーション的な広がりや重厚さの深化が感じられます。
近年の再評価作・復活作(例:The Door to Doomなど)
復活以降の作品は、往年の様式美を継承しつつも現代的な音作りが加わり、新たなファン層も獲得しています。ゲストプレイヤーや往年のメンバーの復帰など話題性もあります。
バンドの歴史と主要メンバー(概要)
1980年代中盤にレイフ・エドリングを中心に結成され、その活動初期からドゥーム・メタルの方向性を明確にしました。代表的なメンバーとしては、レイフ・エドリング(ベース/主作曲)、ラーシュ・ヨハンソン(リードギター)、マッツ・ビョークマン(ギター)、ヤン・リンド(ドラム/故人)、メシア・マルコリン(象徴的なボーカリスト)などが挙げられます。メンバー交代や活動休止・再始動を重ねつつ、常に中心的な音楽性を守ってきた点が特徴です。
ライブとステージ表現
Candlemassのライブは、その音楽性どおり重厚でドラマティック。ボーカルの劇的な表現や、長尺の楽曲をライブで緩急つけて聴かせる構成力が魅力です。ステージ衣装や演出においても“宗教的/儀式的”なイメージを用いることがあり、視覚的にも強い印象を残します。
影響と評価
ドゥーム・メタルにおける「エピック」路線の確立者として高く評価され、後続の多くのバンドに影響を与えました。
批評的には、クラシック的な構築美とメタルのヘヴィさを両立させた点が称賛されます。商業的なヒットとは別軸で、ジャンル内での“規範”を作った存在です。
入門者向けの聴き方・おすすめの順序
まずはデビュー盤と“メシア参加期”の代表作から聴き、エピック・ドゥームの核となるサウンドを掴む(例:Epicus Doomicus Metallicus → Nightfall)。
その後、黄金期のアルバム群でアレンジや物語性の広がりを楽しむ(Ancient Dreams, Tales of Creationなど)。
最後に復活以降の作品で、現代のプロダクションと往年のスタイルの融合を体感すると全体像が見えやすいです。
なぜCandlemassを聴くべきか──まとめ
Candlemassは「重さ」だけでなく「美しさ」を併せ持ったドゥーム・メタルを提示しました。劇的なボーカル、深いメロディ、構築されたアレンジ――これらが織りなす世界は、単なるヘヴィネスを超えた一種の叙事詩です。ドゥームの入門にも、深掘りにも適した存在として強くおすすめできます。
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参考文献
- Candlemass - Wikipedia
- Candlemass Biography - AllMusic
- Candlemass - Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives
- Official Candlemass website


