ショパンの名手アダム・ハラシェヴィチの代表盤と聴き方ガイド:エチュードから協奏曲まで
イントロダクション — アダム・ハラシェヴィチとは
アダム・ハラシェヴィチ(Adam Harasiewicz, 1932年生)は、ポーランド出身のピアニストで、1955年のショパン国際ピアノ・コンクール優勝で国際的な注目を浴びました。特にショパン演奏の名手として知られ、柔らかな歌い回し(cantabile)とポーランド的な舞曲感、節度あるルバートを持ち味とすることで高い評価を得ています。本稿では、ハラシェヴィチの代表的なレコード(CD/LP)を厳選して紹介し、それぞれの聴きどころや選び方の指針を深掘りします。
おすすめレコード(厳選セレクション)
- ショパン:エチュード全集(Op.10 & Op.25)
技巧性と音楽性の両立が求められるエチュードで、ハラシェヴィチは技巧をひけらかさず「音楽を鳴らす」演奏を見せます。鋭さよりも音の均衡とフレーズの流れを重視した解釈が魅力です。
- ショパン:ノクターン/バラード/スケルツォ集
詩的な夜想曲、劇的なバラード群、緊張感あるスケルツォを含むプログラム。ハラシェヴィチの美しい歌わせ方と、必要な箇所での力強さの対比が際立ちます。
- ショパン:マズルカ集(選集または全集の一部)
マズルカでのリズム感・ポリリズムの把握はポーランド人奏者ならでは。民族舞踊的な躍動感と親密な抒情が同居する演奏です。
- ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 & 第2番(協奏曲録音集)
協奏曲でもソロ同様、歌心と明晰なタッチが前面に出ます。オーケストラとのバランスを考えた抑制のあるテンポ感が魅力。
- コンクール時のライブ録音(1955年ショパンコンクール)
若き日のエネルギーと瑞々しい解釈が残る歴史的記録。音質は復刻盤によって差がありますが、演奏の生々しさを味わうには最適です。
各レコードの詳しい聴きどころ
- エチュード全集
Op.10やOp.25の速いパッセージでは「速さ」そのものよりも指先から生まれる音色の均質性を重視。特にOp.10-3(別れの曲)やOp.25-1など、歌わせるパートでのビブラートのような効果を控えめに使い、純粋な「歌」で聴かせる点を注目してください。
- ノクターン/バラード/スケルツォ
ノクターンではフレーズ終端の「余韻」を大切にし、弱音部での深みがある。バラードでは劇的な起伏を計算して構築するため、物語性が明確。スケルツォは推進力と瞬発力のバランスに注目すると、ハラシェヴィチの特徴がよく分かります。
- マズルカ集
拍の取り方やアクセントの微妙なずらしに耳を傾けてください。民族舞踊的なアクセントを残しつつも、都会的で洗練された表情が同居しているのが彼のマズルカです。
- ピアノ協奏曲
協奏曲で注目すべきは「コンチェルト感の作り方」。ハラシェヴィチはオーケストラと対等な対話を好み、ソロが一方的に前に出るのではなく会話的に音楽を進めます。カデンツァの表現に個性が出る録音が多いです。
- コンクール録音
即興性やアプローチの大胆さが見える瞬間があり、後年の円熟演奏と比較することで彼の解釈の成長や方向性が見えてきます。
ハラシェヴィチの演奏スタイルの特徴(深掘り)
歌うことを第一にするアプローチ:多くのショパン演奏に見られるように、彼はメロディーの「歌い方」を最優先します。機械的な技巧は伴いますが、それは歌を支えるための手段に徹しています。
節度あるルバート:過度な揺らしを避け、自然なフレーズの流れに則したルバートを使うため、時代感にも左右されにくい演奏。
リズム感の明晰さ:特に舞曲系(マズルカ、ポロネーズ)で顕著。ポーランド人らしいリズムの内発性が演奏全体に一貫した骨組みを与えています。
ダイナミクスの抑制と効果的な対比:極端なフォルテやフォルティッシモを多用せず、音色の違いで表情を付ける傾向があります。
レコード選びのポイント(どの盤を買うか迷ったら)
初めて聴くなら:代表曲を網羅したコンピレーションや「ノクターン/バラード/エチュード」などの入門的プログラム盤が聴きやすいです。
演奏の変遷を辿りたいなら:コンクール録音(1955年)と晩年のスタジオ録音を比較することで、解釈の変化が明確に分かります。
音質重視なら:復刻CDやリマスター盤を選ぶと良いです。オリジナルLPの暖かさを求めるなら中古レコード市場を当たってください(レコード自体の保管・再生は本稿で扱いません)。
全集を手に入れるか単発で揃えるか:全集は一貫した解釈を楽しめますが、好みの作品だけを集めるのもコスト効率が良いです。
聴き方のアドバイス(深く楽しむために)
ひとつのフレーズをループして聴く:特にノクターンやバラードの有名なフレーズを繰り返し聴くことで、ハラシェヴィチの「歌い回し」の微妙な差が分かります。
他の名演と比較する:ルービンシュタイン、コルトー、ポリーニなどの解釈と比較すると、ハラシェヴィチ特有の抑制・歌心が際立ちます。
演奏背景を知る:録音年代やホールの響き、使用楽器(ピアノの種類)を確認すると、なぜその音が出ているか理解が深まります。
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参考文献
- Wikipedia(Adam Harasiewicz)
- AllMusic(Adam Harasiewicz)
- ナショナル・ショパン研究所(Adam Harasiewicz)
- Discogs(Adam Harasiewicz のディスコグラフィ検索)


