スリッツ(The Slits)徹底ガイド:おすすめアルバムの聴き方とコレクター情報
スリッツ(The Slits)とは
スリッツは1970年代後半にロンドンで結成された英国のポストパンク/パンク・バンド。アリ・アップ(Ari Up)、ヴィヴ・アルバーティン(Viv Albertine)、テッサ・ポリット(Tessa Pollitt)らを中心に、女性主体のバンドとして独特の美学とサウンドを確立しました。パンクの直線的で反骨的な姿勢に、レゲエやダブ、ワールド・ミュージックのリズム感や即興性を持ち込み、ジェンダー観や都市生活の視点を通じた歌詞表現も特徴です。
おすすめレコード(必聴盤とその聴きどころ)
Cut(1979) — Island Records
スリッツのデビュー・アルバムにして代表作。パンクのキレ味とカリブ/ダブのビートを融合させたサウンドは、当時としては非常に革新的でした。アリ・アップの表現力の高いボーカル、ヴィヴの不協和的かつリズミックなギター、テッサの前に出るベースが一体となり、従来のバンド構造を再定義します。
おすすめトラック: “Typical Girls”(バンドの代表曲。軽やかな皮肉とポップ感を併せ持つ)、“Shoplifting”、“I Heard It Through the Grapevine”(カバーを通した彼女たちの解釈)
聴きどころ:ボーカルの強度とリズム隊の“間”を重視して聴くと、曲ごとのアレンジの妙とダイナミクスがよく分かります。プロダクションはやや生っぽさが残るため、その“生感”も作品の魅力です。
Return of the Giant Slits(1981)
デビューの路線からさらに踏み込み、実験性と民族音楽的要素を強めた2作目。ダブ処理やパーカッションの導入、長めのインスト・パートなど、より“解体と再構築”を志向した作品で、好みが分かれる一方で先鋭的なリスナーには強く支持されます。
おすすめトラック:アルバム全体での流れを楽しむことを勧めます。断片的なフレーズやリズムの反復を体感することで、当時の実験精神が見えてきます。
聴きどころ:個々の楽器が放つ空間(リバーブやダブ的エフェクト)と、ポリリズムの重なりを味わってください。歌詞よりも音像そのものがメッセージを持つタイプの作品です。
Trapped Animal(2009)
再結成後のアルバムで、オリジナル・ラインナップとは変化がありますが、スリッツらしいフリーキーな感性と、現代的なプロダクションが混ざり合っています。復帰作としての意義や、時代を経た発声の変化を感じ取れます。
聴きどころ:過去作の断片が現代のサウンドでどう再解釈されるか、アリ・アップのボーカル表現の変容と楽曲の“現代性”を比較して聴くと面白いです。
シングル/EP群(初期7インチ等)
“Typical Girls”をはじめとする初期シングルやEPは、アルバムとは別の荒々しさや直球のエネルギーを残しています。コレクションとしても価値が高く、バンドの成長過程を追ううえで重要です。
聴きどころ:短い尺の中に詰め込まれた衝動性を味わってください。アルバム収録版とシングルのミックス違いを比べるのも発見が多いです。
各アルバムの聴き方ガイド(深掘り)
Cut:曲ごとの“立ち位置”に注目。リズム隊(ベース+ドラム)が前面に出ている瞬間と、ギターやボーカルが先導する瞬間の関係性を追ってください。ポップなメロディと皮肉めいた歌詞のバランスも重要な聴きどころです。
Return of the Giant Slits:一曲一曲を単独で楽しむのではなく、アルバム全体を通して“音の風景”を体感するのがおすすめ。即興的な要素や反復が意図するところを感じ取ると、当時の実験精神が立ち上がってきます。
Trapped Animal:過去作との対比が鍵。時代性が反映されたトラック・アレンジや、ヴォーカルの表現の成熟を手掛かりに、新旧を比較しながら聴くと楽しめます。
コレクター向けの選び方(レコードを楽しむ観点で)
初期のオリジナル・プレス(1979〜81年のUKプレス)は、ジャケットの状態やインナー、盤のマトリクス(溝の近くの刻印)をチェックすると良い指標になります。オリジナル盤はコレクターズ・アイテムとしての価値が高く、音質の傾向やミックス差も楽しめます。
近年のリイシューはリマスタリングやボーナストラックが付くことが多く、聴きやすさや追加資料(ブックレットなど)を重視するならリイシューがおすすめです。逆に“当時の空気感”を重視するならオリジナルを探す価値があります。
ジャケット・アートワークや当時のライナーノーツ、写真などもコレクションの醍醐味。ヴィジュアル面での表現もスリッツの重要な魅力なので、状態の良いスリーブを選びましょう。
スリッツが残した影響と現代へのつながり
スリッツが示したのは単なる音楽スタイルの混淆ではなく、ジェンダー表現やDIY精神、ジャンル横断的なサウンド・コラージュの方法でした。後続のガール・パンクやオルタナティヴ・ロック、さらにはワールド/エクスペリメンタルなポップにも多くの影響を与えています。現在のリスナーが彼女たちを聴くとき、当時の前衛性と同時に「自由に音を組み立てる」姿勢を受け取るはずです。
入手・再発情報のチェックポイント
- 大手レーベル(Islandなど)からのオリジナル盤、近年のリイシュー、ボックスセットなどの情報は、Discogsや各配信サービス、レコード店のサイトで随時チェックすると見つかります。
- 限定盤やカラー盤はコレクター市場で高騰することがあるため、購入時は出品説明をよく読み、信頼できる出品者/ショップを選んでください。
おすすめの聴き方(場面別)
- 初めて聴く人:まずは『Cut』をアルバムで通して。代表曲でバンドの核を掴みやすいです。
- 音楽史やポストパンクを深掘りしたい人:『Return of the Giant Slits』で当時の実験性とダブ的処理の影響を体感してみてください。
- 比較・研究目的:オリジナル盤とリイシューを聴き比べ、ミックス差やマスタリングの違いを確認すると興味深い発見があります。
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