Novation完全ガイド:歴史・代表製品・制作/ライブでの活用法と選び方
Novationとは
Novation(ノベーション)は、電子音楽向けのシンセサイザー、グリッド/キーボード型コントローラー、グルーブボックスなどを手がけるブランドとして広く知られています。直感的な操作系とDAWやライブパフォーマンスへの親和性の高さで人気を博し、エレクトロニックミュージックの制作・ライブ表現において多くのユーザーに選ばれてきました。
歴史と発展の概観
Novationは1990年代に生まれ、以降ハードウェア中心のプロダクト群を通じて成長してきました。初期はアナログ/デジタルのシンセ設計で評価を得て、その後2000年代〜2010年代にかけてDAW連携を前提としたコントローラーやパフォーマンス機材に注力することで、ライブツールとしての地位を確立しました。Ableton Liveとの連携に代表されるように、ソフトウェア中心のワークフローを前提にしたコントローラー設計が同社の大きな特徴です。
代表的な製品ラインとその特徴
Novationの製品は大きく分けて、グリッドコントローラー(Launchpad系)、キーボード型MIDIコントローラー(Launchkey等)、シンセサイザー系(Bass Station, Peak, Nova系など)、そしてグルーブボックス(Circuit)に分類できます。以下にそれぞれの特性と代表的用途を整理します。
- Launchpad(グリッドコントローラー):8×8やコンパクトなパッド配列を備え、クリップ発火やリアルタイムのパフォーマンスに特化。Ableton Liveとのマッピングが密に設計されており、ループ/サンプルをビジュアルに扱える点が強みです。ライブや即興演奏での視認性と操作感が高評価です。
- Launchkey / キーボードコントローラー:DAW操作や演奏に必要なノブ、フェーダー、パッドを統合したMIDIキーボード。軽量で持ち運びやすく、DAWのトランスポートやトラック選択などのコントロールを物理的に行えるため、制作ワークフローの効率化に有用です。
- シンセサイザー系(Bass Station・Peak・Nova系など):Monophonicなベース向けシンセから、ハイブリッド多声音源まで多彩。アナログの回路設計思想を取り入れたフィルターや、モダンなデジタルオシレーター/エフェクトを組み合わせたモデルがそろい、サウンドデザインの幅が広いのが特徴です。
- Circuit(グルーブボックス):シンプルなワークフローでビートとメロディを即座に作れるスタンドアロン性の高い機器。パッドベースのシーケンサーと割り当て可能なエンコーダーにより、パターン作成とリアルタイム操作が得意です。
サウンド設計とインターフェースの特徴
Novation製品は「即座に鳴らして操作できる」ことを重視した設計が多く、インターフェースが直感的である点が共通しています。多くの機種で操作ノブやパッドがフロントに配置され、波形選択やフィルター、エンベロープ、エフェクトといった主要パラメータに即アクセスできます。ソフトウェアとの連携機能(プリセットの管理、エディットの一括保存、MIDIマッピングの簡便化など)も充実しており、ハードとソフトを行き来する現代的な制作環境に最適化されています。
DAW/ライブでの統合とワークフロー
NovationはDAWとの親和性を設計段階から考慮しており、特にクリップベースのDAWとの組み合わせや、ノート・コントロール・エンベロープを駆使したライブパフォーマンスに強みがあります。グリッドコントローラーは視覚的にクリップやシーンを管理でき、キーボード型は演奏と同時にトラックコントロールが可能です。ライブセットでは、プリセットやスナップショット機能を活用して曲ごとの設定を素早く切り替えられる点も有用です。
サウンドデザインの観点(実践的なヒント)
Novationのシンセで効果的に音作りするには、次のような順序でパラメータを整理すると良いでしょう。まずオシレーターで基音・波形を決め、次にフィルターで帯域を整え、エンベロープでアタックやリリースを調整します。その後でLFOやモジュレーションマトリクスを使って動きを加え、最後に内蔵のエフェクトで空間感や厚みを付与します。グリッド系のコントローラーを用いる際は、パッドのベロシティ/オフセットやスケールモードを活かすと即興性が高まります。
アーティストの利用と文化的影響
Novationの機材はYouTubeやSNS上でのパフォーマンス動画やチュートリアルで頻繁に取り上げられ、特に若い世代のプロデューサーやライブパフォーマーに親しまれています。手早く視覚的に操作できる点はライブでの表現幅を広げ、クラブ/フェスの即興セットやストリーミング配信など多様な場面で採用されています。
選び方のポイント(用途別ガイド)
- 純粋に演奏重視なら鍵盤のアクションやキータッチ感を確認する。
- ライブでのクリップ管理やビジュアル性を重視するならグリッドコントローラーが有利。
- サウンドメイキング重視で厚いアナログサウンドを求めるならシンセ系を選ぶ。
- 制作環境に組み込む場合は、DAWとのマッピングや付属ソフトウェアの互換性を事前に確認する。
中古購入・保守の注意点
Novation製品は堅牢に作られているものが多いですが、中古で買う際はパッド/ノブのガタつき、MIDI/USB端子の接触不良、ファームウェアの更新状況などをチェックしましょう。ソフトウェア連携機能を利用するには、最新のファームやドライバーが必要な場合があるため、メーカーサイトでサポート情報を確認することをおすすめします。
Novationを活かすための実践例
・ライブセット:Launchpadでシーンを切り替えつつ、Launchkeyのノブでエフェクトを操作するハイブリッド構成。プリセットを曲ごとに用意して素早く切り替える。
・スタジオ制作:シンセ(Bass系やPeak系)でリード/ベースの音色を作り、Launchkeyで演奏・打ち込みを行い、DAW上で細かく編集する。
・ビートメイキング:Circuitでビートとモチーフを作り、パターンをエクスポートしてDAWでアレンジするワークフローが効率的です。
まとめ
Novationは、直感的な操作性とソフトウェア連携を両立させた機材群で、制作からライブまで幅広い用途に対応します。どの機材を選ぶかは、目的(演奏/制作/ライブ)とワークフローの優先順位を明確にすることが重要です。初めての1台を選ぶ場合は、実際に触って感触を確かめ、DAWや既存機材との相性を確認することで後悔の少ない投資になります。
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参考文献
- Novation - 公式サイト
- Novation (company) - Wikipedia
- Launchpad / Launchkey 製品ページ(Novation)
- Novation シンセサイザーカテゴリ(Novation)
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