Squier完全ガイド:歴史・モデル・品質・選び方を徹底解説
Squierとは何か
Squier(スクワイア)は、Fender(フェンダー)傘下のエントリーレベル/ミドルクラスのギターブランドです。もともとはV.C. Squier Companyという弦メーカーの名称に由来し、この社名をフェンダーが継承して楽器ブランドとして展開しています。価格帯や製造地を分けることで、フェンダー本体のラインナップと住み分けを図り、初心者から上級者のセカンドギター、あるいは改造ベースとして幅広く用いられています。
歴史の概略
V.C. Squier(V. C. Squier Company)は弦の製造で始まったブランド名で、フェンダーはこの名称を手に入れ、1960年代以降はフェンダーの一部門として弦や関連製品で用いてきました。1980年代初頭、フェンダーは低価格帯市場への対応として「Squier」ブランドを楽器ラインに復活させ、1982年頃から廉価モデルの名称として正式に用いられるようになりました。初期は日本の工場で生産され、その後韓国、中国、インドネシア、インドなど様々な地域に生産拠点を広げています。
主なシリーズと代表モデル
Squierには複数のシリーズがあり、目的や価格帯に応じて選択できます。代表的なシリーズは以下の通りです。
- Bullet/Affinity:入門〜初心者向けのローエンド。必要最低限の仕様で価格を抑えたモデル。
- Affinity(旧Mid)/Affinity Series:入門〜中級者向けで、コストパフォーマンス重視。
- Classic Vibe:ヴィンテージ系スペックを再現した評価の高いシリーズ。コストパフォーマンスとトーンのバランスが良く、多くのプレイヤーから支持される。
- Vintage Modified/Contemporary/Paranormal:個性的な仕様やモダンなスペックを持つシリーズ。ヴィンテージの雰囲気を残しつつ現代的なアレンジを加えたモデルもある。
- Signature Models:一部アーティストのシグネチャーを展開。予算を抑えつつ個性的な仕様を得たい場合に選択肢となる。
製造地と品質の変遷
Squierの品質は時代と製造地によって大きく変わってきました。1980年代〜1990年代初期の日本製は当時の日本の高い製造技術を背景に品質が高いものが多く、その後韓国や中国へ生産がシフトした時期には製造ロットによる当たり外れが見られました。2000年代以降はアジア諸国の工場の技術向上とフェンダーによる品質管理の強化により、特にClassic Vibeなど上位ラインの評価が再び高まりました。近年は工場ごとのQC(品質管理)が改善されており、製造国を問わず良好な個体も多く存在します。
サウンドと仕様上の違い(Fender本家との比較)
SquierはフェンダーUSAやメキシコ製に比べてコストダウンの工夫が施されています。主な違いは以下の点です。
- ピックアップ:廉価モデルはセラミック磁石などコスト重視の素材が使われることがあるが、Classic Vibeなど上位ラインはアルニコ磁石風のサウンドを目指した設計がなされる。
- ハードウェア:ブリッジ、ペグ、サドル等の素材や精度が異なる。高額帯のフェンダーに比べメッキや精度で差があるが、実用上問題のないパーツも多い。
- ネックシェイプとフレット:ネックプロファイル、指板のR(ラディアス)、フレットサイズなどが異なる場合があり、弾き心地に影響する。
- 木材と塗装:同一モデルでも木材のグレードや塗装の厚みが異なることがあり、鳴りや重量に差が出る。
これらの差は必ずしもネガティブではなく、改造やセットアップのベースとして非常に扱いやすいという長所にもつながっています。
カスタマイズとモディファイ(改造)文化
Squierはコストパフォーマンスの高さから改造ベースとして人気があります。ピックアップ交換、ブリッジの換装、ペグ交換、ナットやフレットの調整などでパフォーマンスを大幅に引き上げることが可能です。例えば、Classic Vibe系をアルニコVのピックアップに替えるだけでレンジ感や倍音の出方が変わり、より“本家”に近づけることができます。また、ボディのルーティングやピックガード交換で見た目のカスタムを行うプレイヤーも多いです。
購入時のチェックポイントと選び方
実際にSquierを購入する際は以下をチェックしてください。
- ネックの反り(順反り・逆反り)とトラスロッドの余裕
- フレットのすり合わせやバリの有無、ナットの溝の削り方
- 電装系(ジャック、ポット、配線)の接触不良やノイズの有無
- ブリッジの弦高調整範囲とサドルの状態
- ボディ鳴りやキズ、塗装ムラなどの外観
ネット購入の場合は返品・交換ポリシーを確認し、試奏できる場合は必ず実際に弾いて自分に合うネックやサウンドかどうか確かめましょう。
メンテナンスと長期的な価値
Squierは正しくメンテナンスすれば長く使えます。定期的な弦交換、ネックのトラスロッド調整、フレットの磨き・すり合わせ、適切な湿度管理は重要です。パーツ交換を行うことで性能を高めることが容易な点も、長期的価値を高める要素です。中古市場でも人気のあるシリーズは価格の安定性が比較的良好で、Classic Vibeや一部の日本製初期モデルはコレクター需要があります。
市場での立ち位置とユーザー層
Squierは初心者が最初の1本として選ぶケースが多い一方で、セカンドギターやライブで安心して使えるサブ機、改造ベースとしての需要もあります。価格帯が手頃なため、若いプレイヤーや予算を抑えたいバンドマンに親しまれています。近年は品質向上により、エントリーモデルからでも十分に満足できるサウンドを得られるようになりました。
まとめ:Squierをどう位置付けるか
Squierはコストパフォーマンスに優れ、楽器入門者から経験者まで幅広い層に有用なブランドです。フェンダーのデザインや伝統を受け継ぎつつ、価格と用途に応じた多様なラインアップを持つことで、楽器市場における重要な役割を果たしています。購入時は個体差を確認し、必要に応じて軽いセットアップやパーツ交換を行えば、非常に満足度の高い1本に仕上げることができます。
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