Godin徹底ガイド:歴史・代表モデル・音作りと選び方(2025年改訂)
Godinとは何か:概要と評価
Godin(ゴダン、正式にはGodin Guitars / Godin Musical Instruments)は、カナダ・ケベック州を拠点とするギター/弦楽器メーカーで、1972年にロバート・ゴダン(Robert Godin)によって創業されました。以降、アコースティックからエレクトリック、クラシック、ハイブリッド(ナイロン弦+エレクトロニクス)まで幅広いラインナップを持ち、特に“舞台で使えるアコースティック(アンプに繋げたときの扱いやすさ)”という点で高く評価されています。
Godinの特徴は、伝統的な木工技術と現代的な電子系技術を組み合わせた設計哲学です。カナダ内製の品質管理、ブランド間での設計ノウハウ共有(Seagull、La Patrie、Simon & Patrick、Norman、Art & Lutherieなどの関連ブランドを含む)、そしてサステナブルな材管理に配慮した製造姿勢が知られています。
歴史と成長の流れ
ロバート・ゴダンが1972年に創業して以来、Godinは少人数工房から成長を重ね、カナダ国内に複数の生産拠点と研究開発拠点を持つ企業へと発展しました。ブランド拡張や提携を通じてラインナップを多様化し、アコースティックギター系の音作りや演奏性を電気楽器的に拡張する独自製品を次々と世に出してきました。
特に1990年代以降は、ステージ用途やレコーディング用途に適したハイブリッドモデル(薄胴でナイロン弦ながらアンプへ直接繋げられるモデル等)や、複数のピックアップ/プリアンプを組み合わせたシステムの開発に注力しています。これによりライブでの音痩せを抑えつつ、アコースティック本来のニュアンスを残すアプローチが確立されました。
代表的なモデルとその特徴
- Multiacシリーズ
Godinを代表するラインのひとつ。ナイロン弦(クラシック)系の演奏感を保ちながら、スリムでチェンバード(空洞構造)されたボディ、内蔵プリアンプとピエゾ/マグネット系の複合ピックアップを備え、ライブでの扱いやすさとフィードバック耐性を両立します。ジャズやフラメンコ寄りの奏法、指弾きでの明瞭さを求めるプレイヤーに人気です。
- Aシリーズ(例:A6 / A6 Ultra等)
薄胴の鋭いレスポンスと、ピエゾ+プリアンプによるナチュラルなアンプ出力が特徴。生音とアンプ音のバランスが良く、ステージやレコーディングで好まれます。ナチュラルな木材の鳴りを残しつつ、フィードバックを抑制する設計が施されています。
- 5th Avenue / フルアコ系モデル
ジャズ向けのアーチトップ/フルアコタイプもラインナップし、暖かく丸いトーンを得られるモデルがあります。アーチトップの設計はエレクトリックのニュアンスを持ちながらもアコースティックの深みを狙ったものです。
- エレクトリックモデル(Sessionなど)
ソリッドやセミホロウの電気ギターも手掛けており、シンプルで堅牢な設計のものから多機能な電子系を搭載したものまで多彩です。エレキ分野でも演奏性とコストパフォーマンスに定評があります。
設計哲学とサウンドの傾向
Godinのサウンドは「使える音」を目指す実用性が強調されます。生音の共鳴を活かしつつ、マイクやピエゾ経由で出力したときにアグレッシブすぎない、自然な上モノ感を得られる調整が多いです。結果的にアンプやPAに繋いだ際のEQやエフェクトの扱いやすさが高く、ツアーミュージシャンや伴奏者、セッションワーカーに支持されています。
材料面では、カナダ産メイプルやシダー、スプルースなどを多用する一方、ラッカーやポリエステル仕上げ、ラミネート材の使用など、耐久性とコストのバランスを考慮した選択が見られます。近年は森林管理や合法木材調達への取り組みが世界的に注目される中、Godinもサステナビリティ面での配慮を公開しています。
エレクトロニクスと実用面の工夫
Godinは内部プリアンプやピックアップのセッティングに工夫を凝らしており、モデルによっては複数の拾い口(ピエゾ+内部マイクやマグネット)をブレンドできるシステムを搭載しています。これによりライブでの音作りの幅が広がり、同一楽器で『生音寄り』から『アンプ映えする音』まで可変できます。
またネックのシェイプや指板のアクセス性、ボディの薄さなど演奏性の改善にも注力しており、クラシック系奏者からエレキ寄りのギタリストまで扱いやすい設計になっています。
選び方ガイド:用途別のおすすめポイント
- ライブ中心でアンプに頼る場面が多い人
MultiacやAシリーズのようなハイブリッド系が最適。フィードバック対策やEQの余地が考慮された設計で、ステージでの安心感が違います。
- アコースティック主体で生音も重視したい人
ラミネート系の見た目は控えめでも、生音の鳴りを考えた木材構成のモデルを選ぶと良い。エレクトロニクスが切れる/調整できるモデルだと録音時にも便利です。
- ジャズ/ソロギターを狙う人
アーチトップや5th Avenueタイプなど、暖かく丸いトーンのモデルが向く。ネック幅や弦高のセッティングも確認しましょう。
- コストパフォーマンス重視
Godinは中堅価格帯での品質が高く、国内流通の中古市場でも堅調です。購入時は電子系の動作確認(プリアンプ、ジャック、スイッチ)を必ず行ってください。
メンテナンスとアップグレードのポイント
Godinの楽器は構造的に扱いやすく設計されていますが、電子系は湿度や経年で劣化することがあります。定期的な弦交換、指板の保湿、ピエゾサドル周りの点検を推奨します。プリアンプの交換や外部プリアンプの導入で音質改善が得られる場合もありますし、ライブでの信頼性を高めるためにシールドやジャックの強化を検討するプレイヤーも多いです。
プロがGodinを選ぶ理由と現場での評価
スタジオ・ミュージシャンやツアーを回るプレイヤーにとって、音の再現性とトラブルの少なさは重要です。Godinはこの両方を両立させやすいという理由で採用例が多く見られます。特にナイロン弦の表現をアンプ出力で失いたくないプレイヤーや、アコースティックのニュアンスを維持しつつ高音質で出力したい場面で支持されています。
まとめ:Godinの立ち位置と今後
Godinは“実用性と音楽的な表現のバランス”を追求してきたブランドです。伝統楽器の良さを損なわず、ライブやレコーディングで使える現代的なソリューションを提示している点が強みです。楽器購入にあたっては、目的(ライブ/録音/家庭演奏)を明確にし、試奏でアンプ接続時の挙動やプリの効き具合を確認することをおすすめします。
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参考文献
- Godin Guitars(公式サイト)
- Godin Guitars - Wikipedia(英語)
- Seagull Guitars(公式サイト)
- Seagull Guitars - Wikipedia(英語)
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