考察:『ファイナルファンタジー7:星命学』——FF7と占星的世界観が交差する可能性

はじめに:タイトルの実在性について

まず重要な確認として、私の知識(2024年6月時点)では「ファイナルファンタジー7:星命学」という公式タイトルは存在しません。スクウェア・エニックスが発表したFFVII関連の主要作品には、1997年のオリジナル『ファイナルファンタジーVII』、リメイクシリーズ(『ファイナルファンタジーVII リメイク』『リバース』など)、派生作(『クライシスコア』『ディレクターズカット』『Ever Crisis』等)がありますが、名称に「星命学」を含む公式作品は確認できません(参考文献参照)。したがって本稿は、タイトルの実在確認を踏まえた上で、もし『ファイナルファンタジー7:星命学』というプロジェクトが存在すると仮定した場合の設定考察・ゲームデザイン・物語的可能性を深堀りするネットコラムとなります。

「星命学」という切り口の意味合い

「星命学」は一般に占星術的な要素を含む言葉であり、天体の位置や星の運行を通じて個人の運命や性格を読み解く体系を指すことが多いです。FFVIIの世界観と組み合わせた場合、メテオや星の力、魔晄・星の「生命」観と親和性が高いテーマになります。FFVIIは星(PLANET)が生命とエネルギーを育む存在であり、ジェノバやセフィロス、魔晄といった“星”に由来する要素が物語の中核を占めるため、占星的モチーフを物語/システムに落とし込む余地は大きいと言えます。

世界観と設定の具体案

仮に『星命学』がFFVIIのスピンオフや新作だとすると、以下のような設定が考えられます。

  • テーマ:星の運行と人の宿命、魔晄の流れと運命の交差。
  • 舞台:ミッドガル以降の世界各地、星の“宿”と呼ばれる地点が存在し、それぞれに星の影響を受けた地形・生態系・文化がある。
  • 時間軸:オリジナル~リメイクのどの線にも対応可能だが、過去と未来をつなぐ“天体観測”が鍵を握る時間軸が望ましい(例:古代種の遺した観測装置が復活する)。
  • 主題:個人の選択と星の宿命の対立、補完。セフィロス的な“究極の運命”と、クラウドたちの自由意志をめぐる葛藤。

キャラクターの「星読み」的再解釈

キャラクターを12星座や主要な天体の象徴に紐づける手法は、ファン考察として魅力的です。いくつか具体例を示します(あくまで分析的・解釈的アプローチ)。

  • クラウド:双子座・月の象徴。複数の人格・記憶の混在という側面があり、“内面の分裂”と適合する。
  • セフィロス:冥王星/土星的な破壊と再生の象徴。極端な変容と運命の執着を表す。
  • エアリス(アバランチ版ではティファも当てはまる面あり):金星・海王星的な癒しと共感の象徴。星と生命を繋ぐ役割を担う。
  • バレット:火星的な行動と怒り、反逆の象徴。社会的正義の衝動を反映。

こうした対応付けはキャラクターの心理描写やイベント演出に活かせます。たとえば、特定の天体イベント(惑星の合・食・接近)が起きると、それぞれのキャラに影響を与える“星の状態”システムを導入できます。

ゲームデザイン:占星システムの導入案

占星的要素をゲームシステムに落とし込む際の骨子を挙げます。

  • 星座ボーナス:パーティメンバーの“星座適性”により戦闘・会話でのスキルが変動する。
  • 天体イベントカレンダー:ゲーム内時間で惑星の位置が変化し、特定期間のみ発生するクエストやボスが出現する。
  • 運命の選択:占星盤を使った選択肢がプレイヤーのストーリー分岐に影響。即時効果と長期的効果を併存させる。
  • 占い師/天文台:情報収集の拠点として天文台が機能。古代種の星図を読むことで新しい魔法や召喚を解放する。

注意点として、運要素が強くなるとプレイヤーの自由度が損なわれるため、占星判定は補助的・演出的にとどめる設計が望ましい。ランダム要素はリスク管理や回避手段を用意することがバランス上重要です。

物語面の統合:神話と科学の並存

FFVIIは科学(魔晄、兵器技術)と神話(古代種、星の意志)が同居する物語を得意とします。『星命学』的テーマを取り込むなら、占星術的な読み解きは古代種の遺した観測技術=科学としても解釈できるはずです。つまり、「星の動きが人の運命を示す」という伝承が、古代の高度な天文学技術を民間化した結果である、という二重解釈を与えることで、SFとファンタジーの両立が可能です。

アート・音楽表現の方向性

視覚面では、星座や星の軌跡をモチーフにしたUI、古代種の図像学を意匠とする遺跡デザイン、天体観測機器の有機的な機械美がキーになります。音楽面では、クラシックと電子音楽を融合させ、星の運行を感じさせる浮遊感のあるサウンドスケープが有効です。FFシリーズの作曲家が用いるモチーフ再利用(テーマの変奏)も、既存のFFVIIテーマと親和性を持たせる有力な手法です。

コミュニティとの関わり・法的配慮

実際に『星命学』のような企画をファンプロジェクトで展開する場合、二次創作・ファンゲームと公式IPの境界に注意が必要です。スクウェア・エニックスはIP保護に厳格な場合があるため、ファンが非商用で行う考察やアートは比較的許容されることが多い一方、商用化や公式に誤解を与える表現は避けるべきです。ファンが占星的考察を楽しむ分には問題ありませんが、プロジェクト化する際は権利者への確認が不可欠です。

結論:可能性と留意点

「星命学」という切り口は、FFVIIの主題である「星(PLANET)と人間の関係」を新たに照らす魅力的な視点になります。占星術的モチーフはキャラクター解釈、物語分岐、ビジュアル表現において多くの創造性を引き出せますが、ゲームデザインとしてはランダム性の制御、物語と科学の整合性、そしてIPに対する法的配慮が重要です。公式タイトルではない点を踏まえつつ、もし存在すればどのような作品になりうるか――という観点で本稿が発想の刺激になれば幸いです。

参考文献