ギアーズオブウォー5(Gears 5)徹底解説:ストーリー・ゲーム性・技術・評価まで

概要

「ギアーズオブウォー5」(Gears 5)は、The Coalition が開発し Xbox Game Studios が発売したサードパーソンシューターで、シリーズのナンバリングタイトルの一つです。2019年にXbox OneおよびWindows向けにリリースされ、発売当初からXbox Game Passで配信されていたことも話題となりました。シリーズ伝統のカバー制シューターを継承しつつ、よりオープンエリアを取り入れたキャンペーンや新モードの追加、アクセシビリティ改善などが評価されています。

開発とリリースの経緯

The Coalition はUnreal Engine 4を用いて本作を制作しました。発売日は2019年9月で、PC向けはWindows Storeや後にSteamでも配信されました。発売後は継続的に“Operations”と呼ばれるシーズン型アップデートやイベント、DLCなどのサポートが行われ、マルチプレイのバランス調整や新要素の追加が続けられました。

ストーリーとキャラクター(ネタバレ注意)

本作のキャンペーンは従来の主人公・マーカス主体から大きくシフトし、カイト・ディアス(Kait Diaz)を中心に物語が展開します。カイトは自身の過去と家系に秘められた“ローカスト(Locust)”との繋がりを探る旅に出る。物語は個人的なルーツの追求と、世界を襲う新たな脅威(Swarm)との対峙を二本柱に進行し、シリーズの世界観や過去作につながる設定の掘り下げが行われます。

ゲームプレイとシステムの特徴

ギアーズシリーズの核であるカバー制シューティングは本作でも健在です。加えてGears 5では以下のような変化と追加が見られます。

  • オープンエリアの導入:従来のステージ分割型から、探索要素を含む比較的開放的なマップが増え、サブ目標や探索要素が導入されました。
  • パートナーAIと協力要素:キャンペーン中に同行するAIや、オンラインでの最大3人協力プレイ(Co-op)に対応し、役割分担での攻略が可能です。
  • 新キャラクター/アビリティ:一部にサポート型ロボット「Jack」のような特殊アビリティを持つ要素が入り、戦況を変えるプレイスタイルが生まれました。
  • 武器・ギアの多様化:伝統的なリングブレード付ギアやローカスト系兵器に加え、マップ環境を活かすギミックも増加しました。

マルチプレイヤー:Versus、Horde、Escape

Gears 5 はマルチプレイ要素も充実しています。代表的なモードは次の通りです。

  • Versus(対戦):シリーズ伝統の対人戦。チームデスマッチやコントロールが含まれ、競技性の高いルールが多く設けられています。
  • Horde(協力PvE):波状攻撃を防ぎつつ拠点を整備する協力モード。クラスシステムやスキルツリー、拠点強化要素が導入され、戦略性が深まりました。
  • Escape(新モード):3人チームでスウォームの巣(Hive)に侵入し、爆弾設置などの目標を達成して脱出する高速な協力モード。緊張感とテンポの良さが評価されました。

技術面とパフォーマンス

グラフィックはUnreal Engine 4を活かした高品質なレンダリングで評価され、ライティングや環境描写、キャラクターの表情など細部に渡る作り込みが見られます。PC版や次世代機でのパフォーマンスモード/クオリティモード切替、HDR対応などハードウェアに応じた最適化も行われています。また、Xbox Game Passにローンチ時から対応したことで、利用者の入り口が広がったことも技術以外の面での注目点です。

アクセシビリティへの取り組み

ギアーズ5 はアクセシビリティ面で高い評価を受けました。視覚・聴覚に配慮したオプション(カラーブラインドモードや字幕の細かなカスタマイズ)、操作補助、テキスト読み上げやメニュー周りのナビゲーション改善など、多様なプレイヤーが遊びやすい設計を導入しています。これらは業界内外での良い事例として取り上げられました。

ポストローンチと運営方針

発売後は定期的なシーズン(Operations)アップデートで新マップ・スキン・イベント・バランス調整が継続され、プレイヤーコミュニティへの対応が行われました。追加コンテンツとしては短編的なキャンペーンDLC(例:Hivebustersのようなスポットライト的作品)や、イベント枠での無料配布コンテンツが提供されたケースもあります。運営面ではマイクロトランザクションでのスキン販売が行われていますが、対戦性への直接的影響は避ける設計に努められています。

評価と影響

批評的には、カイトを中心とした深い人間ドラマと世界観掘り下げ、オープン要素の導入、アクセシビリティ改良が高く評価される一方で、シリーズらしい緊張感やテンポを好む層からは一部の探索寄りの場面や演出の好みが分かれる点が指摘されました。マルチプレイは多彩なモードが支持を集め、HordeやEscapeは協力プレイの新たな魅力を提示しています。

総評

ギアーズオブウォー5はシリーズ伝統を守りつつ、新しい試みを積極的に取り入れた作品です。ストーリーの視点転換、キャンペーンの演出、協力プレイの拡充、広範なアクセシビリティ対応など、現代のAAAタイトルとしてのバランス感覚が随所に見られます。シリーズファンだけでなく、新規プレイヤーにとっても手を伸ばしやすい一本と言えるでしょう。

参考文献