The Surge 徹底解説:戦闘システム・装備・世界観と上達のコツ

はじめに — 『The Surge』とは何か

『The Surge』はドイツのデベロッパーDeck13 Interactiveが開発し、Focus Home InteractiveがパブリッシュしたアクションRPG(いわゆる“ソウルライク”)です。2017年にPC、PlayStation 4、Xbox One向けにリリースされ、その高難度な戦闘と独自の装備分解システム、工場的で閉塞感のある近未来世界観で注目を集めました。本稿ではゲームシステム、戦闘の核となるターゲッティングと切断システム、装備/クラフト、ストーリーや世界観、DLCや続編までを詳しく掘り下げ、攻略に役立つ実践的なコツも解説します。

基本情報(開発・リリース・ジャンル)

開発:Deck13 Interactive / パブリッシャー:Focus Home Interactive。発売は2017年。ジャンルはアクションRPG/ソウルライク(ハードな敵、死によるペナルティと回収要素、緻密な回避とスタミナ管理を重視)。2019年には続編『The Surge 2』がリリースされ、シリーズ化されました。

コアとなるゲームシステム

『The Surge』の魅力は、いくつかの要素が有機的に結び付いている点にあります。以下で主要な要素を整理します。

ターゲッティングと切断(リムターゲティング)

本作の最大の特徴は、敵の特定部位(腕・脚・胴体・頭など)を狙い撃ちできるロックオン射出(ターゲッティング)システムです。狙った部位を削ることでその部位を切断または破壊し、対応するパーツや素材、時には武器を獲得できます。これにより単なるHP削りではない“部位ごとの戦略”が生まれ、相手が装備している強力な武器を奪う、動きを封じるために脚を切る、といった選択が可能になります。

エクソスケルトンとアーマー/武器のモジュール化

主人公は各部位に装着するアーマーや外骨格モジュールを装備できます。武器やアーマーは“モジュール化”されており、得たパーツは装備・分解・改造によって別の装備へと組み替え可能です。見た目だけでなく、耐性や特殊効果(電撃、火炎、磁気など)が付くため、敵の弱点やプレイスタイルに合わせてカスタマイズすることが重要です。

クラフト/分解(スクラップと素材)

倒した敵や切断で得た部位は、クラフト素材や「スクラップ」と呼ばれる通貨・材料になります。スクラップは装備のアップグレードや一部アイテムの購入に用いられます。不要な装備はワークベンチ等で分解して素材に変換し、強力な装備を作るための原料にします。分解による素材獲得は本作の収集・育成ループの核です。

成長とインプラント(能力強化)

敵を倒して経験値に相当する報酬を得ると、レベルアップやスキルポイントの獲得が可能になります。医療端末(いわゆるセーブポイント)でスキルやインプラントを装着・変更して能力を強化できます。インプラントはパッシブなボーナスを供給し、プレイスタイル(タンク型、スピード型、テクニカル型)に合わせたビルド構築が楽しめます。

戦闘の深掘り:基本戦術と上達ポイント

高難度をウリにする作品として、戦闘を理解しないまま攻略するのは難しい。以下のポイントが上達の近道です。

  • ターゲッティングを活用する:強敵の武器や脚を狙って切断すると戦闘を有利に進められます。武器を獲得すれば一気に火力が跳ね上がることもあります。
  • スタミナ管理を徹底する:攻撃・回避・ガードはスタミナを消費します。回避の無敵時間を活かしつつ、攻撃後の隙(ハイストック)を見極めましょう。
  • 距離とポジショニング:連続攻撃を受ける前に距離を取り、単独で戦える状況を作ること。複数敵を相手にするときは誘導して一体ずつ処理するのが基本です。
  • 武器の特性を理解する:斧や大剣は一撃の威力が高いが隙が大きく、直剣や短剣は連撃向き。敵の挙動に応じて持ち替えましょう。
  • 回復とリスク管理:医療端末まで戻る際の“スクラップ回収”はリスクとリターンの判断が重要。リスクを取る場面と諦める場面を見極めること。

世界観とストーリーの特徴

『The Surge』は巨大コーポレーション「CREO」が中心となる近未来の企業社会を舞台にしています。物語は産業的な施設や研究所、工場が舞台となることが多く、痕跡やログ、環境を読むことで断片的にストーリーが明かされるタイプです。プレイヤーは広大だが閉塞的な施設を探索し、事故や暴走の原因、背後にある企業の倫理問題や人間の機械化へ向かう問いに触れていきます。

アート・音響・演出面

工学的で無機質なデザインが徹底されており、機械の歯車やパイプ、油汚れといった細部の造形が世界観の説得力を高めています。チューブや配線が這うインダストリアルな美術は、閉塞感と汚染されたテクノロジー社会の危うさを視覚的に表現しています。音響面では金属音や電子的なノイズ、機械の軋みが効果的に用いられ、緊張感のある戦闘と探索に寄与しています。

DLCと続編について

発売後、拡張コンテンツとして『A Walk in the Park』といったDLCが配信され、テーマパークを舞台にした新エリアや敵、装備が追加されました。続編『The Surge 2』は2019年に登場し、オープンエリアの導入やカスタマイズ要素の拡張、より多彩な敵デザインでシステムを発展させています。

批評・評価のポイント

評価面では、独自のターゲッティング・切断システムや分解クラフトのループは高く評価される一方、マップデザインやボスの作り込み、難度の偏りについては意見が分かれました。ソウルライクとしての手応えはあるが、一部の敵パターンや移動の煩雑さが遊びにくさを生むことも指摘されています。とはいえ、独創的な戦闘設計と収集・育成の満足度はプレイヤーに強い印象を与えます。

具体的な攻略のコツ(実践編)

  • 初期段階は防御よりも回避重視:被弾を最小限に抑え、回復アイテムは温存する。
  • 部位破壊で得た武器は積極的に試す:敵のドロップ武器が自分のプレイスタイルに合う可能性が高い。
  • 分解素材は後半で活きる:序盤で無闇に素材を使わず、強化計画を立ててから投資する。
  • 環境やログを読む:敵配置やショートカットの有無を理解して安全なルートを確保する。
  • DLC要素は難度のブレを補完する良コンテンツ:慣れてきたらDLCでの装備や経験を本編に持ち帰るのも有効。

まとめ

『The Surge』は、ターゲッティングと切断による戦術性、モジュール化された装備・分解による収集ループ、そして企業主導の陰鬱な近未来世界観が一体となった作品です。難度は高めですが、本作が提示する“部位を狙う”という戦闘哲学は独特で、ソウルライク好きだけでなく、カスタマイズやクラフトを好むプレイヤーにも強く訴求します。続編である『The Surge 2』と合わせて遊ぶことで、システムの拡張や世界観の広がりも楽しめます。

参考文献