アサシン クリード オデッセイ徹底解説:古代ギリシャを舞台にしたRPG的進化と評価
イントロダクション — 古代ギリシャを駆ける大作
『アサシン クリード オデッセイ』(Assassin's Creed Odyssey)は、2018年にUbisoft Quebecが開発・Ubisoftが発売したアクションRPG寄りのオープンワールド作品です。プレイヤーは紀元前の古代ギリシャ、ポロポネソス半島と多数の島々を舞台に、傭兵(ミスシオス)として戦い、家族の謎と戦争の渦中を生き抜きます。本作はシリーズにおけるRPG要素の拡張、選択によるストーリー分岐、海戦の強化などで大きな話題を呼びました。
基本情報とリリース
『オデッセイ』は2018年10月にPlayStation 4、Xbox One、PCで発売され、以降の世代機やクラウドサービスでも配信されました。開発は『Assassin's Creed III』『Assassin's Creed IV』などを手がけたチームを含むUbisoft内部チームの協業で行われ、シリーズ伝統の歴史描写とフィクションを融合させた作風を踏襲しつつ、RPG的な成長要素と選択の重視が打ち出されています。
舞台設定と歴史考証
舞台は紀元前5世紀〜4世紀にかけてのギリシャ世界、ポロポネソス戦争(スパルタ対アテナイなどの都市国家間の衝突)が背景にあります。ただしゲームは史実の再現というより“史実と神話を織り交ぜる体験”を目指しており、哲学者や司令官といった史実人物が登場する一方で、神話的・SF的要素(古代の遺物=ファースト・シビライゼーション=Isuに関する要素)が物語の核を為します。
プレイヤーキャラクターと物語構造
プレイヤーは物語開始時に男女いずれかの傭兵(一般的にAlexiosまたはKassandra)を選択します。選択は見た目だけでなく一部の台詞や人間関係の描写に影響します。メインプロットは家族の過去と巨大な陰謀に迫るものですが、ゲーム内の多数のサイドクエストや選択肢によって結末や関係性が分岐し、何度も異なる物語体験が可能です。また現代パートではLayla Hassanが再び登場し、古代の探索結果と現代の謎が並行して進みます。
ゲームシステムの主な特徴
- RPG性の強化:スキルツリー(暗殺、狩猟、戦士といった系統)による能力強化、装備のレベル帯、スキルポイントや武器・防具の成長要素が強く導入されています。
- 選択と分岐:会話や重要な決断が後の展開やエンディングに影響を与える仕組みがあり、プレイヤーの判断が物語の結末を左右します。
- 戦闘とステルス:シリーズの潜入暗殺要素は残しつつ、正面からの大剣・槍・弓での戦闘がRPGらしく強化され、スキルの組み合わせで多彩なプレイが可能です。
- 海戦と船(アドレスタ):『ブラックフラッグ』の系譜を引く海戦と乗員・装備の強化要素があり、船同士の戦闘や略奪、乗込みなどが楽しめます。
- 傭兵システム:プレイヤーの行動に応じて報復を受けることがある標的システム(傭兵ランク)があり、上位の傭兵に狙われると接敵戦が発生します。
世界の作り込みと探索要素
マップは古代ギリシャの各地を想起させる多様な地形で構成され、都市、村落、洞窟、港、遺跡や神話的なロケーションが点在します。視覚的な美しさ、夕暮れや海面の表現、天候や昼夜サイクルによる見せ方の変化は高評価を受けました。多数の収集要素、サブクエスト、伝説の生物にまつわる狩猟なども用意され、探索のモチベーションが継続する設計です。
追加コンテンツ(DLC)とアップデート
発売後は複数の大型シナリオDLCが配信され、特に「Legacy of the First Blade(第一の刃の遺産)」と「The Fate of Atlantis(アトランティスの運命)」はストーリー的に重要な追加章です。前者はシリーズの核心に関わるキャラクターと遺物を巡る物語、後者は神話的世界観を深めるアドベンチャーであり、Isuや神々の存在に踏み込んだエピソードが展開されます。また教育・観光目的の“Discovery Tour: Ancient Greece”も提供され、歴史教育コンテンツとしての利用も可能になりました。
評価と批評点
批評面では、広大で美しい世界作り、選択による物語分岐、RPG的成長の導入は高く評価されました。一方で、一部ではメインストーリーのテンポや脚本の質、サイドコンテンツの反復性、アイテムやレベル差による“ゲーティング(進行の制限)”が指摘されました。また発売時点ではマイクロトランザクション(課金通貨)や一部バランスに関する批判も見られます。総じて商業的にも成功し、多くのプレイヤーを獲得した作品です。
技術面と演出
グラフィックは広大な空間表現と遠景の描き込み、光と影の演出に注力され、古代ギリシャらしい建築や自然の描写が高く評価されました。サウンド面では環境音や戦闘時のエフェクト、音楽が世界観に寄与しています。キャラクターのボイスアクトも英語版・多言語版で複数の声優が当てられ、選択した主人公によって演出の違いが生じます。
シリーズ内での位置づけと影響
『オデッセイ』はシリーズの中で“RPG化”をさらに推し進めた作品として位置づけられます。前作『Origins』で導入された要素を発展させ、以降のタイトルにも影響を与えました。歴史とフィクションの接合点を広げ、プレイヤーの選択を重視する路線は、シリーズの多様化を象徴しています。
プレイを検討する人へのアドバイス
- 物語の分岐を楽しみたいなら複数周プレイがおすすめ。会話の選択や行動でエンディングに差が出ます。
- 探索重視の遊び方が合う人に特に向いています。景色やサブクエスト、遺跡巡りに長時間没入できます。
- 戦闘はスキルの組み合わせや装備で大きく変わるため、ビルドを試して自分の戦い方を見つけてください。
総評
『アサシン クリード オデッセイ』は、古代ギリシャという魅力的な舞台と、選択・成長を中心に据えたゲームデザインが特徴の大作です。史実の雰囲気と神話的要素を織り交ぜた物語、豊富なサイドコンテンツ、海戦を含む多彩なゲームプレイは多くのプレイヤーに新鮮な体験を提供しました。一方で、RPG化に伴う課題や反復性の指摘も無視できません。シリーズの中での分岐点となった作品として、プレイヤーそれぞれの好みに応じた評価が分かれるタイトルと言えるでしょう。
参考文献
- Assassin's Creed Odyssey - Wikipedia
- Ubisoft - Assassin's Creed Odyssey 公式サイト
- IGN - Assassin's Creed Odyssey Review
- Metacritic - Assassin's Creed Odyssey
- Ubisoft - Discovery Tour: Ancient Greece
投稿者プロフィール
最新の投稿
書籍・コミック2025.12.19半沢直樹シリーズ徹底解説:原作・ドラマ化・社会的影響とその魅力
書籍・コミック2025.12.19叙述トリックとは何か──仕掛けの構造と作り方、名作に学ぶフェアプレイ論
書籍・コミック2025.12.19青春ミステリの魅力と読み解き方:名作・特徴・書き方ガイド
書籍・コミック2025.12.19短編小説の魅力と書き方 — 歴史・構造・現代トレンドを徹底解説

