レインボーシックス エクストラクション徹底解説:ゲーム性・戦術・評価まとめ
はじめに
『レインボーシックス エクストラクション』(Tom Clancy's Rainbow Six Extraction、以下『Extraction』)は、Ubisoft Montrealが開発した3人協力型のタクティカルPvEシューターです。『レインボーシックス シージ』の世界観とオペレーターをベースに、寄生生物「アーキアン(Archaean)」の脅威に立ち向かうという設定で設計されています。この記事では、ゲームの成り立ちからプレイの核、戦術、進行システム、批評と現状までを詳しく掘り下げます。
概要と開発経緯
Extractionは当初『Rainbow Six Quarantine』という仮題で発表され、その後タイトルと方向性が調整されて『Extraction』としてリリースされました。Ubisoftの既存フランチャイズである『シージ』の運用ノウハウとキャラクター資産を活かしつつ、完全なPvE体験にフォーカスしたスピンオフとして企画されました。発売は2022年1月で、PCおよび家庭用ゲーム機で展開されています。
コアとなるゲームプレイ
Extractionの基本ループは「短時間の侵入ミッションを連続してこなす」ことです。プレイヤーは3人1組(協力プレイ)で派遣され、各ミッションでサンプル採取、目標の確保、脱出などの目的を達成します。マップは複数のゾーンに区切られており、1回の出撃で複数のゾーンを攻略していく“遠征(Expedition)”形式が採られています。重要な特徴は次の通りです。
- リスクと報酬の選択:進行するほど敵が強化され、報酬も増える。いつ撤退するかの判断が重要になる。
- オペレーターの個別性:『シージ』のオペレーターが多数登場するが、能力やガジェットはPvE向けに調整されており、それぞれが異なる役割を担う。
- 永続性のある損耗:オペレーターは被弾や感染で負傷・隔離状態になることがあり、戦略的に交代させながら運用する必要がある(完全な永久死ではないが、長期的な管理が必要)。
- 敵の多様性:アーキアンは小型で素早い群体型から、大型の強化個体、特殊能力を持つボス級まで多岐にわたり、戦術の幅を要求する。
オペレーターと装備の運用
Extractionではオペレーター選択が戦況を左右します。各オペレーターは固有のガジェットやパッシブを持ち、味方とのシナジーを考慮した編成が求められます。典型的な役割は以下の通りです。
- 前線制圧系:火力で敵の群れを処理する役。高い攻撃力と対集団能力を重視。
- サポート系:回復や強化、デバフ解除などを担当し、チームの継戦能力を高める。
- 制圧・偵察系:トラップ設置や索敵、遠距離支援で情報優位を作る。
武器やアタッチメント、ガジェットは出撃前にカスタマイズ可能で、ミッションごとの特性に合わせたセットアップが勝敗を分けます。また、ゲーム中に有限の弾薬や回復アイテムを管理することも戦術要素の一つです。
敵(アーキアン)の設計と戦術的影響
アーキアンは単なるゾンビ的存在ではなく、種ごとに挙動・能力が設計されています。短距離で多数で押し寄せるタイプ、遠距離攻撃を行うタイプ、妨害や分裂を行うタイプなどが混在し、地形と相まって緊張感のある遭遇を生み出します。特殊個体はチームの行動を強制的に変える力を持つため、状況認識と役割分担が重要です。
リスク管理と意思決定 — 『撤退』の哲学
Extractionの面白さは、成功を積み上げる中で「続行するか撤退するか」を常に問い続けられるところにあります。深く進めば得られる報酬は大きいが、失敗すれば既存の進捗が大幅に失われることもある。これはローリスク/ローリターンとハイリスク/ハイリターンのジレンマを生み、チーム内でのコミュニケーションと合意形成をプレイ体験の中心に据えています。また、オペレーターを失いたくないために慎重になるプレイスタイルや、逆に大胆にリスクを取って高難度を狙うプレイスタイルが自然に発生します。
進行システムと報酬設計
ゲームには短期的な報酬(ミッション報酬、資材、装備)と長期的なアンロック(オペレーター、武器、スキルツリーに類する強化要素)が用意されています。研究ツリーや装備のアンロックを通じて新たな戦術が解放されるため、継続的なプレイの動機付けが図られています。一方で、コンテンツ量や同一ミッションの繰り返しになりがちな設計は批評点となることもあります。
評価と受容 — 長所と短所
公開直後からの評価は賛否両論でした。肯定的な点としては次が挙げられます。
- 緊張感ある短時間のタクティカルプレイが面白い。
- 『シージ』由来の射撃感やオペレーター固有の個性が活きている。
- 協力プレイでのロール分担と連携の重要性が高く、友人と遊ぶ場合の満足度が高い。
一方、批判された点も明確です。
- リプレイ性が低く感じられることがある(マップ・目標が反復される印象)。
- 進行の単調さや報酬バランス、価格設定に対する不満。
- 発売時点のコンテンツ不足を指摘する声。
Ubisoftはその後パッチや調整、イベントでコンテンツの拡張やバランス改修を行い、プレイヤー体験の改善に努めています。
初心者向けの実践的アドバイス
これからExtractionを始めるプレイヤーに向けた基本戦術をまとめます。
- チーム構成を意識する:回復・索敵・火力はできるだけバランス良く揃える。
- 無駄な接敵を避ける:背後や側面からの奇襲に注意し、状況に応じて撤退を選ぶ勇気を持つ。
- 資源管理を徹底する:弾薬・回復・ガジェットは有限。次の遭遇を想定して温存する。
- コミュニケーションを重視する:敵の位置やボスの行動、撤退の意思は速やかに共有する。
上級者向けの戦術的洞察
高難度で勝ち抜くためには、より精緻な戦術とリスク評価が求められます。地形利を活かしたキルゾーンの作成、ガジェットの時間差運用、ボス級の行動パターンを学んで対処するなど、知識と連携を活かしたプレイが重要です。さらに、オペレーターごとの微細な立ち回り(射線管理、スキルの温存と投資)が差を生みます。
Extractionの位置づけと今後
Extractionは『シージ』という成功したフランチャイズの世界観を別ジャンルに拡張した試みの一つです。PvEに特化したことで生まれる独自の緊張感や協力プレイの魅力は確かに存在しますが、持続的なプレイヤー維持には定期的なコンテンツ追加とバランス調整が不可欠です。今後の展開は、Ubisoftがどれだけコミュニティの期待に応えてコンテンツを追加し続けるかにかかっています。
まとめ
『レインボーシックス エクストラクション』は、タクティカルな協力体験を求めるプレイヤーにとって魅力的な選択肢を提供します。リスク管理とチームワークを重視する設計は一部プレイヤーに強い満足感を与えますが、反復性やコンテンツ量に関する課題もあり、購入を検討する際はその点を踏まえることが重要です。本稿が初心者から上級者まで、Extractionをより深く理解する助けになれば幸いです。
参考文献
- Ubisoft公式サイト — Rainbow Six Extraction
- Wikipedia — Tom Clancy's Rainbow Six Extraction
- IGN — Rainbow Six Extraction review and coverage
- PC Gamer — Rainbow Six Extraction review
- Eurogamer — Rainbow Six Extraction
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