Numark Mixtrack Pro 3 徹底レビュー：初心者から現場まで使える実力とは

2025年12月21日 最終更新日時 : 2025年12月21日 エバープレイ編集部

概要と位置づけ

Numark Mixtrack Pro 3（以下 MTP3）は、Numark がエントリー〜中級ユーザー向けに提供する2チャンネルDJコントローラーです。大きなジョグホイール、基本的なミキサー機能、パフォーマンスパッドをコンパクトな筐体にまとめ、USBバスパワーで動作する手軽さが特徴です。公式にはSerato DJ（Serato DJ Introを同梱するモデルが多い）との互換性を前提に設計されており、低価格帯の製品の中では使い勝手と機能のバランスが良い機種として広く普及しました。

ハードウェアの詳細

MTP3のハードウェア的な特徴を整理します。主に2チャンネル構成で、左右にそれぞれデッキ操作用のジョグホイール、ピッチフェーダー、プレイ／キューなどの基本コントロール、そして中央に3バンドEQやフィルターつまみ、クロスフェーダーとマスター出力を備えたミキサーを配置しています。また、ヘッドホン出力、マスターRCA出力、マイク入力とそのレベル調整が可能で、最小限のライブセットアップにも対応します。

  • ジョグホイール：フルサイズに近い大型ジョグを採用し、スクラッチやスクロール操作がしやすい設計。
  • パフォーマンスパッド：各デッキにパッドが備わり、ホットキューやループ、サンプラー等の操作に対応（ソフトウェア側の機能に依存）。
  • 入出力：USBバスパワー駆動、RCAメインアウト、ヘッドホン端子、マイク入力を装備。
  • 筐体：軽量で持ち運びやすく、ライブや練習用に適したサイズ。

ソフトウェア互換性とセットアップ

MTP3は主にSerato DJのエントリーバージョンとのバンドルが一般的で、プラグアンドプレイで使い始められるのが魅力です。Seratoのフルバージョンにアップグレードすれば、より高度なエフェクトや拡張機能が利用できます。セットアップは基本的にUSB接続後にドライバーをインストール（多くのOSでは不要）し、Seratoを起動してトラックをロードするだけで完了します。音声出力の設定やレイテンシ調整は、快適なパフォーマンスのために最初にチェックしておきましょう。

音質とパフォーマンス

低価格帯のコントローラーとしては出力のクリアさ、ノイズ対策も概ね良好で、クラブやイベントの入門機として必要十分な音質を確保しています。ただし、DACのクオリティや内部回路の差から、ハイエンド機と比べると音の余裕や解像度で劣る部分はあります。長時間の現場使用や高出力のPAを前提にする場合は、外部オーディオインターフェイスを併用する選択肢も考慮に入れてください。

操作性とパフォーマンス機能

ジョグホイールの感触はこの機種の大きな強みで、練習の際のキュー合わせやスクラッチ入門に適しています。パフォーマンスパッドは4つ×左右のシンプルな構成で、直感的にホットキューやループ切り替えが可能。エフェクトやサンプラーの細かい操作はソフトウェアに依存するため、Serato側の機能やマッピングを理解することが重要です。クロスフェーダーやフェーダーカーブの設定次第でスクラッチのしやすさは大きく変わりますので、好みに合わせた調整を行ってください。

長所（Pros）と短所（Cons）

  • 長所：手頃な価格、フルサイズに近いジョグホイール、携帯性、Seratoとの高い親和性、初心者にも扱いやすいインターフェース。
  • 短所：入出力が最低限、内蔵オーディオのクオリティは中級〜上級機に及ばない場合がある、拡張性は限定的。

現場での使い方と設定のコツ

ライブやイベントでMTP3を用いる際の実践的なポイントです。

  • モニタリング：ヘッドホンのレベルは必ず事前にチェック。ケーブルやアダプタの接触不良でトラブルが起きやすい箇所なので予備を用意しましょう。
  • 出力レベル：RCA出力はラインレベルで安定していますが、PA側の入力感度に合わせてマスター音量を調整。必要に応じて外部コントローラーやDIを併用。
  • クロスフェーダーのセッティング：スクラッチを多用するならクロスフェーダーのカットインをタイトに、スムーズなフェードが必要ならカーブを緩めに設定。
  • バックアップ：ラップトップやケーブル類のトラブルに備え、事前にプレイリストをUSBや別メディアに用意するのがおすすめです。

メンテナンスと長持ちさせるポイント

日常のケアで機材の寿命を延ばせます。ジョグやフェーダー周りはホコリが溜まりやすいので、使わないときはカバーをかける、定期的にエアダスターで清掃する、接点復活剤の使用は過度にならないよう少量で行うこと。USBポートや端子部は負荷をかけずに抜き差しし、ケーブルは無理に曲げないで保管してください。

競合製品との比較

同価格帯にはPioneerやHerculesなどからもエントリーモデルが発売されています。MTP3は特にジョグのサイズやSeratoとの親和性で差別化されていますが、Pioneerのコントローラーはフェーダーやミキサーの感触で定評があり、Herculesは堅牢性と付属ソフトウェアの利便性で選ばれます。選択時は使用するソフトウェア、ジョグの感触、将来的な拡張性を基準に比較検討すると良いでしょう。

誰に向いているか（ユーザー像）

MTP3はこれからDJを始める初心者、ホームパーティや小規模イベントで気軽にプレイしたいユーザー、そして機材の軽さやコストパフォーマンスを重視する中級者に向いています。一方で、プロのクラブ常設用途や高解像度の音質を求めるトラック制作者、複雑なFXルーティングを多用するパフォーマーには物足りない部分が出てくるかもしれません。

まとめ

Numark Mixtrack Pro 3は、エントリーモデルとして非常に完成度が高く、ジョグの操作感やSeratoとの連携性を重視するユーザーに強く推奨できます。価格帯を考えれば、初めての1台として必要な機能をバランス良く備えており、練習用から小〜中規模の実践シーンまでカバー可能です。将来的にプロ仕様を目指す場合でも、操作やプレイスタイルの基礎を固める機材として有用でしょう。

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