Dishonored 2 深掘りレビュー:自由度・レベルデザイン・物語の考察
概要
『Dishonored 2』はArkane Studios(アルケイン・スタジオ)が開発し、Bethesda Softworksが2016年11月11日に発売したアクションアドベンチャー/ステルスゲームです。プレイヤーは前作から引き続きコーヴォ・アターノ(Corvo Attano)か、エミリー・カドウィル(Emily Kaldwin)のどちらかを選択して操作します。舞台は帝国の群島にある港町カーナカ(Karnaca)を中心に展開し、前作の出来事から時間が経過した世界観で、権力争いと復讐が物語の軸になります。
世界観と物語
本作はヴィクトリア朝風のダンウォール(Dunwall)など前作の地域に加え、より地中海的な雰囲気を持つカーナカを舞台としており、建築様式や気候、社会的背景が異なることで新たな探索の魅力を生み出しています。物語の主要な敵は魔術的背景を持つデルライラ(Delilah)で、彼女によるエミリーの失脚(あるいは帝位簒奪)が発端となり、プレイヤーは王座奪還あるいは復讐の道を歩みます。
物語は選択と結果(いわゆる「カオス」システム)によって分岐し、プレイスタイル(非殺傷志向、潜入重視、あるいは正面突破)によって世界の状況やエンディングが変化します。この設計はプレイヤーの行動が世界に与える影響を可視化する仕掛けとして機能し、リプレイ価値を高めています。
ゲームプレイとシステムの深掘り
『Dishonored 2』は自由度の高い設計が特徴で、レベルや敵の配置、道具や能力の組み合わせによって多様な攻略法が生まれます。主なシステムは次の通りです。
- プレイアブルキャラクターの差異:コーヴォは前作でおなじみのテレポート系(Blink)など従来の能力を持ち、エミリーは新たに設計された能力(Far Reachなど)や固有スキルを持ち、どちらを選ぶかでプレイ感が大きく変わります。
- 能力ツリーとルーン/ボーンチャーム:ルーンでアビリティの強化、ボーンチャームでパッシブ効果を付与できます。これにより細かなビルド差が生まれ、同じマップでも異なる体験になります。
- カオスシステム:敵を殺害するか否かで街の治安やNPCの反応が変化し、ストーリーへの影響も発生します。徹底した非殺傷プレイは世界をより安定させ、逆に大量殺害は混乱を招くといった因果が設定されています。
- ステルスとAI:敵の視界や聴覚に基づく索敵AIは前作より洗練され、物陰や影の扱い、音の演出が攻略の鍵になります。自動設定や行動パターンに隙があるため、プレイヤーの工夫次第で想定外の攻略が可能です。
レベルデザインの巧妙さ
本作のハイライトの一つはレベルデザインです。各ステージは複数ルート、垂直方向の移動経路、そして環境を使ったトラップや仕掛けが豊富に配置されており、探索と発見の喜びを強く刺激します。特に有名なのは機械仕掛けやパズル要素を組み込んだステージで、単に敵を避けるだけでなく、環境を読み解くことで別のアプローチが開けます。
こうした設計は“環境がプレイヤーに語りかける”というレベルデザイン哲学に基づいており、ストーリーテリングと密接に絡めることで没入感を高めています。また、複数の攻略法を許容することでプレイヤーの選択を尊重し、後述するリプレイ性にも寄与します。
演出・音響・美術
アートディレクションはシリーズの強みの一つで、時代と地域が混じり合った独特のビジュアルは世界観の説得力を高めています。照明や色彩の使い分け、建築のディテールは探索意欲をそそり、音響デザインと相まって緊張感や静けさを演出します。ボイス演技やサウンドトラックも場面ごとのムード作りに貢献しており、ステルス時の小さな足音や環境音が緊迫感を高める設計です。
評価・問題点・影響
批評面ではレベルデザインやシステムの自由度、ストーリー性が高く評価されました。一方、発売当初はコンソール版でのパフォーマンスやバグに関する批判があり、これらは後のパッチで改善されています。また本作のアプローチは以降のステルス/システム重視のタイトルに影響を与え、プレイヤーの選択を物語に反映させるデザインの好例としてしばしば引用されます。
さらに、DLCやスピンオフ(例:『Dishonored: Death of the Outsider』)を通じて世界観が拡張され、シリーズ全体の評価やファンベースの形成に寄与しました。
まとめ
『Dishonored 2』は自由度の高さ、優れたレベルデザイン、そしてプレイヤーの選択が物語に影響を与える構造で強い没入感を与えるタイトルです。発売時の技術的問題はあったものの、ゲームデザインそのものは現在でも学ぶべき点が多く、ステルスや実験的な能力設計、環境を用いた物語表現を志向する開発者やプレイヤーにとって重要な参照例となっています。
参考文献
- Dishonored 2 - Wikipedia
- Arkane Studios 公式サイト
- Bethesda Softworks - Dishonored 2 公式ページ
- IGN: Dishonored 2 Review
- Eurogamer: Dishonored 2 Review
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