Zedd(ゼッド)徹底解説:クラシック教育出身のヒットメーカーが作るポップとエレクトロの接点
Zedd(ゼッド)とは
Zedd(本名:Anton Zaslavski、1989年9月2日生まれ)は、ロシア生まれでドイツ育ちの音楽プロデューサー/DJ/作曲家です。クラシック音楽の家庭で育ち、幼少期からピアノやヴァイオリンに触れた経験を基盤に、後にエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)とポップスを横断するサウンドで世界的な評価を得ました。2012年発表のアルバム『Clarity』により幅広い注目を集め、同名のシングルは2014年のグラミー賞〈Best Dance Recording〉を受賞しました。
来歴とキャリアの歩み
Zeddはロシアのサラトフで生まれ、幼少期に家族とともにドイツへ移住しました。クラシック教育を受けたことが後の作曲感覚や和声へのこだわりに大きく影響しています。若い頃はロック/メタル系のバンド活動にも参加しており、バンドでの演奏経験がアンサンブル感覚やダイナミクスの取り扱いに寄与しました。
その後エレクトロニック音楽へ転向し、リミックスやオリジナル曲を通じて徐々に頭角を現します。2010年代初頭にはリミックスで注目を集め、2012年にリリースしたデビュー・アルバム『Clarity』で国際的ブレイクを果たしました。以降、Ariana GrandeやSelena Gomez、Alessia Cara、Maren Morrisなどポップ/カントリー系アーティストとのコラボレーションを重ね、クラブ〜ラジオ〜ストリーミングのクロスオーバーに成功しました。
代表作と主なコラボレーション
- Clarity(2012) — アルバムのタイトル曲「Clarity」(フィーチャリング Foxes)はZeddの代表曲であり、2014年のグラミー賞〈Best Dance Recording〉を受賞しました。メロディックでドラマティックな構成が特徴です。
- Spectrum(2012) — Matthew Komaをフィーチャーした楽曲で、ダンスチャートで高い評価を受けました。
- Break Free(Ariana Grande ft. Zedd、2014) — Ariana Grandeのシングルにプロデューサー/フィーチャーとして参加。エレクトロとポップの融合で大ヒットしました。
- I Want You to Know(ft. Selena Gomez、2015) — Zedd名義のシングルで、ポップ寄りのダンスチューンとして広く聴かれました。
- Stay(with Alessia Cara、2017) — ミニマルな伴奏と切実なボーカルが印象的なヒット曲で、チャートでも成功を収めました。
- The Middle(with Maren Morris & Grey、2018) — ポップ/カントリー要素を取り入れた曲で大衆性をさらに広げ、米国を中心に大ヒットしました。
音楽性と制作手法
Zeddの音楽の大きな特徴は「クラシック的な和声感とポップ的なフック」の融合です。幼少期のクラシック教育により、コード進行やストリングスの扱い、モチーフの発展などに洗練された感覚を持ちます。一方で、現代的なEDMのサウンドデザイン(シンセのレイヤーやビルドアップ、ドロップ)に対する理解も深く、両者をバランスよく組み合わせることでラジオやフェスティバルでも響く楽曲を生み出しています。
プロダクション面では、ボーカルの前面化(ボーカルフックを核に据える構成)、ダイナミクスのコントラスト(静と動の劇的な切り替え)、そしてメロディ先行の楽曲設計が多く見られます。また、細かなサウンド処理やミックスにこだわることで、EDMの鮮烈なエネルギーとポップの聴きやすさを両立させています。
ライブ/フェスでの活動
ZeddはフェスティバルやクラブでのDJプレイも活発に行っており、Ultra Music FestivalやCoachella、Tomorrowlandなど世界的な大型フェスティバルに出演しています。DJセットでは自身の楽曲に加え、多彩なリミックスや編集を交えてフロアを動かす構成を取る一方、ライブ・パフォーマンスではボーカルや生楽器の要素を取り入れることもあります。
受賞歴と業界での評価
Zeddは特に「Clarity」でのグラミー受賞(Best Dance Recording)が象徴的な功績です。これによりEDMシーンだけでなくメインストリーム音楽業界でも高い評価を受けることになりました。以降のヒット曲群(特にコラボ楽曲)は商業的成功とともに、ポップミュージックにおけるプロデューサーの重要性を印象づけました。
影響と意義
Zeddのキャリアは、クラシック教育を受けた音楽家が現代ポップ/EDMの文脈でいかに力を発揮できるかを示す好例です。和声やメロディの重視、組曲的な楽曲構成は多くのプロデューサーや作曲家に影響を与え、特にポップとのクロスオーバーを志向するアーティストにとっての一つの指針となっています。また、大衆向けのヒットを量産しつつもプロダクションの質を保つ姿勢は、商業音楽における「職人的」側面を示します。
批評的視点と課題
一方で、Zeddは商業性が高いことを理由に批評家から「均質化したポップEDM」に陥るとの指摘を受けることもあります。大きな感情の盛り上げや分かりやすい展開は強みである反面、独自性や実験性に乏しいと捉えられる場面も存在します。だが、彼の強みは「大衆と音楽技術の橋渡し」にあり、商業的成功と音楽的完成度の均衡をいかに保つかが今後の鍵となるでしょう。
これからの展望
Zeddは既にポッププロダクションの第一線に位置しており、さらなるコラボレーションやサウンドの幅広い拡張が期待されます。近年はジャンルの垣根が薄れており、Zeddのようなクロスオーバー志向のプロデューサーはポップ/カントリー/R&B/エレクトロニカなど様々な領域で存在感を発揮し続けるでしょう。
まとめ
Zeddはクラシックの素養を持ちながら、現代のヒットポップとEDMを橋渡しする役割を果たしてきたアーティストです。代表作『Clarity』や多数のコラボレーションを通じて、ポップミュージックにおけるプロデューサーの存在意義を示しました。今後も多様なジャンルとの接続を通じて、新たなサウンドを提示していくことが期待されます。
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参考文献
- Wikipedia: Zedd
- GRAMMY.com: Zedd(受賞記録)
- Billboard: Zedd(アーティストページ)
- AllMusic: Zedd(ディスコグラフィー)
- Rolling Stone(関連レビュー等)
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