REO Speedwagon徹底解説:結成からヒット、サウンドの変遷と影響

概説

REO Speedwagon(アールイーオー・スピードワゴン)は、アメリカ中西部イリノイ州シャンペーンで結成されたロック・バンドで、1967年に結成されて以来、主に1970年代後半から1980年代にかけて商業的な成功を収めました。バンド名は自動車メーカー創業者Ransom E. Oldsが生み出した商用車「REO Speed Wagon」に由来します。アリーナロックやソフトロックの要素を融合させたメロディアスな楽曲群で知られ、特にアルバム『Hi Infidelity』(1980年)によって世界的な知名度を獲得しました。

結成と初期の歩み(1967〜1976年)

1967年にシャンペーンの学生を中心に結成され、初期は地域シーンでのライヴ活動やレコード会社との小規模な契約を繰り返しながら経験を積みました。キーボードのニール・ダウティー(Neal Doughty)が結成メンバーの一人としてバンドの礎を築き、ギタリストのゲイリー・リクラース(Gary Richrath)が楽曲の多くを提供することで、力強いギターロックとメロディを重視するスタイルが確立されていきます。

ブレイクと『Hi Infidelity』の衝撃(1977〜1982年)

1970年代後半にヴォーカルのケヴィン・クローニン(Kevin Cronin)がほぼバンドの顔となり、1978年頃から作品の方向性がよりポップでメロディアスになっていきます。その頂点が1980年発表の『Hi Infidelity』で、このアルバムはアメリカで爆発的なセールスを記録し、複数のヒットシングルを生みました。代表曲の「Keep On Loving You」はビルボード・ホット100で1位を獲得し、続く「Take It on the Run」も上位に入るなど、アルバム全体がラジオやMTV時代のヒットチャートと親和性を持って広く受け入れられました。『Hi Infidelity』はアメリカ国内でミリオンセールスを重ね、バンドの商業的ピークとなりました。

1980年代中盤以降とさらなるヒット

1984年のアルバム『Wheels Are Turnin'』からのシングル「Can't Fight This Feeling」は1985年に再びビルボード・ホット100の1位を獲得し、バンドの代表曲の一つとして定着しました。この時期、REO Speedwagonはバラードとロックを両立させた楽曲を得意とし、ラジオでの露出とアリーナ・ツアーの成功により、80年代アメリカンロックの主要バンドの一角を占めました。

音楽性と特徴

REO Speedwagonの音楽は、基本的にロックの骨格にポップ的なメロディラインと分かりやすいコーラスを融合させたものです。ギターのリフやソロが曲の推進力を生む一方で、ピアノやオルガンなどのキーボードも大きな役割を果たし、バラードでは感情表現を前面に出すアレンジがとられます。歌詞は恋愛や人間関係、自己反省といった普遍的なテーマを扱うことが多く、幅広いリスナー層に訴求しました。

主要メンバーとバンド編成の変遷

長年にわたってメンバー交代はありますが、以下がバンドを支えた主要人物です。

  • ケヴィン・クローニン(Kevin Cronin): リードヴォーカル、リズムギター。バンドの顔であり、主要な作詞作曲者の一人。1970年代中盤以降の商業的成功を牽引。
  • ゲイリー・リクラース(Gary Richrath): リードギター。力強いギターワークと楽曲提供でバンドのロック性を担った(1980年代後半に脱退)。
  • ニール・ダウティー(Neal Doughty): キーボード。初期からのメンバーでバンドの音色に寄与。
  • ブルース・ホール(Bruce Hall): ベース兼コーラス。1970年代後半以降、安定した低音と作曲参加で存在感を示す。

また、1980年代後半からはデイヴ・アマート(Dave Amato)やブライアン・ヒット(Bryan Hitt)らが加入してツアーや録音に参加し、90年代以降のライブ活動を支えています。

ライブ活動と人気の維持

REO Speedwagonはスタジアム/アリーナ級のライヴで知られ、観客参加型のコーラスやバラードでの一体感を生む演出が特徴です。バンドは商業的なピークを過ぎた後も、レガシー・バンドとして定期的なツアーを行い、特に北米市場で根強い人気を保っています。往年のヒット曲は各地のラジオやCM、映画などで継続的に使用され、新たな世代にも接点を持っています。

評価と影響

音楽批評の観点では、REO Speedwagonは『Hi Infidelity』期の濃密なポップ性とプロダクションの巧みさで高く評価される一方、硬派なロック・シーンからはポップさを理由に距離を置かれることもありました。しかし、アルバム単位・曲単位での商業的成功は疑いようがなく、80年代のアメリカン・ロック/ポップの一端を象徴する存在として位置づけられています。多くのバンドやアーティストにとって、メロディの強さとスタジアム・ロック的な見せ方は参考にされてきました。

ディスコグラフィ(ハイライト)

  • 『R.E.O. Speedwagon』(1971) — デビュー作。バンドの出発点を示す。
  • 『Ridin' the Storm Out』(1973) — ライブで人気の曲を含む。
  • 『Hi Infidelity』(1980) — 商業的ブレイクの代表作。全米大ヒット。
  • 『Wheels Are Turnin'』(1984) — 『Can't Fight This Feeling』を収録。

現状と近年の活動

21世紀に入ってもREO Speedwagonは断続的にツアーやフェス出演を続け、ベテラン・バンドとしての地位を保っています。オリジナル・メンバーの高齢化や体制の変化はあるものの、クラシックヒットを中心としたセットリストで観客を魅了し続けています。新作リリースは若い頃のペースには及ばないものの、ライブ活動を通じたファンとの接触が活動の中心となっています。

音楽的遺産と今日に残るもの

REO Speedwagonの遺産は、キャッチーなメロディとアリーナ向けのスケール感をロック曲に持ち込んだ点にあります。特にバラードの完成度は今でもラジオの定番となっており、映画やドラマ、CMなどで楽曲が使われることが多く、世代を越えて聴かれ続けています。ポップとロックを結びつけた作風は、後の多くの商業ロック・バンドに影響を与えました。

まとめ(考察)

REO Speedwagonは1960年代末の草創期から活動を続け、1970年代〜80年代にかけて確固たる商業的成功を得たバンドです。彼らの強みはメロディとコーラスを重視した楽曲作り、そしてアリーナを満たすライブの手腕にあります。評価は賛否あるものの、アメリカン・ロックの歴史における重要な位置を占めることは確かで、今日でもヒット曲を通じてその影響は失われていません。

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参考文献