龍が如く7 光と闇の行方を徹底解説|物語・戦闘システム・舞台・評価
概要:シリーズの“革命”としての『龍が如く7』
『龍が如く7 光と闇の行方』(英題:Yakuza: Like a Dragon)は、龍が如くスタジオ(セガ)によって開発され、シリーズの主役を桐生一馬から一新し、新主人公・春日一番(Ichiban Kasuga)を据えた長編作品です。日本ではPlayStation 4向けに2020年1月16日に発売され、その後海外向けに英語版がリリースされ、さらにPCや次世代機へ移植されました。本作はシリーズ伝統の街歩きやミニゲーム、濃密な人間ドラマを残しつつ、戦闘システムを従来のアクションからターン制のRPGへ大胆に変更したことで注目を集めました。
物語の骨子と主人公・春日一番の魅力
物語は、地方の下っ端ヤクザである春日一番が、18年間の服役を経て組に戻るところから始まります。春日の信念―「組のために身を呈する」という忠義心―は物語冒頭で大きな代償を伴い、その後の展開で裏切りや権力闘争、社会の差別・階層問題に直面していきます。従来の龍が如くシリーズで見られた“孤高の漢”としての硬質なヒーロー像とは異なり、春日は情に厚く、コミカルで親しみやすい性格が強調され、人間味のある仲間たちとの絆が物語の中核となります。
本作の魅力は、単なる復讐劇や抗争譚にとどまらず、社会的弱者や非正規労働、ホームレスなどの現代的なテーマも取り込みながら、笑いと哀しみを織り交ぜて重厚かつ温かい人間ドラマを描く点にあります。
舞台:伊勢佐木異人町(横浜)の再現と都市設計
舞台は横浜をモデルにした「伊勢佐木異人町(伊勢佐木異人町)」を中心とした街です。シリーズでおなじみの歌舞伎町的象徴・神室町に代わり、港町特有の港湾エリア、飲食街、歓楽街、住宅地など多様なロケーションが用意されています。マップ設計は、単一の狭い区画ではなく地域ごとの動線や生活感を重視しており、サイドコンテンツやイベントが散りばめられているため、探索の満足度が高いのも特徴です。
戦闘システムの刷新:ターン制RPGと“職業(ジョブ)”要素
シリーズ最大の変化は戦闘システムです。リアルタイムアクションから、コマンド選択式のターン制バトルへと移行しました。ダンジョンやストリートでの戦闘は、従来の派手なアクションとは異なるリズムですが、戦術性やバラエティ面で大きく広がっています。
- 職業(ジョブ)システム:各キャラクターは「職業」によって使用可能なスキルや武器が決まり、自由に職業を変更して多彩な戦術を構築できます。戦闘経路や育成方針がプレイヤーごとに異なるのが強みです。
- ヒートアクションと特殊技:従来シリーズの“ヒート”に相当する強力な一発技は残されており、状況に応じた決定打として有効です。
- フィールド戦闘の演出:街中での集団戦や雑多な敵配置は、RPG的な戦術とシリーズらしいド派手な演出を両立させています。
この変更は賛否両論を呼びましたが、RPGの文法を取り入れることで「街での多彩な行動」と「戦闘の戦術性」を結びつける新たな遊びを生んでいます。
サイドコンテンツとミニゲーム:シリーズ伝統の継承
本作はサブストーリーやミニゲームの充実ぶりでも知られます。カジノやパチンコ、飲食店経営、アイドル育成的要素、さらにコミカルなイベントや町の人々との関わりなど、街歩き自体がひとつの遊びになっています。これらはメインストーリーの息抜きだけでなく、職業切り替えや装備収集のための重要な要素にもなっており、世界観への没入感を高める役割を果たしています。
テーマと演出:希望と絶望の二律背反
タイトルが示す「光と闇」はそのまま本作の主題です。春日の陽気で人懐っこいキャラクター性(光)と、彼を取り巻く裏社会の冷酷さや社会構造の不条理(闇)が劇的に対比されます。脚本はシリアスな場面とギャグ、サブカルチャー的ネタや人情話を巧みに往復させることで、重いテーマをプレイヤーに受け入れやすくしています。キャラクター同士の会話演出やドラマ演出はシリーズの高い水準を維持しており、新主人公導入というリスクを物語面で見事に回収しています。
評価・商業的な反響
発売後は、シリーズの大胆な路線変更にもかかわらず高評価を得ました。批評面では物語の完成度、主人公の魅力、ターン制への移行による新鮮さが称賛され、商業的にもシリーズへの新規層獲得に成功したと評価されています。一方で、戦闘のテンポや一部のバランス調整、マップの移動の煩雑さを指摘する声もあり、旧来のアクションを期待していた層には受け入れがたい点もありました。
プレイのコツ(初心者向け)
- 職業を積極的に切り替える:序盤から複数の職業を試し、パーティーメンバーの得意分野を見極めましょう。
- サイドコンテンツで金策と育成:ミニゲームやサブストーリーは経験値や装備、スキル習得の大きな源です。
- ヒートアクションは温存と乱用のバランス:強敵には温存して決定打に使い、雑魚戦は通常攻撃で短縮するのが効率的です。
- 仲間の絆を深める:サブストーリーやイベントで仲間の背景を深掘りすると、戦闘・物語ともに理解が深まります。
結論:大胆な刷新が生んだ“新生・龍が如く”
『龍が如く7 光と闇の行方』は、シリーズとしての伝統を残しながらも、主人公・戦闘・舞台設定の大幅な刷新を行った意欲作です。従来ファンにとっては驚きと賛否を呼んだ変更点も多い一方で、新規プレイヤーにとってはRPGのルールで入りやすく、物語の感情移入を促す作りになっています。テーマの深さ、キャラクター描写、街の密度感とミニコンテンツの多様さは、シリーズを新たな世代へ繋ぐ一歩となりました。龍が如くシリーズの“今”を知るには必須のタイトルといえるでしょう。
参考文献
Yakuza: Like a Dragon - Wikipedia (en)
Yakuza: Like a Dragon - Official (SEGA)
Yakuza: Like a Dragon - Steam Store
Yakuza: Like a Dragon - Metacritic
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