クローズドスタンス徹底ガイド：スライス対策から飛距離・ショットコントロールまで

2025年12月28日 最終更新日時 : 2025年12月28日 エバープレイ編集部

クローズドスタンスとは何か

クローズドスタンス（closed stance）は、アドレス時に両足を目標線に対してわずかに閉じた（右打ちなら右足を後ろに引く、左打ちなら左足を後ろに引く）姿勢を指します。見た目にはつま先やかかとが目標よりも左を向き、体全体がやや左を向いたように見える配置です。わずかな調整であることが多く、完全に“閉じる”必要はありませんが、意図的に開くオープンスタンスとは逆の効果を狙います。

なぜクローズドスタンスを使うのか：目的と効果

クローズドスタンスは主に以下の目的で使われます。

  • スライス（カットボール）の修正：つま先をやや引くことで、クラブのアタック軌道が内側から外側へ向かいやすくなり、インサイドアウトのスイングパスを作りやすくなるためスライス矯正に有効です。
  • ドローの誘発：内側から外側へ振ることでフェースが相対的に閉じやすく、フェードではなくドロー系の球筋を出しやすくなります。
  • 低弾道化またはコントロールショット：クローズドスタンスは体の回転を促し、手首やフェースの操作を制限することで安定したインパクトと理想的な打ち出し角を作るのに役立ちます。
  • 特定のライやフェアウェイでのバランス改善：風が強い状況や狭いフェアウェイでのターゲットコントロールに有利になることがあります。

クローズドスタンスが球筋に与える影響（ボールフライトの基本）

ボールの曲がりは「クラブフェースの向き」と「クラブパス（ヘッド軌道）」の相対関係で決まります。一般論としては：

  • フェースがパスに対して開いている → フェード/スライス傾向
  • フェースがパスに対して閉じている → ドロー/フック傾向

クローズドスタンスは身体の向きや下半身の使い方を変えることで、インサイドからのヘッドパスを作りやすくします。これにより、同じフェース角でも相対的にフェースが閉じて働き、ドロー気味の弾道を生みやすくなります。

各クラブでの使い分け（ドライバー、アイアン、ウェッジ）

クローズドスタンスの有効性はクラブの長さや状況で変わります。

  • ドライバー：ティアップでのミス（スライス）を抑え、フェアウェイを広く使いたい場合に有効。ただしオーバードローやフックが出やすいので、ティー位置やボール位置の調整も重要です。
  • アイアン：ショート/ミドルアイアンでのコントロールショットやピンを狙う際に効果的。フェースコントロールと組み合わせることで、狙った弾道にしやすくなります。
  • ウェッジ：特にフルショットよりもフルに近い打ち方での使用が多く、閉じすぎるとスピンや打ち出し角に影響するため微調整が必要です。ロブや高い球を意図する場合はオープンスタンスの方が適することもあります。

具体的なセットアップ手順（右打ちを想定）

実践的なアドレス設定をステップで示します。

  • 目標線を決め、一般的なスクエアスタンスで構える。
  • 右足（後ろ足）をターゲットに対して約5〜15度ほど内側へ回転させ、つま先を若干右寄りに向ける。スペース的には右足を左足より一歩分後ろに下げる程度が目安です（個人差あり）。
  • 肩と腰は目標よりやや左を向く感覚を持つ（体の向きを全部で閉じすぎない）。
  • ボール位置はクラブに応じて調整。ドライバーは左足寄りを維持、アイアンはセンター〜やや左寄り。
  • グリップとアドレス時の圧力は通常通り。閉じた体の向きでフェースが開きすぎないよう、ハンドファーストを意識する。

スイングで意識するポイント

  • テークバックでクラブがインサイドへ引きやすくなるため、トップからのダウンで自然にインサイドアウトに下りてくる感覚を活かす。
  • 下半身の回転を優先し、過度なスライド（横の移動）を避ける。特に右足を引いた分、右膝を使って安定させる。
  • 手首の過剰な使い過ぎや早期リリースはフックの原因になりやすい。インパクトでのフェース向きとリリースタイミングを練習ドリルで確認する。
  • 体の回転に伴う肩と腰の同期を保つことで、狙ったパスとフェースアングルの関係を再現しやすくなる。

おすすめの練習ドリル

  • アライメントスティックを用いたチェック：通常のスクエアアドレスとクローズドアドレスを交互に取り、ボールの打ち出し方向と曲がりを比較する。
  • ハーフスイングでのパス確認：クラブヘッドの通過ラインに対してボールがどの方向に出るかを半スイングで観察する。インサイドアウトが感じられるかを確認する。
  • タオルドリル：脇の下にタオルを挟んでスイングし、体と腕の一体感を養うことで不必要な手先の操作を抑える。
  • ステップドリル：テークバックで左足を軽くステップさせ（右打ちの場合）、ダウンスイングで元に戻すことで下半身主導の回転を体感する。

よくあるミスとその修正法

  • 閉じすぎ（過度な右足後退）→ ボールがプルやフックになりやすい。修正は足の位置を微調整して閉じ角を小さくする。
  • 肩の向きだけ閉じて下半身が動かない→ 切り返しで手打ちになりやすい。下半身の回転と同期させるドリルを行う。
  • フェースコントロールの欠如→ 意図したドローが出ないか、反対に過度なフックが出る。ハーフスイングでフェースの向きをチェックしてからフルスイングへ戻す。
  • バランスの崩れ→ アドレスの重心配分を見直し、スタンス幅やボールポジションを微調整する。

誰に向いているか（性別・年齢・スキル別の目安）

クローズドスタンスは特に以下のようなゴルファーに向いています：

  • スライスに悩む初心者〜中級者（ただしオーバードローに注意）。
  • 安定したフェードではなく、少しドローを打ちたい中級以上のプレーヤー。
  • 強風時に低く抑えた弾道でコントロールしたいプレーヤー。

ただし、筋力や可動域、過去の怪我などにより下半身の回転が苦手な方は最初から大きくスタンスを閉じるのは推奨されません。プロやティーチングプロに状態を確認してもらうと安全です。

実戦で使う際のチェックリスト

  • クラブごとのボール位置（ドライバーは左、アイアンはセンター寄り）を保っているか。
  • 閉じる角度は小刻みに調整して、1回の変更ごとに3〜5球試す。
  • スイング中の体重移動がスムーズか（過度な横移動がないか）。
  • 弾道と曲がり方が狙い通りかを確認し、必要ならボール位置やフェースの向きを微調整する。

まとめ：適度な調整と反復練習が鍵

クローズドスタンスはスライスを抑え、ドローや低い弾道を作るための有力な手段です。しかし、やりすぎるとプルやフック、バランス崩れなど別のミスを招きます。重要なのは小さな変化を加えてその効果を確かめること、そして体の回転やフェースコントロールといった基本動作を同時に磨くことです。可能であればプロのアドバイスやビデオ撮影によるセルフチェックを行い、意図した弾道が再現できるように練習を重ねてください。

参考文献

カテゴリー
ゴルフ
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