パームミュート徹底解説:技術・練習法・音作りまで

パームミュートとは

パームミュートは、右手の手のひら(ピッキングする側の掌)の柔らかい部分を弦に軽く当てることで音の余韻を短くし、音色を締める奏法です。英語では palm muting と呼ばれ、エレキギターを中心にロック、メタル、パンク、ポップス、ファンクなど多くのジャンルで用いられます。音の長さをコントロールすることでリズムの輪郭を明確にし、アンサンブル内での空間処理やダイナミクス作りに有効です。

起源とジャンル別の役割

パームミュート自体は弦楽器全般のミュート技法の一種で、電気ギターが広く普及して以降に現在のようなスタイルが確立しました。ロックやハードロック、メタルでは低音域での“チュクチュク”とした刻みでリフの推進力を生み、パンクやポップ・パンクではダウン・ストロークと組み合わせてエネルギーを出すために使われます。一方、クリーントーンでは軽く掛けてスタッカート風のアルペジオやカッティングに用いられ、ファンクの“チキチキ”といったパーカッシブな要素もパームミュートに依存する部分が大きいです。

基本的な手の置き方と圧力

正しい位置は弦とブリッジの間、サドルに近い柔らかい肉の部分です。橋に近過ぎるとミュート効果が薄く、指板側すぎると完全に消えてしまうため、目的のサウンドによって微妙にポジションを調整します。圧力は三段階に分けて理解するとわかりやすいです。1.ライトミュート:余韻を少し短くする程度。2.ハーフミュート:半分ほど減衰させる中間的な音色。3.タイトミュート:ほとんど余韻を消し、非常に打ち込み感の強い“チュク”音になる。多くのリフはこの中間からタイト寄りで演奏されます。

ピッキングと左手の関係

パームミュートは右手だけでなく左手のフィンガリングやミュートとの併用で精度が大きく変わります。左手で指先を完全に押弦してサステインを作る場合もあれば、指の腹や余った指で弦を軽く触れてデッドノート(ゴーストノート)を作ることもあります。特に速いパッセージでは右手のミュート位置を固定して左手で音程の切り替えを行うと安定します。ピックの厚さや角度も音の立ち上がりとミュートの感触に影響します。

機材と音作り

機材面では弦のゲージ、アクション高さ、ピックアップの種類と高さ、ブリッジのタイプが影響します。太い弦や低めのアクションはミュート時により詰まった印象を与え、ピックアップを高めに設定するとピッキング音やミュートのピュアなアタックが強調されます。歪み系ペダルやアンプのゲイン量が増すほどミュートの“こもり”が目立ちやすく、ノイズゲートやコンプレッサーで余韻やダイナミクスを整えることも一般的です。クリーントーンではリバーブやディレイを控えめにしてミュートのアタックを生かすのが基本です。

記譜とタブでの表記

楽譜やタブではパームミュート部分に「P.M.」と書き、その後に破線で継続を示すことが多いです。タブではミュートされた音を x で表すか、通常の音符に PM の表記を添えます。ゴーストノートは括弧付きの音符や x 表記で示され、リズムの輪郭を可視化することで演奏のニュアンスが伝わりやすくなります。

練習メニューとエクササイズ

  • メトロノームを使った基礎練習:開放弦で4分音符、8分音符、16分音符を順にミュート奏法で弾き、速さを徐々に上げる。
  • ポジション感覚の習得:ブリッジに近い位置から指板側まで少しずつ動かして音色変化を耳で確認する。
  • 片手の固定と左手の切り替え:右手をミュート位置に固定し、左手だけで各フレットに移動してもサウンドが変わらないようにする。
  • ダイナミクス訓練:同じフレーズを軽めから強めまで3段階で弾き分け、どの押さえ方・角度で音量が変わるかを把握する。
  • ジャンル別パターン練習:パンクのダウンストローク連打、メタルのギャロップリズム、ファンクのチキチキカッティングなどを取り入れる。

よくある誤りと改善策

  • ミュート位置が不安定で音色がぶれる → 練習では右手を弦に軽く置いたままにすることを意識する。
  • 腕や手首に力が入りすぎる → リラックスを優先し、緊張があると速いパッセージで指が硬直する。
  • ピックの角度が一定でない → ピックを持つ角度を微調整し、アタックが均一になるようにする。
  • 歪みが多すぎて輪郭が埋もれる → ノイズゲートやEQで不要な低域を抑え、ミッドの輪郭を出す。

応用テクニック

パームミュートを活かした応用には以下があります。1) ゴーストノートとアクセントを混ぜてリズムの複雑さを作る。2) ハーフミュートとタイトミュートを短時間で切り替え、フレーズに表情を加える。3) ハーモニクスと組み合わせてミュートの後に強い倍音を出す技法。4) ベースでのミュートは右手の母指や手の平でブリッジ寄りをミュートして深いローエンドを作ることで、バンドアンサンブルにタイトさを与える。

実際の楽曲での使われ方(解説)

代表的な例としては、メタルのリフはタイトなパームミュートで低域を押し出しながらギターの推進力を作ることが多いです。ポップ・パンクやパンクの楽曲ではダウンストロークに強めのパームミュートを掛けることでストレートな8ビートの推進力を得ます。クリーンなアレンジでは軽いパームミュートでアルペジオの音の切れを良くし、空間を埋め過ぎずリズムを整理します。

ベースでのパームミュート

ベースギターでもパームミュートは重要です。親指の付け根や掌の側面を弦に当てて弦の振幅を押さえ、サステインを短くすることでローエンドをタイトに保てます。メタルやハードロックのベースラインではギターとの周波数帯を整理するために多用されます。

まとめ

パームミュートはシンプルに見えて表現の幅が広い技法です。手の位置、圧力、ピッキングの強さ、使用機材、左手との連携によって無限のニュアンスを生み出します。基礎をメトロノームで固めながら、自分が求める音色に合わせて微妙に手の位置や角度を調整する練習を続けることが上達の近道です。

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参考文献