チップアンドラン完全ガイド：グリーン周りで失敗しない低弾道ショットの技術と実戦術

2025年12月28日 最終更新日時 : 2025年12月28日 エバープレイ編集部

チップアンドランとは何か

チップアンドラン（chip and run）は、グリーン周りで使う低弾道の寄せ技の一種です。ボールを少しだけ高く上げてグリーン手前に落とし、着地後にラン（転がり）でピンまで寄せることを目的とします。高く止めるピッチショットやフロップショットとは対照的に、空中時間を短くして滑らかに転がすのが特徴で、硬いグリーンやリンクス系のコース、風が強い状況で特に効果的です。

チップアンドランを使うメリット

  • グリーンが速く硬い場合でも距離感を出しやすい。
  • 空中での変数（スピン、風、落下位置）を減らせるため安定した結果を出しやすい。
  • ミスの原因になる手首の「フリップ（ヒップ）」を抑えられるため、方向性が安定する。
  • ラフが浅い場合やピンまでの距離が中途半端なときに、少ないリスクで寄せが可能。

チップアンドランが向いている状況・逆に向かない状況

  • 向いている：グリーンが硬く速い、アプローチ先のラフが浅い／無い、風が強い、傾斜でボールを転がしたいとき。
  • 向かない：グリーンが柔らかくピンの根元で止めたい場合、深いラフや障害物（グリーン前の急な傾斜やバンカー）がある場合、ピンが切られている位置が受け口で止めないと入らないとき。

クラブ選択の考え方

チップアンドランでは一般的にロフトの低いクラブ（7番〜PWの範囲）を使います。ロフトが低いほど転がりが多くなり、距離のコントロールがしやすいです。具体的には：

  • 7〜9番アイアン：長めのランを取りたいとき、フェアウェイ寄せや硬いグリーン向き。
  • PW／GW：少し高めの弾道で短めに止めたいとき（それでもピッチよりは低い）。

ウェッジでも行えるが、ロフトが高すぎるとランが短くなりやすい。バウンスは通常少なめのクラブが扱いやすい（硬いライでは高バウンスでも問題ないが、ソールの使い方に注意）。

基本セットアップとアライメント

  • スタンス：やや狭め。両足の幅はショットの安定を重視して軽く閉じ気味に。
  • ボールポジション：左足寄り（右利きなら左）、通常のチッピングより少し後ろというよりは中間〜やや前寄りにすることで、コンタクトを薄くするのを防ぐ。
  • 体重配分：前（左足）に約60〜70％。ハンドファーストに構えることでダフリを防ぎ、クリーンにボールをとらえやすい。
  • 手の位置：ボールよりやや前。ハンドファーストでソリッドな打感を得る。
  • グリップ：通常より軽めに握るが、手首の余計な動きを抑えるため、完全にリラックスしすぎない。

スイングのポイント（ステップ・バイ・ステップ）

1) テイクアウェイは肩と胴体の回転で行い、手首のコックは最小限に。短いアークで動かす。
2) バックスイングはコンパクトに。打ち出し角を低く保つためにクラブのロフトを活かしすぎない。
3) ダウンスイングは肩主導で、手首の早い開きやフリップをしない。インパクトでハンドファーストを維持。
4) インパクトはボールの下をしっかり払うのではなく、クラブフェースでボールの後ろを一瞬押し出すイメージ（薄い接触）。
5) フォロースルーは短めに、体の回転でクラブを運ぶ。クラブヘッドが地面を滑るような感覚が理想。

距離感の出し方と落としどころの決め方

チップアンドランは落としどころ（ランを計算する着地点）を決めることが最重要です。基本は「ピンより先に落とさない」こと。具体的な手順：

  • グリーンの硬さと速さ（ストンプメーターの数値が分かれば参考に）を観察する。
  • 落下地点を目標から逆算して決める（例：グリーンが速ければ落下地点はピンの手前、遅ければピンに近づける）。
  • クラブごとの転がり距離を繰り返し練習で把握しておく。各クラブで同じ長さのバックスイングがどのくらいのランになるかを体で覚える。

よくあるミスとその直し方

  • フリップ（手首の過度な使いすぎ）：手首の動きを最小限にして肩主導のスイングを意識。タオルを脇に挟むドリルが有効。
  • ダフリ：ボール位置が後ろすぎる、体重が後ろに残っているのが原因。ボールをやや前に置き、体重を左に乗せる。
  • トップ（薄すぎて上に飛ぶ）：フォロースルーの前に減速していることが多い。リズムを一定にし、コンパクトな振り抜きを心がける。
  • 距離感が安定しない：落としどころの設定を毎回確認し、同じ振り幅で反復練習すること。ラインの読み違いもあるので練習で補正。

練習ドリル（具体的なメニュー）

  • コインドリル：短い距離でボールの転がりを観察。ターゲットの手前にコインを置き、その先でボールを通過させる練習。
  • ラインドリル：複数の着地点を数メートルごとに決めて、それぞれに対して同じ振り幅で打ち分ける。
  • 脇タオルドリル：脇に軽くタオルを挟み、腕を体に固定して肩主導のスイングを養う。フリップの抑制に有効。
  • 変化球ドリル：同じ着地点でクラブを変え、転がりの違いを体で覚える（例：9番→PW→GW）。

コースマネジメントとメンタル

チップアンドランはリスク管理の武器です。ピンに無理に寄せにいかない判断がスコアを守ります。落としどころと想定されるラン量をはっきり決め、成功確率を優先してクラブ選択すること。プレッシャーがかかる状況では、普段通りの振り幅でルーティンを崩さないことが重要です。

まとめ・実戦での活用法

チップアンドランはシンプルに見えて奥が深いショットです。基本を守り、落としどころを明確にし、クラブごとのラン量を体で覚えること。練習ドリルを繰り返すことで、コースでの選択肢が広がり、グリーン周りでのスコアメイクにつながります。硬いグリーンや風の強い日、リンクスでのラウンドでは特に有効な技術なので、ぜひ日頃から練習して実戦で使ってください。

参考文献

カテゴリー
ゴルフ
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