Shureの音作りと歴史:マイクからワイヤレス、プロ現場で選ばれる理由を徹底解説
はじめに:Shureとは何か
Shure(シュア)は、1925年にアメリカ・シカゴで創業された音響機器メーカーであり、プロフェッショナル向けのマイクロフォンやワイヤレスシステム、ヘッドホン、インイヤーモニター、会議用マイクロフォンなど幅広い製品群を持つブランドです。創業以来、ライブ、放送、レコーディング、インストール市場において長年にわたり信頼を獲得してきました。現在本社はイリノイ州にあり、堅牢性と音質で多くの現場でスタンダードとして採用されています。
歴史とブランドの背景
Shureは設立以来、エレクトロニクスと音声技術の研究を重ねてきました。初期は無線機器や受信機のパーツからスタートし、その後マイクロフォンの開発に力を入れるようになりました。特に一体構造のダイナミックカートリッジや指向性設計などの技術は、プロ用マイクの基礎を築き、以降のSMシリーズやBetaシリーズなどの名機へとつながっていきます。現代では従来の有線マイクに加え、ワイヤレスデジタル伝送、ネットワークオーディオ、会議用アレイマイクなど、時代の要請に合わせた製品ラインアップを展開しています。
代表的な製品とその特徴
Shureを語る上で外せない代表機種には以下のようなものがあります。
- SM57 / SM58(SMシリーズ):業界標準とされるダイナミックマイク。耐久性に優れ、ライブや楽器録音、スピーチなど幅広い用途で使われます。SM58はボーカル用に定評があり、SM57は楽器やアンプマイキングで多用されます。
- SM7B:放送・ボーカル用に人気の高いダイナミックマイク。音の包容力とノイズ耐性があり、ポッドキャストやボーカル録音で広く採用されています。
- Betaシリーズ:SMシリーズよりも高出力・高解像の設計で、ライブやスタジオでの精度の高い収音を求める現場で選ばれます。各モデルは用途に応じたカプセル設計がなされています。
- SEシリーズ(インイヤーモニター):プロミュージシャンやオーディオファン向けのイヤホンで、遮音性とモニタリング用途で高評価を得ています。
- ワイヤレスシステム(Axientなど):高密度化の会場や放送現場に対応するデジタルワイヤレスソリューション。安定した伝送、周波数管理、低遅延が求められる場面で導入されています。
- 会議・インストール向け製品(Microflexシリーズ、MXAアレイ):ネットワークオーディオやビデオ会議向けに最適化されたマイクアレイやエコーキャンセレーション機能を備えた製品群。
技術的な強みと設計思想
Shureの製品が長く支持される理由の一つは、音響機器としての「堅牢性」と「再現性」にあります。ライブ現場やツアーでの過酷な使用に耐える筐体設計、コンシステントな指向性と周波数特性、そして信頼できる接続・電源管理など、運用面での使いやすさが重視されています。また、カプセルやグリル、ショックマウントの設計など、音の捉え方に関わる物理的な要素にも注力しており、これが現場での安定した音作りにつながっています。
現場別の活用例
Shure製品は用途によって最適な選択が変わります。以下は典型的な利用シーンと推奨例です。
- ライブ(ボーカル):SM58やBeta58Aなど、ハンドリングノイズに強くフィードバック耐性のあるモデルが定番。
- ギターアンプやスネア:SM57が長年の定番。小型のダイナミック特性で高音圧に強く、スナップ感を捉えます。
- スタジオボーカル・配信:SM7Bのようなフラットで温かみのある特性は、ポッドキャストやボーカル録音に向きます。ファントム電源を必要とするコンデンサーとは異なるメリットがあります。
- 会議室・ハイブリッド会議:MicroflexやMXAのようなアレイマイクを使うことで、会議参加者全員の音声をクリアに集音し、ネットワーク経由の配信や録音と連携できます。
- ツアーや放送:Axientなどのプロ用ワイヤレスは、周波数管理機能や信号の優先制御が可能で、大規模イベントでの安定運用を支えます。
選び方のポイント(マイク編)
用途に適したShureマイクを選ぶ際の基本的なチェックポイントは次のとおりです。
- 用途(ボーカル、楽器、放送など)を明確にする
- 指向性(単一指向性、双指向性、無指向など)を用途に合わせる
- 周波数特性と音のキャラクターを確認する(高域のエッジ、低域の温かみなど)
- ダイナミックかコンデンサーかを判断する(ダイナミックは高音圧耐性、コンデンサーは解像度が高い)
- 現場での耐久性、取り回し(ケーブル、マウント、グリル保護)も重要
メンテナンスと運用のコツ
プロ現場でShure製品を長持ちさせるためのポイントはシンプルです。マイクグリルやカプセル周辺は定期的に清掃し、水分や唾液の影響を避ける。ワイヤレス機器はバッテリーメンテナンスを適切に行い、電波環境のチェックを怠らない。ケーブルやコネクタは接触不良が起きやすいので定期点検を行い、保管時は直射日光や高温多湿を避けることが推奨されます。
Shure製品が選ばれる理由—信頼性と音の普遍性
Shureが多くの現場で採用される理由は、単なるブランド力だけではありません。現場での再現性、堅牢性、そして「どんな環境でも使える」汎用性が根底にあります。音質も大切ですが、ツアーや放送のように再現性と信頼が何よりも求められる場面では、Shureの設計思想が大きなアドバンテージになります。
今後の展望:デジタル化とネットワーク化
近年のトレンドとして、オーディオのデジタル化とネットワーク化が進んでいます。Shureもワイヤレスのデジタル伝送、ネットワークオーディオ(Danteなどとの連携)、会議システム向けの音声処理技術を強化しており、リモート会議や配信、ハイブリッドイベントの需要に対応する製品を提供しています。過去のアナログ時代の信頼性を保ちながら、新しいワークフローに適応することが今後の鍵です。
まとめ:用途に応じた最適な選択を
Shureは長年にわたる実績と技術蓄積により、ライブ、レコーディング、放送、会議といった多様な用途で信頼されているブランドです。機種選定では用途と設置環境をよく見極め、指向性やカプセル特性、運用のしやすさを基準に選ぶと良いでしょう。信頼性の高さから、多くの音響エンジニアやミュージシャンが長年にわたりShure製品を使用し続けています。
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参考文献
- Shure - Company History
- Shure - SM58 製品ページ
- Shure - SM7B 製品ページ
- Shure - Axient ワイヤレス
- Shure - MXA / Microflex シリーズ
- Shure - SE Series インイヤーモニター
- Wikipedia - Shure


