レコードプレスの真髄──日本盤と海外盤の見分け方徹底ガイド
はじめに
本稿では、アナログレコードの製造工程(プレス)について詳しく解説するとともに、日本国内でプレスされた「日本盤」と海外でプレスされた「海外盤」の外観・盤面・刻印・付属品などの特徴を具体的に比較し、初心者でも視覚的・触覚的に判別できるポイントを紹介します。
レコードプレス工程の基礎知識
レコード・アナログ盤は、塩化ビニールを主材とする樹脂を、音溝が刻まれた金型(スタンパー)の上下に挟み、熱と圧力で成型する製造工程を指します。プレス前にはまず、ダイヤモンドやサファイアの針でラッカー盤に音溝を刻む「カッティング」を行い、そこから金属メタルマスターやスタンパーを作成します。プレス機には約130~150℃に加熱されたビニールパテをセットし、100トン前後の圧力で一瞬にして盤を成型した後、トリミングや冷却で余分なビニライトを除去します。ジャケット印刷やレーベル貼り付けはプレス前に行われ、仕上がった盤がプレス機から出ると同時にパッケージング工程へと移ります。
日本盤プレスの特徴
- 帯と日本語表記
日本国内でプレスされた「国内盤」は、ジャケットに日本語タイトルや解説が印刷された帯が付属します。 - 帯のバリエーション
帯は1950年代から日本独自の販売促進ツールとして用いられ、被せ帯・半欠け帯・インサート帯など複数の種類があります。 - ジャケットの紙質
70~90年代の日本盤ジャケットは硬質で光沢のある厚紙が用いられ、手触りが滑らかでしっかりとした造りを特徴とします。 - 付属品の充実
日本盤には日本限定ボーナストラックや歌詞カード、詳細な解説ブックレットなどが含まれることが多いです。 - 注意点
直輸入盤や装飾的に帯を模した海外盤も存在するため、帯だけで判断せず他の要素も併せて確認が必要です。
海外盤プレスの特徴
- オリジナルジャケットの使用
海外でプレスされた「輸入盤」には基本的に日本語の帯や解説書が付かず、オリジナルの英語表記のジャケットがそのまま使われます。 - ジャケットの形状・紙質
60年代までは折り返しがあるフリップバックカバーが主流で、70~80年代のヨーロッパ盤は薄手の紙にラミネート加工されることが多いです。 - 北米盤の変遷
北米盤は70年代までは厚紙ジャケットが多くザラつきを感じる一方、80年代以降は薄手の紙質へと移行しています。 - シンプルな付属
歌詞カードやブックレットなどの付属品は省略されるケースが多く、価格は比較的抑えられる傾向にあります。
盤面と刻印での見分けポイント
- デッドワックス刻印
盤のデッドワックス部(内周部分)に刻まれる「MASTERDISK」「RL」「SLM」といった刻印やマトリクス番号はプレス世代やマスタリングエンジニアを示す重要な手がかりです。 - 耳マーク(Ear mark)
ブルーノートなど一部ジャズレーベルでは、Plastylite社製プレス特有の「耳マーク」がオリジナル盤の証として知られています。 - 製造国表記
ジャケット裏面や背表紙、ラベル周縁部に「Printed in U.K.」「Printed in U.S.A.」「Made in West Germany」などの記載がある場合があります。 - オンライン照合
刻印やカタログ番号をDiscogsで照合し、正確なプレス情報を確認する方法が有効です。
見分けるためのチェックリスト
- 帯の有無と表記:日本盤は日本語帯、海外盤はオリジナル英語帯のみ。
- ジャケットの紙質・ラミネート:日本盤は硬質厚紙、欧州盤は薄手でラミネート。
- 付属品の有無:国内盤は歌詞カード・ブックレットなど豊富、輸入盤はシンプル。
- デッドワックス刻印:「MASTERDISK」「RL」「SLM」+マトリクス番号が揃うか。
- 製造国表記:裏面・背表紙・ラベルでの確認。
まとめ
レコードプレス工程を理解し、日本盤と海外盤それぞれの特色を押さえることで、コレクションの価値や音質を左右する「プレス国」を的確に見分けられるようになります。まずは帯やジャケット、刻印の有無をチェックし、慣れてきたら刻印番号の照合やジャケットの質感でさらに深掘りしてみてください。
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