ソノシートの歴史と魅力〜薄型レコードの全貌〜

本記事では、ソノシート(英語: Flexi disc)が1958年にフランスで塩化ビニール製の極薄録音盤として誕生し、その後世界中に普及していった経緯と技術的特徴、そして日本における発展と現在の再評価までを詳しく解説します。
ソノシートは雑誌や書籍の付録として提供できるほど薄く軽量であり、高周波再生の限界や耐久性の課題も抱えていましたが、そのコストメリットとメディアミックス展開の柔軟性によって独自の文化的地位を築きました。
CD普及とともに製造はほぼ終了したものの、未発表音源や色彩豊かな盤面デザインなどの魅力から、現在もコレクターズアイテムとして高い価値を保っています。

概要

ソノシートは塩化ビニールを主成分とする薄型の録音盤で、通常のターンテーブルで再生可能です。一般的な厚さは約0.2mm程度で、ポリエチレンやポリプロピレンなどの柔軟性に富むプラスチック素材が用いられます。
英語圏では「Flexi disc(フレキシディスク)」や「Phonosheet」「Soundsheet」とも呼ばれ、JIS規格では「フォノシート」と表記されました。

誕生と世界的普及

1958年、フランスのSAIP社(後のSonopresse)が塩化ビニール製の薄型録音盤を開発し、出版社Hachetteとの合弁会社を通じて『Sonorama』誌の付録として刊行したことがソノシートの始まりです。
1962年にはアメリカで「Eva-tone Soundsheet」として発売され、イギリスでは「Flexi disc」の名称で雑誌やプロモーション媒体に広く利用されました。

日本における展開

日本では1959年11月にコダマプレスが『歌う雑誌KODAMA』で初導入し、同年12月には朝日新聞社系列の朝日ソノプレス(現・朝日ソノラマ)が『月刊 朝日ソノラマ』を刊行。
1960年代から1973年まで「音の出る雑誌」として定期的にソノシートを付録に展開し、子供向け絵本やマンガ、アイドル雑誌、教育教材など、幅広いジャンルで活用されました。

製造技術と材質

ソノシートは着色した塩化ビニールフィルムをロール状に巻き、カッティングプレスで溝を刻む方式で製造されました。薄さ約0.2mmという設計により製造コストや輸送コストを大幅に抑えられ、雑誌への封入や郵送にも適した軽量化を実現します。日本国内では黒以外に赤や青のカラー盤も登場し、ビジュアル面での楽しみも提供しました。

再生と音質

再生時には通常のレコードよりも軽い針圧が推奨され、高周波域の再生は苦手でノイズが混入しやすい特性があります。また、薄いフィルム状のため折れ曲げやすく、溝の劣化が生じやすく、耐久性には限界がありました。

利用用途の多様性

ソノシートには音楽だけでなく、落語やニュース音声、英語教材、企業プロモーション、アニメ・特撮番組の主題歌や音声ドラマなど、多彩なコンテンツが収録されました。特に朝日ソノラマの『まんがソノシート』シリーズでは人気テレビまんがの主題歌やオリジナルドラマが収録され、当時のメディアミックス展開を先駆けました。

終焉と再評価

1980年代後半からCDが普及し始めるとソノシートの需要は急速に減少し、2000年代初頭に国内生産は終了。しかし近年、未発表音源や当時のダイレクトカット技術を用いたオリジナル録音が多数含まれることから、音楽史資料として再評価され、コレクター市場では高額取引例が増えています。

コレクションとしての魅力

現存数が限られるうえ、当時の印刷物やパッケージとセットで良好な状態のまま残った個体は希少価値が高く、オークションや専門店では数千円~数万円で取引されることもあります。近年は現代アーティストによる復刻ソノシートや新規プレスサービスも登場し、その魅力は再び注目を集めています。

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