レコード盤を守るための完全ガイド:ヘアラインの原因・影響・予防・メンテナンス

本コラムでは、レコード盤に発生する「ヘアライン」について、その定義や形成メカニズム、音質への影響、具体的な予防策、そしてメンテナンス方法までを網羅的に解説します。
ヘアラインは表面に髪の毛のように細かい傷がついた状態であり、主に紙製インナースリーブとの摩擦や、摩耗したレコード針による溝の削れが要因です。
浅い傷自体は再生ノイズを大きく悪化させにくいものの、傷周辺にチリやホコリが溜まることでチリノイズやプチノイズの原因となり得ます。また、静電気によるチリ吸着も見逃せません。
これらを防ぐには、HDPE/PP製の静電気防止インナースリーブや、耐摩耗性に優れたグラシン紙製スリーブの使用、さらには直射日光や高温多湿を避けて垂直に保管することが有効です。定期的な専用クリーニングや、深い傷には修復専門業者への依頼による研磨修復も検討しましょう。


ヘアラインとは

レコード盤に付着した、まるで薄い髪(ヘア)を連想させるような細かく浅い傷のことをいいます。これらの傷は、主に盤面と紙製インナースリーブとの摩擦で生じるもので、単独では再生時の大きなノイズを生むことは少ないとされています。


形成メカニズム

インナースリーブとの摩擦

紙製のインナースリーブやジャケット内袋との出し入れの際、盤面と擦れ合うことで極めて浅い線傷が刻まれます。特に粗悪な紙製スリーブの場合、その摩耗性が高まり、ヘアラインの発生リスクが増大します。

摩耗したレコード針の影響

レコード針は使用により徐々に摩耗し、針先の形状が崩れると、音溝自体が削られて傷が生じる恐れがあります。この状況で再生を続けると、ヘアラインがさらに深刻化しやすくなります。


ヘアラインの影響

チリノイズ・プチノイズの原因

浅いヘアライン自体は大きなノイズを引き起こしにくいものの、傷に沿って微細なチリやホコリが溜まることで、「チリチリ」というチリノイズや「プチッ」というプチノイズが発生する場合があります。

静電気によるチリ吸着

インナースリーブから取り出す際の剥離帯電などにより、盤面に静電気が帯びると、空気中のチリやホコリを引き寄せやすくなります。これが結果的にヘアラインまわりのチリ除去を困難にし、ノイズ増悪を招きます。


予防・対策方法

高機能インナースリーブの選択

  • HDPE/PP製静電気防止インナー
    高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)素材を用いた丸底スリーブは、静電気を抑制するとともに摩擦抵抗が低く、ヘアラインの発生を抑えます。
  • グラシン紙製インナースリーブ
    防湿・防油・防カビ・耐摩耗性に優れたグラシン紙は、紙製スリーブの中でも最も摩耗が少なく、長期保管に適した素材です。

適切な保管環境の確保

  • 直射日光・高温多湿を避ける
    レコードは塩化ビニル製のため、30℃を超えるような高温や湿度の高い環境では変形やカビのリスクが高まります。直射日光や暖房器具の近くを避けて保管しましょう。
  • 垂直に立てて保管する
    長時間の斜め立て掛けや平積みはレコードに不要なストレスを与え、歪みの原因となります。専用ラックやブックスタンドで垂直保管を徹底しましょう。

メンテナンス・修復

日常的なクリーニング

  • 乾式ブラシ/湿式クリーナー
    専用ブラシや専用クリーナーを用い、再生前後に軽く埃を落とすことで、摩耗を抑制しヘアラインの進行を防ぎます。

軽度のヘアライン応急処置

  • つまようじとルーペ
    浅い傷なら、つまようじで溝を軽くなぞることで針の引っ掛かりを抑え、プチノイズを軽減できる場合があります。

深い傷は専門業者へ

  • 修復専門業者による研磨修復
    深いヘアラインや広範囲のキズは、自力での対応が難しく、専門機材と技術を持つ修復業者への依頼が推奨されます。

まとめ

ヘアラインは一度付くと完全に消すことが難しく、チリノイズやプチノイズを招きやすいため、日頃からの予防策と適切な保管・クリーニングが最も重要です。HDPE/PP製やグラシン紙製のインナースリーブ導入、静電気対策、直射日光・高温多湿の回避、垂直保管、定期的な専用クリーニングを徹底し、大切なコレクションを長く良好な状態で楽しみましょう。深刻な傷には専門業者による研磨修復も検討してください。

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