キング・クリムゾンが切り拓いたプログレッシブ・ロックの革新
本稿では、1968年に結成され、1969年にデビューアルバム『In the Court of the Crimson King』を発表したキング・クリムゾンの代表曲5曲を、バンドの成り立ちから楽曲ごとの背景、音楽的特徴、リリース時の反響に至るまで詳しく解説します。以下では「21st Century Schizoid Man」「In the Court of the Crimson King」「Epitaph」「I Talk to the Wind」「Starless」の各楽曲が、いかにプログレッシブ・ロックに革新をもたらしたのかを探ります。
バンド結成とプログレッシブ・ロックの先駆性
キング・クリムゾンは1968年にイングランドで結成され、1969年10月にデビューアルバム『In the Court of the Crimson King』をリリースしました。ロック、ジャズ、クラシック、さらにはガムランやヘヴィ・メタル的要素まで取り込んだサウンドは、それまでのロックの枠を超える衝撃を与え、プログレッシブ・ロックの礎を築きました。
代表曲詳細解説
21st Century Schizoid Man
アルバムの冒頭を飾る7分半の大作で、ロバート・フリップの攻撃的なギターとイアン・マクドナルドのサックスが交錯する激烈なサウンドが特徴です。歌詞はピーター・シンフィールドが手掛け、ベトナム戦争の悲惨さや現代社会への警鐘を断片的なイメージで描き出しています。当時Rolling Stone誌は、本曲をプログレッシブ・ロックとヘヴィ・メタルの原型を示す宣言的作品と評しました。
In the Court of the Crimson King
アルバムのタイトル曲にして、サイドBのラストを飾る約9分の大作です。冒頭のメロトロンの幻想的な響きから、バロック風のフルートやハープシコードの牧歌的パートへと移行し、「赤き王」を巡る寓話的な世界観を構築。シングル・カットもされ、Billboard Hot 100で彼ら唯一のチャート・インを果たすなど、バンドの知名度向上に大きく寄与しました。
Epitaph
デビューアルバム収録の叙情的バラードで、重厚なメロトロンとダークな歌詞が印象的です。作者たちが冷戦下の不安や人間存在のもろさを詩的に表現しており、AllMusicではプログレッシブ・ロックの叙情性を極めた一曲と評されています。
I Talk to the Wind
同アルバムの2曲目にあたるフォーキーな小品です。Giles, Giles and Fripp時代の曲を再構築したもので、イアン・マクドナルドのフルートが風のような浮遊感を生み出します。歌詞は「風と対話する」というメタファーを通じて内省的な対話の切なさを描き、バンドの多面性を示す一曲です。
Starless
1974年リリースのアルバム『Red』最終トラックで、約12分にわたる組曲形式の大作です。抑制されたベース・リフが静かに始まり、中盤のボーカル・パートを経て、後半は激烈なインストゥルメンタルへと劇的に展開。友情の喪失や孤独感をテーマにした歌詞とともに、2018年の映画『Mandy』でも冒頭に使用され、再評価が高まりました。
おわりに
以上、キング・クリムゾンの代表5曲を通じて、バンドがプログレッシブ・ロックにもたらした革新性と深い世界観をご紹介しました。各楽曲は異なる魅力を持ちながらも互いに補完し合い、今なお多数のリスナーやミュージシャンに影響を与え続けています。ぜひ改めてこれらの名曲を聴き直し、その先進性と詩的世界に浸ってみてください。
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