線形探索とは?仕組み・メリット・使いどころを初心者にもわかりやすく解説【基本アルゴリズム】
検索アルゴリズムの中で最も単純で理解しやすいのが 線形探索(Linear Search) です。
配列やリストのデータを「最初から順番に」探していく方法で、プログラミング初心者が必ず最初に学ぶ基本的な探索手法です。
この記事では、線形探索とは何か、どうやって動くのか、どんな場面で使われるのかをわかりやすく解説します。
◆ 線形探索とは?
線形探索とは、
データを先頭から順番にチェックして、目的の値を探すアルゴリズム
のことです。
イメージ:
本棚にある本を左から順番に1冊ずつ確認して、探している本を見つける方法に似ています。
◆ 線形探索の仕組み
線形探索の動作は非常にシンプルです。
- リストの先頭から1つずつ要素を確認
- 探している値と一致したら終了
- 最後まで見つからなければ「存在しない」と判断
例(探したい数字:5)
[2, 8, 5, 7]
↑
2 → 違う
8 → 違う
5 → 一致!(ここで終了)
どんなデータでも「順番に探すだけ」なので初心者でも理解しやすい探索方法です。
◆ 線形探索の計算量(時間の目安)
線形探索の計算量は O(n) です。
- 最悪の場合:リストの最後まで探す
- 平均:データの半分を見る
- 良い場合:先頭で見つかる
データ量が増えると探索時間も直線的に増えるため、大規模データの検索には向いていません。
◆ 線形探索のメリット
● 1. 実装が簡単
ループを使うだけで書けるので、初心者に最適。
● 2. ソート(並び替え)が不要
データが並んでいる/並んでいないに関係なく使える。
● 3. どんなデータ構造でも使える
配列、リスト、文字列…など。
● 4. データが少量なら十分高速
小規模データではアルゴリズムの複雑さよりもシンプルさが重要。
◆ 線形探索のデメリット
● 1. 大量データだと遅い
要素を1つずつ確認するため、データ量が増えるほど非効率。
● 2. 毎回最初から探索
キャッシュの利用など高度な最適化がしにくい。
◆ 線形探索はどんな場面で使われる?
- 小規模なリストの検索
- めったに検索しないデータ構造
- データが未ソート(並んでいない)
- シンプルな処理で十分な場合
- 学習用アルゴリズムとしての利用
特に「データが少ない」「実装を簡単にしたい」という場合に便利です。
◆ 他の検索アルゴリズムとの比較
| アルゴリズム | 計算量 | 必要条件 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 線形探索 | O(n) | なし | 最も単純、遅いが柔軟 |
| 二分探索 | O(log n) | データがソート済み | 高速 |
| ハッシュ探索 | O(1) | ハッシュ化可能 | 高速だがメモリ消費あり |
線形探索は 「何も条件がないときに使える」万能な基本手法 と言えます。
◆ 線形探索のコード例(イメージ)
Python例
def linear_search(lst, target):
for i, value in enumerate(lst):
if value == target:
return i
return -1
◆ まとめ:線形探索は最も基本で汎用的な探索アルゴリズム
線形探索は、
- データを先頭から順番に探す
- 実装が簡単で、データ構造を選ばない
- 小規模データなら十分高速
- ただし大量データには不向き
という特徴を持ち、プログラミング学習や実務の両方で基礎になるアルゴリズムです。


