LIFOとは?仕組み・使われる場面・データ構造との関係を初心者にもわかりやすく解説【スタック動作の基礎】

データの扱い方を理解するうえで重要な概念に LIFO(Last In, First Out) があります。
これは「最後に入ったものが最初に取り出される」という動作方式で、プログラミング、OS、アプリケーション内部など幅広く利用されています。

この記事では、LIFOとは何か、その仕組み、使われる場面、関連するデータ構造まで初心者にもわかりやすく解説します。


◆ LIFOとは?

LIFO(Last In, First Out)とは、
“最後に入れたデータが最初に取り出される” というデータ管理方式のことです。

例えるなら、
積み重ねた皿を上から取っていく動作 がLIFOです。


◆ LIFOを実現する代表的なデータ構造:スタック(Stack)

LIFOの動作をそのまま表すデータ構造が スタック(Stack) です。

● スタックで行われる2つの基本操作

  • push:データを積む
  • pop:データを取り出す(最後のデータから)

図にすると、まさに“積み上がる箱”のようなイメージになります。


◆ LIFOの仕組み(イメージ)

データの流れ:

push → A
push → B
push → C

pop → C(最初に出る)
pop → B
pop → A(最後に出る)

このように、「逆順で取り出される」ことが特徴です。


◆ LIFOが使われる主な場面

● 1. プログラミング言語の関数呼び出し(コールスタック)

関数A → 関数B → 関数C
と呼び出された場合、
戻る順序は C → B → A の逆順になります。

これはまさに LIFO動作です。


● 2. Undo(元に戻す)機能

テキストエディタや画像編集ソフトの「Ctrl + Z」もLIFO。
最後に行った操作から順に元に戻ります。


● 3. 深さ優先探索(DFS)

DFSは「最後に訪れたノードから探索を続ける」ため、
内部ではスタック(LIFO)が利用されます。


● 4. 式の評価(計算処理)

数学式をプログラムで処理する際、
値や演算子をスタックに積みながら処理します。


● 5. ブラウザの履歴

Webページを移動した際の「戻る」もLIFO。
最後に開いたページから戻ります。


◆ LIFOのメリット

● 1. 実装がシンプル

push と pop の2つの操作が中心。

● 2. 高速

操作がO(1)で行えるのが一般的。

● 3. 再帰処理に相性がいい

処理の流れを記録するのに適している。


◆ LIFOのデメリット

  • 真ん中のデータにアクセスしにくい
  • データを順番にしか取り出せない
  • ランダムアクセスには向かない

大量データを並列処理するような場合には不向きですが、
「最後に積んだものを優先して取り出す」という用途には最適です。


◆ LIFOとFIFOの違い

種類動作実例データ構造
LIFO最後に入れたものが最初に出る皿のスタック、Undoスタック
FIFO最初に入れたものが最初に出る行列の順番、メッセージキューキュー

◆ まとめ:LIFOはシンプルで強力なデータ管理方式

LIFOは、

  • 最後に入れたデータが最初に取り出される
  • スタックで実現される
  • コールスタック・Undo機能・ブラウザ履歴など多くの場面で使用
  • シンプルで高速な仕組み

という特徴を持つ、データ処理やプログラム内部で非常に重要な概念です。