ザ・デイヴ・クラーク・ファイヴ(DC5)レコード徹底ガイド:代表曲のオリジナル盤と見分け方・価値評価
はじめに — レコード時代のザ・デイヴ・クラーク・ファイヴ
ザ・デイヴ・クラーク・ファイヴ(The Dave Clark Five、以下 DC5)は1960年代のブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するバンドのひとつで、デイヴ・クラーク(ドラム、バンドの実質的なリーダー兼マネージャー)とボーカルのマイク・スミスを中心に活動しました。彼らの音楽はビートとサックスの組合せ、力強いスネア・ドラムのアクセント、ポップで覚えやすいメロディが特徴で、当時の7インチ・シングル(45回転)を通じて爆発的に普及しました。
本コラムでは「代表曲」を軸に、レコード(アナログ盤)に関する情報を優先して詳しく解説します。オリジナル盤の見分け方、プレスやレーベルの違い、コレクター視点での価値評価など、レコード収集に役立つ実務的な情報も盛り込みます。
代表曲の概観 — レコードで聴く意義
DC5の代表曲は、当時の7インチ・シングルとしてリリースされ、ラジオとダンスホールで大量に再生されることで支持を広げました。アナログ・シングルは楽曲の“初出”としての価値が高く、モノラル・ミックスやプロモ盤(ラジオ配布用)の存在、さらには国ごとのラベル違い(英国盤と米国盤)などがコレクターにとって重要なチェックポイントになります。
主要曲の紹介(レコード中心の視点)
- Glad All Over(1963) — DC5を象徴する楽曲。英国でシングル・チャート1位を獲得し(1964年初頭)、ビート感あふれる手拍子とスネアの強いアタックが印象的です。原盤の7インチ(Columbia/EMIの英国盤)はコレクションの中心となります。アメリカではEpicレーベルからリリースされ、ブリティッシュ・インヴェイジョンの代表曲として米英両国で親しまれました。
- Bits and Pieces(1964) — リズムの断片化(staccato)のギター・カッティングと掛け声が特徴。英米ともにチャート・ヒットとなり、オリジナルの7インチ盤はモノラル・ミックスやプロモ仕様を探すコレクターが多い曲です。
- Over and Over(1965) — もともと1950年代のR&B曲をカバーしたナンバーで、DC5流のロック・ポップに昇華しました。米国市場でも上位にランクインした実績があり、Epicの米国盤7インチはその時代の典型的なプレスを確認できる資料的価値があります。
- Come HomeやBecauseなどのシングル — アルバム曲とは別に、A面/B面で個性を発揮したシングルが多数あり、B面に隠れた名曲やヨーロッパのみでの仕様違いがコレクターの注目を集めます。
各曲のレコード的ディテール
以下では代表曲ごとに、レコードとして注目すべき点を掘り下げます。
Glad All Over(グラッド・オール・オーヴァー)
・リリース:1963年(英国シングル)/ラジオとTV露出により1964年に英国で大ヒット。
・レーベル:英国盤はColumbia(EMI系)、米国盤はEpicで流通。
・レコード的注目点:オリジナル英国盤7インチの初期プレスはラベル表記や刻印(runout/matrix)に差異があり、モノラル・ミックスと後年のステレオ・ミックスの違いを持つ盤があります。プロモ(プロモーショナル)盤はラベルに「For Promotion Only」などの記載があり、コレクター価値が高めです。曲自体はバンドの“アンセム”的存在で、ダンスフロアでの反応を意識したミックスが特徴です。
Bits and Pieces(ビッツ・アンド・ピースィズ)
・音の特長:ギターとボーカルの刻みが曲骨格で、スネアのカッティングが楽曲の推進力に直結しています。
・盤的特徴:英国盤の初回プレスは一般にラベルのセンターハブ形状、色味、印字の細部が後年盤と異なります。米国盤のEpicはジャケットが簡素な場合が多く、オリジナルのスリーヴ(帯や紙ジャケットの有無)が価格に影響します。
Over and Over(オーヴァー・アンド・オーヴァー)
・カバー曲としての位置づけ:Bobby Dayなどが先に録音していた楽曲をポップ・ロック寄りにアレンジ。DC5は自らの音像に落とし込むことで米国市場にも強い訴求力を持たせました。
・レコード的注目:米国でのシングル盤はEpic表記を確認。特に初期プレスのA面/モノラル・ミックスの状態は、コレクター市場で注目されるポイントです。
レコードの種類と見分け方(英国盤 vs 米国盤)
DC5のレコード収集において、英国盤(Columbia/EMI系)と米国盤(Epic/CBS系)の違いは非常に重要です。一般的な見分け方のポイントは以下の通りです。
- ラベルのデザインと表記:各国のレーベルごとにロゴ、フォント、カタログ番号の表記法が異なります。
- モノラルとステレオの区分:初期のシングルはモノラル・ミックスが基本。後年にステレオ化された再発盤と音像が大きく異なるため、モノラル盤の方がオリジナル性が高い場合が多いです。
- プロモ盤の有無:放送局向けのプロモ盤は一般盤より希少で高値になることが多いです。ラベルに“Promotional”や“Not For Sale”の明記があるかチェック。
- ジャケット/スリーヴ:米国盤はスリーヴが簡素なことが多く、英国盤は時にフォトスリーヴや特殊印刷が施される例があります。オリジナル・スリーヴの有無で価格が変動します。
盤質(コンディション)と価値判断
アナログ盤の価値は、音質だけでなく以下の要素で大きく左右されます。
- 盤面(レコード)のキズやスクラッチの有無。プレイに支障をきたす深いキズは価値を大きく下げます。
- ラベルの状態(汚れ、書込、剥がれ)。
- スリーヴやジャケットの保存状態(切り取り、折れ、色褪せ)。
- プレスの希少性(初回プレスや国際的に少数しか出回らなかった仕様)。
DC5はブリティッシュ・インヴェイジョンの代表格として人気が高く、特に英国初回プレスのモノラル盤や、米国のプロモ盤などは市場で高めに評価される傾向があります。
見逃しがちなディテール:B面とセルフ・クレジット
レコード収集ではA面(ヒット曲)に注目しがちですが、DC5のB面には隠れた佳曲や、その時代のバンドの実験的トラックが収録されていることが多く、コレクターはB面の作曲者表記や演奏クレジットを重視します。また、デイヴ・クラークはバンドの制作と権利管理に強く関与しており、多くの曲はデイヴ・クラークとマイク・スミスの共同クレジットで出されている点もレコード・ラベルで確認できます。
再発と権利関係(レコード収集における注意点)
デイヴ・クラークは長年にわたり音源の権利管理に慎重で、オリジナル・マスターの管理やデジタル配信への対応は限定的でした。このため、廉価な再発盤や編集盤も多く出回っており、オリジナル・オリジナルのプレスか再発かを見分けることが重要です。再発盤は音質やラベル表記、プレスの材質で判別可能で、特に近年の再発はオリジナルのモノラル・ミックスを再現していない場合もあるため注意が必要です。
コレクションの実用アドバイス
- 購入前に写真でラベルとrunout(刻印)を必ず確認する。真贋やプレス違いの判別に有効です。
- レコードの洗浄と正しい収納(内袋/外袋、直射日光回避)で価値と音質を維持する。
- 同じタイトルでも国やプレス年によって音質(EQやマスター)に違いがあるため、できれば試聴して購入する。
- プロモ盤や初回プレスは専門の相場情報サイト(Discogsなど)で現在の市場価格をチェックする。
まとめ — レコードで味わうDC5の魅力
ザ・デイヴ・クラーク・ファイヴは、1960年代のポップ/ロック史において「シングル文化」を象徴するバンドの一つです。代表曲はレコードという物理メディアで世に広まり、その時代特有のモノラル・ミックスやプレスの差異、スリーヴの有無などがコレクター的価値を生みました。コレクションを始める際は、まずは「Glad All Over」「Bits and Pieces」「Over and Over」といった主要シングルの英国盤・米国盤の違いを押さえ、モノラルかステレオか、初回プレスか再発かを判別する習慣をつけると良いでしょう。
参考文献
- The Dave Clark Five - Wikipedia
- Glad All Over (The Dave Clark Five song) - Wikipedia
- The Dave Clark Five | AllMusic
- The Dave Clark Five - Discogs
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