ロッド・スチュワートのレコード完全ガイド:初心者におすすめの70年代名盤と収集・保管のコツ
はじめに — ロッド・スチュワートとレコード収集の魅力
ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は1960年代末から現在に至るまで、ロック、フォーク、R&B、ポップを横断する豊かなキャリアを築いてきたシンガーです。ヴォーカルの個性、ストーリーテリング性の高い楽曲群、そしてフェイセス(Faces)やロン・ウッド(Ronnie Wood)らとの濃密な協業は、アナログ盤(レコード)で聴くと当時の空気や演奏の息づかいがより鮮明に伝わります。本コラムでは「レコード」を優先して、コレクションとしておすすめのアルバム、初期盤や再発で注意すべき点、購入・保存の実践的アドバイスまで詳しく解説します。
レコード収集を始める理由
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音の質感:70年代のアナログ録音は温かみがあり、ヴォーカルの表情や楽器の距離感が自然に感じられます。
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アートワーク:ジャケットの大きさや歌詞、クレジット類を手に取って楽しめるのはレコードならでは。
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コレクタブル性:初回プレス、プロモ盤、カッティングの違いなど、物理的な情報に価値がつく楽しさがあります。
おすすめレコード(厳選)
1. An Old Raincoat Won't Ever Let You Down (1969)
ロッド・スチュワートのソロ・デビュー盤(英国タイトル)。代表曲「Handbags and Gladrags」を収録し、ソングライティングと歌唱の力を印象づけた一枚です。フェイセス結成前後の演奏者が参加しており、初期ソロ作の素朴さとブルージーな色合いが魅力。
レコード収集ポイント:初回オリジナル・プレスは英国盤と米国盤でジャケット仕様やレーベルが異なる場合があります。シングル曲「Handbags and Gladrags」の7インチもコレクション対象です。
2. Gasoline Alley (1970)
より落ち着いたフォーク/ブルース寄りの作風が目立つ2作目。タイトル曲やアコースティックな演奏が好きなコレクターにおすすめ。ロン・ウッドらとの結びつきが強く、フェイセス期の流れが感じられます。
レコード収集ポイント:マトリクス(ランアウト)を確認し、オリジナル盤の状態を重視しましょう。英国盤のオリジナルジャケットは折り目や見返しの有無で版が分かれることがあります。
3. Every Picture Tells a Story (1971)
ロッド・スチュワートのブレイク作。大ヒット曲「Maggie May」を含み、商業的にも批評的にも成功したアルバムです。アコースティックとロックが混然一体となったサウンドはレコードで聴くとさらに魅力的に感じられます。
レコード収集ポイント:このアルバムは多くの再発が出ています。初回プレスは音像が自然で、マスターやカッティングの違いが音質に影響します。オリジナル・ラベル(国ごとのレーベル)やマトリクス刻印を確認して初回盤を見極めるとよいでしょう。
4. Never a Dull Moment (1972)
「You Wear It Well」などのシングルを擁するアルバム。ポップでキャッチーな曲もありつつ、アコースティックな魅力も残したバランスの良い一枚です。
レコード収集ポイント:シングル盤のオリジナルはプロモ盤や色違いジャケットなどバリエーションがあり、コレクターズ・アイテムになりやすいです。
5. Atlantic Crossing (1975)
ロッドが米国に拠点を移した時期の作品で、ヒット曲「Sailing」などを含みます。プロダクションの質が上がり、ストリングスやアレンジが豊富になったことが特徴です。
レコード収集ポイント:移籍や制作陣の違いから、欧米で仕様が異なることがあります。オリジナル・プレスは落ち着いたアナログ・サウンドが楽しめます。
6. Blondes Have More Fun (1978)
ディスコ/ポップ色が強まった時期の代表作で、「Da Ya Think I'm Sexy?」が大ヒット。70年代末のサウンドが色濃く反映されたアルバムです。
レコード収集ポイント:商業的な成功を受けて多くのプレスが出回ったため、オリジナル・ステレオ盤、プロモ盤、輸入盤などのバリエーションを探す楽しみがあります。
7インチ・シングルの魅力
70年代のシングルはA面・B面の組み合わせでしか聴けない曲や、シングル編集(エディット)が存在することがあります。特に「Maggie May」「You Wear It Well」「Da Ya Think I'm Sexy?」などの7インチ・プロモ盤やエディット盤はコレクター人気が高いです。盤質やラベル表記、プレス国をチェックしましょう。
レコードを選ぶときのチェック項目(実践)
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ジャケット状態:リングウェアや角の損傷、背表紙の割れを確認。オリジナルのインナースリーヴが残っているかも重要。
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盤質:スクラッチやチリノイズ、ウォーミングや歪みがないか。再生前に目視で大きなキズを確認。
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マトリクス・ランアウト刻印:スタンパー番号や刻印でオリジナル初回プレスかどうかを判別できます。詳細はDiscogsなどで照合するのが確実です。
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レーベル表記:国やプレス工場によってラベルデザインが違います。これにより価値が変わることがあります。
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付属物:歌詞カード、インナースリーブ、ポスターやステッカーなどの有無。
再発盤・リイシューについての注意点
ロッド・スチュワートの代表作は度々リイシューされます。180g重量盤やリマスター盤、限定カラー盤などが出ますが、すべてが「音が良い」わけではありません。リマスターでダイナミクスが狭められている場合もあるため、購入前にレビューや試聴を確認するのが賢明です。オリジナルのアナログ・テープから新たにカッティングされた高品質リイシュー(アナログ・マスタリングを明記したもの)は価値がありますが、必ずリリース元のクレジットを確認してください。
保管とメンテナンスの基本
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保存は立てて保管、重ね置きは避ける。
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内袋は抗静電性のものを使用、外袋は厚手のポリプロピレン製が推奨。
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再生前にはブラシや液体クリーナーで埃や汚れを除去。強い洗浄は専門業者に依頼。
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カートリッジや針の適切な管理:針圧やトラッキングを正しく調整することで盤へのダメージを防げます。
相場感と希少アイテム
主要なアルバムの一般的なオリジナル初回プレスは、盤の状態次第で比較的手が届きやすい価格帯から、良好な美品では中級〜上級の価格帯になります。真のレア盤(テストプレス、プロモ盤、帯・付属物完備の初回国内盤など)はコレクター価格がつきます。正確な相場は日々変動するため、購入前に複数の販売サイトやオークション歴を確認してください。
購入先の選び方
信頼できる中古レコード店、専門のオンラインショップ、レコードフェア、個人出品(写真と返品ポリシーをよく確認)などが主な入手経路です。盤の写真(盤面・ジャケット・インサイド・マトリクスの写真)が掲載されている出品を選び、状態説明が具体的なものを優先すると安心です。
まとめ — どの一枚から始めるべきか
ロッド・スチュワートのレコード収集を始めるなら、まずは「Every Picture Tells a Story(1971)」が鉄板です。歌唱力と楽曲の魅力が一番濃く出ており、ジャケットやシングルも含めて楽しめます。そこから「An Old Raincoat...」「Never a Dull Moment」「Atlantic Crossing」「Blondes Have More Fun」へと横断的に集めることで、70年代のロッドの音楽性の変遷をアナログで追体験できます。
参考文献
- Rod Stewart 公式サイト
- Rod Stewart — Wikipedia
- Rod Stewart | AllMusic
- Rod Stewart | Billboard
- Discogs(個別アルバムのプレス情報は各作品ページを参照してください)
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