1号組立マンホールとは?特徴・規格・使用用途をわかりやすく解説

上下水道工事や道路工事で欠かせない「組立マンホール」。その中でも最も一般的に使用される規格が1号組立マンホールです。公共工事の設計書や積算資料でも頻繁に登場し、現場では標準仕様として採用されることが多い構造物です。

本記事では、1号組立マンホールの基本的な仕様、構造、用途、施工上のポイントまで、建築・土木の初心者でも理解できるように解説します。


1号組立マンホールとは?

1号組立マンホールとは、公共工事や下水道工事で用いられる標準化されたコンクリート製マンホール(人孔)のうち、「1号」と呼ばれる代表的モデルを指します。
主に下水道(汚水・雨水)管路の点検・清掃・維持管理のために設置される、最も一般的な組立式マンホールです。

組立マンホールは複数の部材(本体・中間スラブ・調整リングなど)を積み上げて現場で構築します。1号はその標準タイプで、もっとも広く普及しています。


「1号」の意味とは?

マンホールには「1号」「2号」「3号」などの区分がありますが、これはマンホールの主として内部寸法(有効径)や用途区分に応じて設けられた規格名です。

一般に、

  • 1号:標準型で最も一般的
  • 2号:大型で主幹線用
  • 3号:特殊用途・大深度など

といった使い分けが行われています。

1号組立マンホールは内径1,000mmを中心とする代表的サイズで、点検作業に十分なスペースを確保できます。


1号組立マンホールの構造

組立マンホールは、工場製作のコンクリート部材を現場で積み上げて施工するプレキャスト構造です。一般的な構成は以下の通りです。

● ベーススラブ(底部)

  • コンクリート製の底板
  • インバート(水路)を形成
  • 流入・流出管の角度・高さに合わせて成形する

● 立坑(本体)

  • 円形のコンクリート躯体
  • 内径1,000mm(標準)
  • 中間スラブや鉄梯子(ステップ)が内蔵される

● 中間スラブ

  • 深さ調整のための層
  • 落差調整や構造安定に使用

● 調整リング(天端調整)

  • 最終的に舗装高さに合わせて微調整
  • 車道部はT-25対応のマンホール蓋と組み合わせる

● マンホール蓋(鉄蓋)

  • T-25(車道)・T-14・歩道用など荷重区分を選択
  • 汚水用と雨水用でデザインが分かれる場合も多い

1号組立マンホールが使われる場所

1号組立マンホールは、幅広い現場で使用されます。

● 道路下の公共下水道

  • 最も一般的な設置場所
  • 汚水・雨水どちらにも使われる

● 宅地造成エリアの排水管路

  • 敷地内や開発区域の排水ルートに設置

● 流量が多い側溝・集水施設との接続部

● 管路の屈曲点(曲がり角)

  • 配管方向の転換に使用

● 勾配変化点(落差人孔として機能)

  • 高さ調整のために中間スラブを追加

1号組立マンホールのメリット

● 施工が早い(プレキャストのため)

工場で品質管理された部材を組み立てるだけのため、現場作業が迅速

● 品質が安定している

圧縮強度・寸法精度・耐久性などが工場基準で揃っている。

● 点検・清掃がしやすい

有効スペースがあり、作業員が安全に降下できる。

● 配管角度・落差の自由度が高い

流入・流出管の角度・高さ調整が容易。

● 公共工事での採用率が高い

標準設計・積算基準で定められ、信頼性が高い。


寸法と規格

1号組立マンホールの代表的な寸法(例)は以下の通りです。

項目内容
内径約1,000mm
外径約1,300〜1,400mm
深さ現場条件に合わせてスラブの組合せで決定
材質鉄筋コンクリート製(RC)
蓋の規格T-25、T-14、歩道用など

※自治体・メーカーによって細部は異なります。


施工時の注意点

● インバートの成形精度

流れがよどむと堆積や詰まりの原因になるため重要。

● 流出・流入管との高さ調整

1号マンホールは比較的浅深度で使われることが多く、「かぶり厚」を確保する必要がある。

● 道路荷重への対応

施工場所に応じて**適切なマンホール蓋の荷重区分(T-25等)**を選定する。

● 周囲の支持地盤の締固め

沈下すると蓋のガタつきや舗装クラックの原因となる。

● 止水処理

管との接合部には止水材やモルタルを適切に使用し、漏水対策を行う。


1号組立マンホールが選ばれる理由

  • 汎用性が非常に高い
  • 公共仕様で標準化されている
  • 施工性・管理性に優れる
  • 維持管理コストが抑えられる

これらの理由から、下水道工事の基本となるマンホールとして長く使用され続けています。


まとめ

1号組立マンホールは、公共下水道工事の基本となる標準規格の組立マンホールで、
内径1,000mmを中心とした最も一般的な構造のマンホールです。

施工性・品質・維持管理性に優れており、道路や宅地造成などあらゆる排水工事で採用されています。
現場の条件に合わせて深さや接続角度を柔軟に調整できる点も、選ばれている大きな理由です。