プライムコートとは?舗装の耐久性を高める必須工程と役割を徹底解説

道路舗装工事において、基層や表層と同じくらい重要な工程が**プライムコート(Prime Coat)**です。
初めて聞く方も多い専門用語ですが、舗装の寿命・耐久性を左右する非常に重要な役割を持っています。

本記事では、プライムコートの役割、使用材料、施工方法、タックコートとの違いなどを、建築・土木の初心者にも分かりやすく整理して解説します。


プライムコートとは?

プライムコートとは、路盤(クラッシャーランや粒状路盤)の上にアスファルト乳剤を散布して、基層との接着力を高めるための処理のことです。

舗装の構造は一般に、

  • 路床
  • 路盤(上層路盤・下層路盤)
  • 基層(アスファルト)
  • 表層

と多層で構成されています。

このうち、アスファルト層(基層)を施工する前に路盤へ散布されるのがプライムコートです。


プライムコートの役割

プライムコートは見えない部分の処理ですが、道路の耐久性には欠かせません。主な役割は以下の通りです。

● 1. 路盤と基層の接着力を高める

路盤とアスファルトの密着性を向上させ、剥離や浮き上がりを防ぎます。

● 2. 路盤内部の微粒子を固化させる

乳剤が路盤内部に浸透し、細粒分を固めて表面を強化します。

● 3. 防水性の向上

雨水の浸入を防ぎ、路盤の劣化・強度低下を防止。

● 4. 基層施工時の「吸い込み」を抑える

未処理だと基層のアスファルトが路盤へ吸い取られ、施工ムラや強度不足につながります。


プライムコートに使用される材料

プライムコートには主に 中粘度(MC)タイプのアスファルト乳剤が使われます。

代表的な材料:

● MC-30(中粘度カットバックアスファルト)

最も一般的。浸透性が高い。

● MC-70、MC-250

現場条件や気温に応じて選定。

● 低臭タイプ乳剤

住宅街や交通量の多い道路で使用されることもある。

※自治体仕様書に規定されることが多い。


プライムコートの施工手順

一般的な施工手順は以下の通りです。

1. 路盤面の整形・清掃

  • 凹凸の確認
  • 砂やほこりの除去
  • 路盤強度の確認(締固め度)

2. アスファルト乳剤の散布

  • 散布車で均一に散布
  • 縁部は手散布で補完
  • 散布量の管理が重要(0.3〜1.0 L/㎡ など仕様に応じる)

3. 乾燥時間の確保

乳剤が浸透し、路盤表面がしっかり固まるまで待機。

4. 基層アスコンの施工

十分な浸透・乾燥を確認してから基層を舗設する。


適切な散布量の目安

プライムコートの散布量は材料・仕様で異なりますが、一般的には以下が目安です。

  • 0.3〜1.0 L/㎡
    (MC乳剤をそのまま散布した場合)

多すぎると滑り・舗設時の施工不良、少なすぎると接着不足になるため注意が必要です。


プライムコートとタックコートの違い

混同されやすいですが、役割は明確に異なります。

種類散布場所主な役割
プライムコート路盤の上基層との接着、路盤強化、防水
タックコート基層と表層の間層間の剥離防止・密着性向上

道路構造のどの層に散布するかが最大の違いです。


プライムコート施工で注意すべき点

● 路盤強度が十分であること

締固め不足の路盤に散布しても品質確保はできない。

● 湿った状態では施工しない

乳剤が吸収されにくく、浸透不足となる。

● 乾燥時間の確保

十分乾燥しないまま基層を施工すると剥離の原因に。

● 散布ムラに注意

とくに端部や構造物周りはムラが起きやすい。

● 交通開放管理

散布後、車両を通すと路盤が乱されるため、十分養生する必要がある。


プライムコートが重要とされる理由

  • 基層アスコンの施工品質に直結
  • 剥離や浮きの発生を防止
  • 舗装全体の寿命を延ばす
  • 水の侵入を防ぎ、構造安定性を向上

道路舗装の耐久性を確保するためには欠かせない工程です。


まとめ

プライムコートは、路盤と基層アスファルトを強固に結びつけるための重要な接着処理です。
舗装の耐久性・品質を確保するには、適切な材料選定、散布量、乾燥時間の管理が不可欠です。

見えない工程だからこそ、確かな施工品質が求められます。


参考文献