Chet Faker(チェット・フェイカー)入門:代表曲・名盤と聴きどころ完全ガイド — Thinking in Textures〜Built on Glass、Nick Murphyへの変遷

Chet Faker(チェット・フェイカー)入門 — いま改めて聴きたい理由

オーストラリア出身のニック・マーフィーが「Chet Faker」名義で発表した楽曲群は、ソウルフルな歌唱とミニマルなエレクトロ・プロダクションを独自にブレンドした音楽性で世界的に注目を浴びました。本稿では「Chet Faker」名義の代表作・おすすめレコードを中心に、各作品の聴きどころや制作上の特徴、楽曲ごとの魅力を深堀りして解説します。レコードそのものの再生や保管の技術的な話は扱いませんが、音楽的な視点から何を期待して聴くべきかを丁寧に紹介します。

まず押さえておきたい代表曲・名盤(一覧)

  • Thinking in Textures(EP, 2012) — ブレイクスルーとなったEP。カヴァー曲が注目を集めた作品。
  • Drop the Game(Flume & Chet Faker、シングル, 2013) — コラボレーションで世界的に知られるようになったトラック。
  • Built on Glass(アルバム, 2014) — メジャー・デビュー作に相当するフルアルバム。代表曲多数。
  • (以降はNick Murphyとしての作品へ展開) — アーティスト名の変遷も含め音楽的変化を追うと面白いです。

Thinking in Textures(EP, 2012) — 原点の衝撃

このEPはChet Fakerが注目を集めるきっかけになった作品です。特にBlackstreetの「No Diggity」をシンプルかつ感情的に再解釈したカヴァーが大きな話題となり、音楽メディアやリスナーの耳を捉えました。

聴きどころ:

  • ヴォーカルの距離感:近くて柔らかい歌声がトラックの余白を活かしていて、聴く側の感情に直接訴えかけます。
  • ミニマルなサウンドプロダクション:無理に音数を詰め込まず、リズムとベース、空間を重視したアレンジが特徴です。
  • カヴァーの再解釈としての完成度:原曲のグルーヴを残しつつ、よりナイーブで繊細な表情へと変換しています。

Drop the Game(Flume & Chet Faker, 2013) — コラボレーションの象徴

このシングルは、エレクトロニック・プロデューサーのFlumeとChet Fakerの相性が見事にハマった代表例です。Flumeの複雑で柔らかなビートメイキングに、Chet Fakerの人間味あるヴォーカルが乗ることで、ダンス系ともシンガーソングライター系とも異なる独特の空気感が生まれています。

聴きどころ:

  • テクスチャーの融合:シンセの揺らぎや斜めにかかったビートと、生身のヴォーカルが共存する点。
  • ダイナミクスの取り方:サビや落ち着いたパートでの音量や密度の変化が感情表現に効いています。
  • ライブ演出の強さ:生で歌うときのフレーズの余白や間が非常に効果的で、ライブ映えするトラックです。

Built on Glass(アルバム, 2014) — Chet Fakerの集大成(1枚で読む)

このフルアルバムは、Chet Fakerというプロジェクトの表現が最もまとまって聴ける作品です。シンプルながらもクオリティの高い楽曲群が並び、ソウル・R&B的な歌心、ポップなフック、そして先鋭的なエレクトロ・サウンドがバランス良く混ざり合っています。

特徴と注目ポイント:

  • 曲ごとの色の違い:しっとりしたバラードからタイトなビートのナンバーまで、アルバム内で多彩な表情を見せます。
  • プロダクションの丁寧さ:余計な装飾をそぎ落とした上での効果的な音選び(パーカッションの粒立ちやリバーブの使いどころなど)。
  • 歌詞と声の距離感:言葉を詰め込みすぎず、声のニュアンスで感情を伝える手法が一貫しています。

代表曲としては「Gold」「Talk Is Cheap」などがあり、これらはアルバムの核となるフック力とサウンドメイクの良さを端的に示しています。

曲ごとの細かい聴きどころ(フレーズ・アレンジ編)

  • イントロの処理:静かなシンセや空間系のエフェクトで“場”を作り、歌が入った瞬間のインパクトを強める構成が多いです。
  • ヴォーカル・フレージング:息継ぎや語尾の抜き方が楽曲のグルーヴを生む重要要素になっています。コピーするだけで表情が変わります。
  • ミニマル×アクセントの併用:基本は少ない楽器で構成し、ところどころに入るアクセント(短いギターリフ、効果音的なシンセ)が曲の記憶に残ります。

どの順で聴くべきか(初心者向けガイド)

  • まずは「Thinking in Textures(EP)」でChet Fakerの“声と空気感”を掴む。
  • 次に「Drop the Game」のようなコラボ曲で表現の幅を体感する。
  • 最後に「Built on Glass」を通して聴き、アルバムとしての構成美と多様性を味わう。

Chet FakerからNick Murphyへ — 名前を超えた表現の変化

Chet Faker名義での活動が広く知られた後、アーティストは自身の名(Nick Murphy)での活動へと移行しました。これは単なる名前の変更ではなく、プロダクションのアプローチやサウンドスケープ、歌詞の書き方において新しい挑戦が行われたことを意味します。Chet Faker期の「余白を活かす表現」から、Nick Murphy期はより実験的・ダイナミックな方向へ振れる作品も多く、両者を比較して聴くと彼の音楽的成長がより鮮明に見えてきます。

まとめ — 何を残すのか、何を更新するのかを楽しむ

Chet Fakerの作品は「声」と「空間」を最大限に活かすことに長けています。リスナーとしては、表情豊かなヴォーカルのニュアンス、ミニマルなサウンドの組み立て方、コラボレーションによる化学反応に注目すると、新しい発見が多いはずです。まずは挙げた代表作を順に聴き、気に入った要素を手掛かりに他の曲やNick Murphy名義の作品へと広げていくと、より深く楽しめます。

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