Thundercat入門:必聴アルバム3作とアナログ盤で楽しむ聴き方ガイド

イントロダクション — ベース・ポップの異才、Thundercat(サンダーキャット)とは

Thundercat(本名:Stephen Bruner)は、ロサンゼルス出身のベーシスト/シンガーソングライターで、ジャズ、ファンク、R&B、エレクトロニカを自在に横断する音楽性と独特のユーモア、そして透き通るような高音ヴォーカルで知られます。Flying Lotus(Brainfeeder)周辺の「ロサンゼルス新ジャズ」クルーの中心的存在としても知られ、ソロ作に加えKendrick LamarやKamasi Washingtonらの重要作への参加でも存在感を発揮してきました。

聴くべき代表レコード(推薦盤)

ここでは、Thundercatの音楽理解を深めるのに最適な主要作品をピックアップし、曲ごとの聴きどころやアルバムとしての特性、収録曲のハイライトを深掘りします。レコード(アナログ盤)での鑑賞を想定しての音楽的観点からの解説です。

  • The Golden Age of Apocalypse(2011)

    ソロとしての名刺代わりになった作品。ジャズ的な即興性とファンク/ソウルのグルーヴ、ブレインフィーダー流のサイケデリック感覚が融合しています。ベースはただのリズム楽器ではなく、メロディやハーモニーの中核を担う楽器として前面に出ており、Thundercatのプレイの個性が最もストレートに感じられる一作です。

    聴きどころ:緩急あるベースライン、複雑だが溶け込むコード進行、アンサンブルの中でのベースの「歌わせ方」。ソロ曲の即興的フレーズや、Flying Lotusらとの化学反応にも注目。

  • Drunk(2017)

    一般的にThundercatを広い層に知らしめた傑作。ファンクとR&B、幽玄なジャズをポップなフォーマットに落とし込みつつ、個人的なユーモアと繊細な感情表現を同居させています。プロダクションはFlying LotusをはじめとするBrainfeeder陣が支え、音楽的幅の広さがアルバム全体を通して示されています。

    代表曲と魅力:

    • 「Them Changes」— シンプルでキャッチーなドラム・ブレイクと泣きのブラス&ベース。Thundercatの“泣けるファンク”を象徴する一曲。
    • 「Show You the Way」— Michael McDonaldとKenny Logginsを迎えた、80sソウル/AORをリスペクトした大作。コーラスワークとシンセの質感が秀逸。

    ポイント:ポップさと実験性のバランス、ヴォーカルの表現力、楽曲ごとのストーリーテリング性が光るため、アルバム通して聴くとThundercatの人間性がよく伝わります。

  • It Is What It Is(2020)

    成熟と喪失、ユーモアと悲しみが共存する作品。メロディの美しさ、洗練されたアレンジ、そして即物的でありながら深い歌詞世界のバランスが高次元で整っています。グラミー賞(Best Progressive R&B Album)受賞作でもあり、彼のキャリアの中で重要な位置を占めるアルバムです。

    注目曲:

    • 「Dragonball Durag」— 乾いたグルーヴと大胆なフレーズ、ファッション的な自己表現の歌。耳に残るフックが強力。
    • 「Black Qualls」— スリリングなコラボ/リズム構造を持つナンバー(参加ゲストや楽器編成の多彩さに注目)。

    聴きどころ:歌詞に滲む人間味、メロディの繊細さ、そしてベースのサウンドメイクがアルバム全体のムードを牽引しています。個々のトラックが短いスナップショットのように配置され、繰り返し聴くたびに新しい発見があります。

  • 関連推薦:参加作・周辺作品

    Thundercatを理解するうえで、彼が参加した他アーティストの重要作品も必聴です。セッションベースやコーラス、作曲での貢献を見ることで彼の音楽的役割がより立体的に見えてきます。

    • Kendrick Lamar「To Pimp a Butterfly」 — ジャズ/ファンクの要素を押し広げた名盤。Thundercatはベース/コーラスで参加。
    • Kamasi Washington「The Epic」 — 現代ジャズの大作。Thundercatのプレイがジャズ・アンサンブルにどのように溶け込むかを聴けます。

各アルバムの「深掘り」ポイント(音楽的視点)

  • ベースの役割拡張:Thundercatのベースはリズムの推進力だけでなく、メロディやコードの一部、そしてソロ楽器としても機能します。しばしばシンセやコーラスと同等の表現手段として配置され、曲の感情を直接担います。

  • ジャンル横断のアレンジ術:ジャズの即興性、ファンクの反復グルーヴ、R&Bの歌メロ、エレクトロニカの音響処理が混ざり合うことで、単純なジャンル分けでは捉えられない「Thundercatらしさ」が形成されています。

  • ユーモアとウィット:歌詞やタイトル、曲間の短いスケッチ的パートなどに散りばめられたユーモアは、重めのテーマ(喪失や孤独、自己省察)を柔らかく包む役割を果たします。これが聴き手にとって距離感を縮める要因にもなっています。

  • コラボレーションの妙:Michael McDonaldやKenny Logginsのような意外なゲストとの共演から、現代ジャズ勢との絡みまで、コラボによって新たな文脈や色合いが生まれるのも大きな魅力です。

レコード選びのアドバイス(購入目線で)

どの作品も制作のサウンド・デザインが重要なので、アナログ盤で聴くと楽器群の空気感や低域の存在感がよく出ます。限定カラー盤やリイシューも出回ることがあるため、入手時は盤のプレス情報や仕様(フォーマット、ボーナストラックの有無)をチェックするとよいでしょう。なお、リリース年やレーベル(Brainfeederなど)を確認することでオリジナル・プレスか再発か見分けられます。

最後に:どの作品から聴くべきか?

まずは「Drunk」から入るのがおすすめです。ポップでキャッチーながら音楽的奥行きがあり、Thundercatの魅力が最も分かりやすく凝縮されています。その後で「It Is What It Is」を聴き、深い情緒性と歌世界を味わってください。早めに「The Golden Age of Apocalypse」に戻ると、初期からの進化がよりはっきり見えます。

参考文献

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