最小二乗法とは?基礎から考え方・用途までわかりやすく解説
最小二乗法(さいしょうにじょうほう)は、統計学・データ分析・機械学習の基礎であり、「データに最もよく合う線(モデル)を求める方法」です。
名前だけ聞くと難しそうですが、実は非常にシンプルな発想で成り立っています。
本記事では、最小二乗法の仕組み・使われる理由・活用例までをわかりやすく整理して解説します。
最小二乗法とは?
最小二乗法(Least Squares Method)とは、
「データとモデルの誤差を二乗して合計した値が最小になるように、モデルのパラメータを決める方法」
のことです。
例えば散らばった点(データ)に対して、最も“うまく通る線”を引くときに使われます。
誤差を二乗した合計を「最も小さくする」ことから、この名前が付いています。
なぜ「誤差を二乗」するのか?
誤差を単純に足し合わせるだけでは、問題が起こります。
- プラスの誤差(予測より実際が上)
- マイナスの誤差(予測より実際が下)
これらが相殺されてしまうため、
「全体としてはずれているのに、ずれていないように見える」状態になってしまいます。
そのため、
- 誤差を必ず正の値にする
- 大きい誤差をより強くペナルティにする
という目的で 誤差を二乗して評価する 方式が採用されています。
最小二乗法が利用される主な場面
最小二乗法は現代のデータ分析で極めて重要で、次のような分野で広く利用されています。
■ 統計学(回帰分析)
最も代表的な例です。
データに対して「回帰直線」や「回帰曲線」をフィッティングするときに最小二乗法が使われます。
■ 機械学習
線形回帰モデルはもちろん、多くの学習アルゴリズムの基礎に最小二乗の概念が使われています。
■ 物理・工学分野
測定データから特性値(傾き・抵抗値・係数など)を求める場合に利用。
■ 経済学や社会調査
経済指標や人口データの予測にも使用されます。
最小二乗法の基本的な計算イメージ
最小二乗法は数式で書くと複雑に見えますが、やっていることはシンプルです。
- 各データ点と予測値の「誤差(ズレ)」を計算
- その誤差を二乗する
- 二乗した誤差をすべて足し合わせる
- その合計が最も小さくなるように直線(モデル)を調整する
たったこれだけです。
最小二乗法のメリット
■ 計算が簡単で安定している
計算式がシンプルで、コンピューターでも高速。
■ ノイズを平均化して“なめらか”なモデルになる
誤差二乗により外れ値の影響がある程度抑えられます。
■ 学術・産業で実績が長い
多くのデータ分析の教科書・論文で標準的に採用されています。
最小二乗法の注意点(デメリット)
■ 外れ値に弱い
誤差を二乗するため、大きく外れたデータがあると結果を大きくゆがめます。
■ 非線形モデルでは計算が複雑になる
直線なら簡単ですが、複雑な曲線では数値計算(反復計算)が必要になる場合があります。
最小二乗法を理解すると、データ分析が格段に楽になる
最小二乗法は統計・AI・機械学習の基礎であり、データ分析の入り口となる考え方です。
- 散布図から傾向を読み取りたい
- 予測モデルを自分で作りたい
- 分析結果を数値で評価したい
こうした場面で必ず役に立ちます。
仕組み自体はとてもシンプルなので、理解しておくとデータ分析の“見え方”が大きく変わります。
参考文献
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